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もし高天神城が落ちる前に本能寺の変が勃発したら  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』


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出迎え

「申し上げます!敵船がこちらに!!」

九鬼嘉隆「数は!?」

「10あるか無いかであります!」

九鬼嘉隆「10艘で!?何かの間違いでは無いのか?」

「いえ!見えるのは10であります!」

滝川一益「勝ちに誇って……。」

九鬼嘉隆「血迷った可能性があるか……。まあ良い。こっちに来るのであれば戦うまで!」

「おぉっ!!」


「岡部様。」

岡部元信「こちらに向かって来たな?」

「はい。」

岡部元信「機動力はこちらにある。適当に……。」


九鬼嘉隆「ん!?向きを変えて来よったか?」

滝川一益「小舟の方が速いし小回りも効くが、それで……。」

翻弄しているつもりなのか?

九鬼嘉隆「船を分けよ!小癪な船を包囲してくれん!!」


「殿。我らの退路を断つ構えであります。」

岡部元信「長居は出来ぬな?」

「はい。危険であります。」

岡部元信「わかった。敵船も温まった頃であろう!引き揚げるぞ!!」


滝川一益「……逃げよったか?」

九鬼嘉隆「沿岸は?」

「徳川が全て押さえています。」

九鬼嘉隆「横須賀は?」

「残念ながら。」

滝川一益「そうであったら今頃こんな所に……。」

「そうでありました。殿は信忠様から……。」


「敵の船は……。」

岡部元信「急に命じられたのであろう。それに滝川に関しては……。」


滝川一益「信濃と上野攻めを命じられていた。船いくさの準備をしておらなかった。この戦いは……。」

九鬼嘉隆に任せるとするか……。

「いえ。それはなりません。佐久間様の例があります。」

滝川一益「そこなんだよな。難しいのは……。」


岡部元信「滝川の船の動きが鈍いか……。」

「はい。九鬼の後ろを付いていくだけの模様であります。」

岡部元信「九鬼も……。」

「信長の目が届かないいくさでありますので。」

岡部元信「これでは……。」

「計算違いであります。」

岡部元信「少し細工をする。合図を。」

「わかりました。」


九鬼嘉隆「ん!?敵が?」

「狼煙を上げた模様であります。」

九鬼嘉隆「となると敵は……。」

「もしかすると我らを誘き寄せるために出て来たのかも知れません。」

九鬼嘉隆「となると敵に策があると?」

「見て間違いありません。」

九鬼嘉隆「少し様子を見るぞ。」

「わかりました。」


 そこへ……。

「殿!」

九鬼嘉隆「やはり安宅を隠していたか!ただ数ではこちらが上。敵も動くに動けぬはず。」

「殿!旗印を!!」

九鬼嘉隆「ん!?……あれは……。」

「小浜景隆であります!」

九鬼嘉隆「私に敗れ武田に逃げた……。善し!ここで決着を付けようでは無いか!!野郎ども!!!突撃だ!!!!」

「おぉっ!」

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