前へ目次 30/30 あの可愛らしいお姫様へ 「じゃあ、これは彼女に返さないとだね」 美しい色彩の小鳥が美しい花の耳環(じかん)を銜(くわ)え飛び立っていく。朝陽に照らされ、それはちらちらと煌びやかに光り輝く。 「……彼女は帰ってしまったんだ、あの騎士に連れられて。さあ王様、これからどうしようか?」 露台に肘をついて眺めながら、飛び立ったあの美しい小鳥に問いかけるように彼は言葉を紡ぐ。 「この国は酷いよね。お姫様は道具じゃないのにさ……」 紅い花びらが彼の掌から可哀相に、はらはらと霧中へ零れ落ちた。