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17.新入りの聖女、回復魔法が完全に「メンエス」のシステム

魔王城の手前、ついに軍資金が底をついた。

絶望する俺の前に、新入りの聖女セシリアが「癒やしの聖域サンクチュアリ」というピンク色の怪しい看板を掲げたテントを設営した。


「勇者様ぁ、お疲れさまですぅ。……今日は『密着浄化MP全回復(60分)』でよろしいですかぁ? 今なら初回指名料、無料ですよぉ」


『……初回指名料? セシリア、お前、さっきまで「神の愛」とか言ってたよな。何をメンエスのシステムで回しとんねん! 仲間内でぼったくりバーみたいな受付すな!』


「えぇー? 勇者様、世の中『等価交換』ですよぉ? 私の祈りが欲しければ、ちゃんと規約に従ってくださいねっ」


セシリアに無理やり奥の個室へ押し込まれると、彼女は肩を大胆に出した格好で、ニヤニヤしながら水晶スマホを構えてきた。


「……はい、ポーズ! 『今から勇者様の、特別な魔力(MP)を抜いちゃいまーす!』。……パシャリ。はい、魔界SNSにアップ完了ぉ」


『……「抜いちゃう」とか言うな! 回復やろがい!語弊ごへいがありすぎるわ! 普通に肩の凝りを治せ! 魔法の不純物を体外に排出させる特殊なサービスみたいに実況すんな!』


「勇者様ぁ、動かないでくださいよぉ。……あ、今の表情、ちょっと『イケナイこと』考えてる顔に見えますねぇ。……これもアップしちゃお」


『勝手に撮るな! 肖像権の概念ないんか! 癒やしの空間が、ただの「晒し会場」になっとるやんけ!炎上するぞ!』


翌朝、俺が目を覚ますと、占い師のミアが血相を変えて俺の部屋に飛び込んできた。


「勇者様ぁ! 最悪ですぅ! 水晶で大炎上してますよぉ! 『勇者、メンエス聖女に過度な魔法抜きを強要』……これ、私の裏垢で100万インプレッションですぅ!」


『……冤罪えんざいや! 誰が「抜き」なんて頼んだんや! セシリア、お前、昨日の投稿なんて書いたんや!』


「えぇー? ……あ、ハッシュタグに「#抜き勇者」って入れたのは、単なるミスですぅ(笑)」


「勇者様、これは期待値的に見て『み』ですね」


魔法使いのゼンイチが、眼鏡を冷たく光らせて「示談書」と書かれた羊皮紙を差し出してきた。


「既に聖騎士団の掲示板では、あなたの『出禁できん』が確定しました。解決策は一つ……セシリアさんへの示談金として、その聖剣を質に入れましょう。手数料として、私の口座に10%振り込んでください」


『……示談金で聖剣売るな! お前らさてはグルやな? 仲間の不祥事で「中抜き」しようとしとるやろ! 魔法使いの知性を悪用すな!』


「……Oh、ユーシャ。……サイテーネ。……俺サマ、ボブ。……ガッカリ、シタヨ」


『ボブ、お前まで軽蔑けいべつの眼差し向けるな! 俺はハメられたんや!』


「……セシリア、カワイソ。……俺サマ、ナグサメニ、60分コース、行クネ。……指名シメイ、ヨロシクネ」


『お前はただ「抜き」に行きたいだけやんけ! 黄金のチップ握りしめて鼻の下伸ばすな! パーティの全財産が「お部屋代」に消えとるわ!』


結局、セシリアが「あ、公式マークついたから投稿消しときますねぇ」と呟くまでの間、俺は魔界中から「抜き勇者」と呼ばれ続ける羽目になった。


『伝説の武器より「示談金の工面」の方が大事なんか! マジで適当すぎるやろ! 俺を元の世界に即帰そっきさせろ!』

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