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13.新入りの聖女、承認欲求(エゴ)の塊すぎて世界が終わりそう

ミアの暴露によって魔界が炎上し、パーティの空気が最悪な中、ついに「国宝級の美貌」と謳われる聖女セシリアが加入した。

透き通るような白い肌に、慈愛に満ちた瞳。これぞファンタジーの正ヒロイン、という風格だが……。


「勇者様ぁ、お怪我ですかぁ? 可哀想……。今すぐ聖女わたしが治してあげますねっ。……はい、ポーズ! 自撮り(セルフィー)失礼しまーす!」


『……おお、神々しい! やっと……やっとまともな癒やしが……。自撮り? まあ、これだけ美人なら思い出に残したいわな。どんどん撮れ! じいさん、見てるか、これが本物の聖女や!』


セシリアはスマホ(聖典)を構え、俺の傷口をバックにアヒル口でパシャリ。そのまま高速でフリック操作を始めた。


「……はい、アップ完了ぉ。『命がけで戦う勇者様を救う私、マジで尊い……(泣)』。……あ、もう100いいね超えた! 聖女パワー爆速ですぅ!」


『……「マジで尊い」とか自分で言うな! 承認欲求しょうにんよっきゅうがモンスター級やねん! 治した後のレスポンス、爆速で求めんな! 感謝の言葉より「リポスト」の方が大事なんか!』


「……えっ。勇者様、今、ミアちゃんのポストには『いいね』したのに、私の最新投稿にはしてくれてないんですか……? 信じられない……。聖女、もう病みましたぁ……」


びょうで病むな! メンタル弱すぎやろ! タイムラインを監視すな、俺の指の動きまで検閲けんえつするな! 順番に押しとるわ!』


「……Oh、セシリア。俺サマ、ボブ。……『いいね』、100回、押シタヨ。……黄金ノ、赤スパ、投ゲルヨ」


『ボブ、お前がまた「養分ようぶん」になっとるやんけ! 聖女を「推し」にするな! 破産してんのに、教会の課金勢かきんぜいになるな! 聖女もボブの貢ぎ物を当然の顔で受け取るな!』


すると、セシリアのスマホが不吉な通知音を鳴らした。どうやらアンチコメントが届いたらしい。


「……何これ。『加工しすぎ』? 『勇者を利用するな』? ……もういいです、世界なんて滅べばいいんだ……。はい、禁忌魔法『終焉のメテオ』、詠唱開始なうぅ……」


『「なう」とか付けてる場合か! メンタルがダークサイドに落ちるスピード、光速こうそくやんけ! アンチ一人のコメントで世界を道連れにすな! 物理攻撃よりお前の「病みやみあか」の方が怖いわ!』


「勇者様、大変ですぞ! 聖女様が『もう誰も信じられない……』というタイトルで、魔王とのコラボ生配信を告知しております!」


『魔王とコラボすな! 敵味方の境界線、SNSのフォロワー数で決めるな! 承認欲求のために寝返るな!』


結局、セシリアが「あ、公式マークついたから機嫌直ったぁ」と呟くまでの30分間、俺たちは彼女のご機嫌取り(リプ返)をさせられる羽目になった。


『勇者の仕事、エゴサのフォローか! 伝説の武器より「インフルエンサーの機嫌」の方が大事なんか! 俺を元の世界に即帰そっきさせろ!』

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