好きです……おーじろうくん
公募用の作品なので、申し訳ありませんが、ガンガン改稿が入ります。
PV稼ぎするつもりじゃありませんが、もし内容が繋がらないってなったら、前に戻ってみてください。
完成してから載せればいいじゃんって話ですが、その通りです。
申し訳ありません。
(´;ω;`)
翌朝。新学年を迎えたばかりの教室。
廊下側の壁にもたれて座り、後ろの方から教室を眺めていた。
二年生になって、まだ一週間くらいしか経ってないけど、とっくに教室の人間関係は出来上がってる。
昨日のカラオケは盛り上がっただとか、隣のクラスのヤツラが早速付き合いだしたって噂をぼんやり聞いてると、昨日の出来事が幻に思えて来る。
あくびをかみ殺す。坊主って、なんであんなに朝が早いのかね?
アイツ、怒らすとメンドクサイから、食欲のない早朝から和食のフルセットを完食するハメになった。
「だから、ヤなんだよな、あそこ……」
窓の外を眺めながらボヤいてると、すぐそばを横切っていく女子生徒が目に入った。
ピンと張った背中に似合わず、ノロノロ歩いてるのは目立ちたくないかららしい。
同じ理由で、部活以外では話しかけなくていいって言われてるので、挨拶もなし。
誰とも目を合わせることなく、自分の席に辿り着いた紅坂美紅を眺めながら、僕は思った。
だったら、髪のインナーに赤を差したり、洒落た肩掛けバッグを使うのもやめたらいいのになって。ただでさえ、人目を惹く外見なのに。
仲間じゃなけりゃほっといたけど、さすがに心配だったのでそれとなく言ったことがある。
『みんなやってる。木を隠すには森』
って、いつもどおりダルそうに斬って捨てられた。不機嫌成分多めで。
なんだかんだ言って、おしゃれはしたいんだろうな。女子だし。
その割には、自分の容姿の良さには無頓着。だから、実質、僕とカッシ―しかいない『PC研究会』に平気で入部したりする。
「おう、アオ。今日は早いな……寺って確か、ココから遠くなかった?」
「五時に叩き起こされたら、そりゃな……飯も腹いっぱい食べさせられて、吐きそうだ」
「マジかよ……」
教科書を機械的に机に仕舞ってる紅坂を見たカッシー。一瞬、舌打ちしそうになったのを、僕は見逃さなかった。
ドスドスと紅坂に向かって近づく、カッシー。
オラオラ系、ギャル系関係なくビビッて道を開ける。
手を上げると、教室に響き渡るような声で叫んだ。
「おお、誰かと思えば、ダブりの紅坂さんじゃないッスか!」
「いっしょにしないで」
淡々と吐き捨て、何事もなかったかのように、カバンの整理を再開する紅坂。
電光石火で急所を蹴られ、前かがみになったところに頭突きを喰らい、床で悶えてるカッシ―は聞いて無かった。
どっちもごく軽くなのと、部室ではしょっちゅうなので、僕は頬杖をついてながめてるだけ。
相変わらず、カッシーらしい捨て身の気遣いだ。
「……紅坂さん……スゴい!」
「え……」
恐る恐るながら、感動した面持ちで寄って来た女生徒から身を引く紅坂。
「コイツに教科書貸したら、リーゼントのくまモンがラクガキされてて、笑わされたの! 怖くて文句言えなかったけど」
終電失くして、LUUPで帰宅してそうなヤンキーも便乗する。
「お、俺も! チャリで帰ってたら、突然後ろから荷台押された! 家まで!」
それ、怖いよね?
わらわら人が集まっているのを見て、僕は笑いをかみ殺す。
……この一週間で、カッシーが人畜無害なことはみんな分かってる。ぶっちゃけいじられキャラだ。
紅坂がこのクラスに馴染めるかどうか。
カッシーがしばらく様子を見てた事、僕はとっくに気づいてた。
敵意には強いんだろうけど、『ありがとう』って言葉には慣れてない紅坂。
いつも不機嫌なネコみたいな顔してるヤツが赤くなって、オドオドしてるのを見るのは痛快だった。
僕の視線に気づいて、柳眉を逆立てる紅坂。
僕を指さし、紅坂は教室で初めての大声を上げた。
「あ、そこにいるのは、強キャラしか使わない、恥知らず・蒼瀬さんじゃないですか!?」
「ンだと、ゴラァ!?」
「え……アイツ怒ったりするんだ?」
しまった。
◇◇◇
放課後の部室。
って言っても部員は三人、規定人数に満たず、廃部寸前の『PC研究会』。
まともな場所など割り振られるはずもなく、家庭科準備室の一画に、各自私物のノーパソを持ち込み、一週間後の沙汰を待ってる状態だ。
八畳ほどの部屋の真ん中には、アイロンを掛けたりするための大きなテーブル。本棚と何台かのミシン。
そのテーブルでノーパソと真剣に向き合ってるカッシー。
行儀悪くマウスのそばに座った紅坂が、 Yシャツをだらしなく着てるカッシ―の脇腹に蹴りを入れた。
「樫沢のおかげで、メンドくさい事になった」
反対側に座った僕も肩パンを入れる。
「ほんとそれ。なんでぼくまで……明日から挨拶必須になっちまったじゃん」
もちろん、びくともせず、画面に険しい表情を向けたまま。
そこに映ってるのは、『ときめけメモランダム』。
何十年も前、社会現象を巻き起こした、全年齢型美少女ゲームだ。
……あの後、僕も紅坂も、カッシーに巻き込まれ、皆と話さざるを得なくなった。
カッシーに誘導され、いつもの掛け合いを皆の前でやっただけなんだけど……
紅坂も僕も『思ってたより全然たのしいヤツラ』認定されちまった。なんだよ、これ。
ハードルの上がってしまった、学校生活にげんなりする僕と紅坂。もちろん、その場で顔に出すほど失礼じゃないけど。
「あのな、そもそもメンドクサイんだよ、集団生活は。ダルがってたら、バイトもできねえぞ?」
「……ひとりで出来る仕事もあるだろ」
「ナイナイ。じゃあ、誰が仕事くれるんだよ? アオ、『自分ち継ぐくらいなら、デラやめるほうがマシ』なんだろ? 闘おうよ、現実と」
「ムカつくわあ……」
「ヤナ言い方だけど、紅坂なんか、もうカースト上位に立てたろ? オマエなら悪政敷かねえし、色々助けてやれよ」
「ムカつく……この角刈り」
僕と紅坂の怨嗟を無視、「悪いことは言わん、年上のいう事は聞いとけ」って自虐されたら、マジでナンも言い返せない。
画面に映ってる、ハイスペック志向の鼻持ちならない、ピンク髪が言った。
『好きです……おーじろうくん』
ガッツポーズで吼えるアホ。
「よっしゃあ! フジサキをバーストしたッ!」
何でこんなヤツに正論かまされてんだろ、僕達?
不定期ですが、とにかくがんばります。
お付き合いいただけたらありがたいです。
( ;∀;)




