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残高ゼロの極小ダンジョン経営~頼りない水晶コアと、ネズミ穴から始める迷宮拡張記~  作者: 盆ちゃん


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第127話:黄金の浮遊島と、天空の博逐場(スカイ・ヘブン・カジノ)

第127話:黄金の浮遊島と、天空の博逐場スカイ・ヘブン・カジノ

「――よし、準備はいいか。今日から我が迷宮国家の『無限DP時代』に相応しい、真の贅の極みをお披露目する。第一弾は、ガストンのアイデアを採用した『空中カジノ』だ」

俺の宣言と共に、マスターズ・チェンバーの巨大モニターに映し出されたのは、雲海を突き抜けて浮かぶ巨大な黄金の島だった。

かつての浮遊要塞アヴァロンの建造技術、そして熱砂の大陸で得た重力制御魔法の粋を集め、俺たちは一ヶ月という短期間で、この星の常識を塗り替える巨大建造物を完成させた。その名も、空中カジノ都市『スカイ・ヘブン』。

「ガハハハ! 見なよマスター、あの輝きを! 外装には全部で十万枚の純金プレートと、百億カラットの魔力水晶を埋め込んだぜ! 太陽の光を反射して、地上のどこからでも『あそこに宝の山がある』って分かるようにしてやった!」

ガストンが鼻息を荒くして自慢する通り、雲の上に浮かぶその島は、それ自体が巨大な宝石のように七色に輝いていた。

「ただの成金趣味ではありませんぞ、マスター」

ファウストが片眼鏡を光らせながら補足する。

「島全体に『恒常的幸運上昇パッシブ・ラック・アップ』の大規模魔法陣を組み込み、訪れる客が『今日は勝てる気がする』という高揚感を抱くように設計しました。……もちろん、最終的な確率は我々の掌の上ですがね。クヒヒッ」

「相変わらず性格が悪いな。……まあいい、上陸するぞ」

***

専用の魔導昇降機スカイ・リフトで雲を突き抜け、スカイ・ヘブンに足を踏み入れた瞬間、俺たちを待ち受けていたのは、暴力的なまでの黄金と光の世界だった。

ドーム状の天井には、アンバー(三女コア)が制御する「疑似的な宇宙」が投影され、足元はすべて透明な強化瑠璃。眼下に広がる広大な雲海を眺めながら、空中を歩いているような感覚に陥る。

「わぁ……! お姉ちゃん、あっちに大きなルーレットがあるよ!」

「本当だわラピス! あ、あそこではスライムたちがスロットマシーンの中に入ってるわ!」

ルリたち三姉妹がはしゃぎながら走り回るメインフロアには、前世のラスベガスをも凌駕する数千台の遊戯台が並んでいた。だが、その中身は完全に魔法ナイズされている。

例えば、中央に鎮座する【次元ルーレット】。

直径二十メートルに及ぶ巨大な盤面の中央で、重力魔法によって浮遊する「光の球」が高速回転する。客は数字だけでなく「属性」や「召喚される魔物」を予想して賭ける。球が止まった瞬間に、その数字に対応した幻影の魔物が咆哮を上げ、場内を盛り上げる仕組みだ。

そして、ガストンが最もこだわったのが、屋外エリアに設けられた【魔獣大競馬場ビースト・ダービー】だ。

「これを見ろよマスター! ただの馬じゃねぇ、ワイバーン、ケルベロス、果てはアヴァロンで捕獲した宇宙怪獣の幼体まで、あらゆる種族を競わせる! 客は専用の魔法双眼鏡でレースを追いかけ、応援する魔獣に全財産を注ぎ込むってわけだ!」

空中を音速で駆け抜ける魔獣たちのレース。その迫力とギャンブル性は、一度体験すれば理性を焼き切るほどの中毒性があるだろう。

「……ミラージュ。賢人会の連中はどうしてる?」

「はい。既に特別VIPルーム『オリュンポス』にて、全財産を賭けたポーカーに興じておられますわ。……特に老魔術師様は、負けが込むたびに『ワシの秘蔵の魔導書を賭ける!』と鼻血を出して叫んでおられます」

俺は苦笑してVIPルームを覗いた。

そこでは、ディーラーを務める美しいハーピーたちに囲まれ、賢人会の五人が必死の形相でカードを見つめていた。

「シンよ! この『ブラックジャック』とかいう遊戯、悪魔の発明じゃ! カードをめくるたびに寿命が縮まる思いがするわい!」

「ハハハ、ほどほどにしろよ爺さん。……さて、このカジノ、一つだけ特殊なルールを追加した」

俺は幹部たちに向き直り、ニヤリと笑った。

「このカジノでのチップは、金貨だけじゃない。『不要な記憶』や『余った魔力』、あるいは『運勢そのもの』もチップとして換金できるようにした。……もちろん、迷宮の糧(DP)にするためじゃない。ただ、その方が『スリル』があって面白いだろう?」

「マスター、それは……負けた客がどうなるか分かっていて?」

ミラージュが、ゾクゾクするような微笑を浮かべる。

「心配するな。うちは『安全で楽しいリゾート』だ。すべてを失った客には、一階の『お菓子の家エリア』でルリたちが配る甘いクッキーを食べさせて、笑顔で家に帰してやる。……もちろん、負けた分の教訓(DP)はしっかり頂くがな」

無限のDPを手に入れ、収益を気にする必要がなくなったからこそできる、究極の「暇つぶし」と「悪戯」。

スカイ・ヘブン・カジノは、瞬く間に世界中の富裕層と冒険者たちを虜にし、雲の上には連日、勝者の歓喜と敗者の嘆き……そして、それらすべてを「最高の娯楽」として楽しむ俺たちの笑い声が響き渡ることになった。

(……まあ、カジノを創れば創るほど、結局はチップ(魔力)が迷宮に還元されて、またDPが増えるんだけどな。もう諦めたよ)

俺は黄金のカウンターに座り、バーテンダーのゴーレムが作ったカクテルを飲みながら、光り輝く天空の不夜城を眺めるのだった。

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