銃と鉤爪とネコミミ ~デラに理解があるなら、半魚人でも構わない~ 2
公募用の作品なので、申し訳ありませんが、ガンガン改稿が入ります。
PV稼ぎするつもりじゃありませんが、もし内容が繋がらないってなったら、前に戻ってみてください。
完成してから載せればいいじゃんって話ですが、その通りです。
申し訳ありません。
(´;ω;`)
腰に手を当て、胸を張るのは、褐色の肌をもつ少女。水着にGジャンを羽織った様な露出の多さだ。
ノブの残骸を握った右手には、指の出た革手袋とブレスレットを嵌めている。
「アンタ、何てことすんだよ!?」
「早速、赤字出してどうすんのよう、このバカ黒!」
カッシ―のわめき声に続く、ちょっと舌足らずな悲鳴に僕はあきれた。
こっち、死ぬとこだったんだけど?
けど、それどこじゃない。
いぎ いぎだ ぎんぞぐ
ハハ ハッケン ハッケン
人間の形を捨て、どろどろと異形の者に変化していくヤツラから目が離せなかったから。
悲鳴を上げそうになる口を押えた。
なんだよ、コイツラ!?
肩より長いウェーブのかかった髪を揺らし、黒と呼ばれたオンナが吐き捨てる。
「ナニ言うとるん、白……んなもん、『ダイケン』に決まっとるやん」
祖父の会社の名で、我に返った。
また……テメエかよ、ジジイ。
「エアコンと『べちょんくん』で、がっぽり稼いどんやで、なんのためのパトロン……じゃっ!」
そのうちの一体が、飛び出した。早い。迫る牙と爪。
壊れたノブを放り出し、褐色の右手が閃いた。
赤ずきんの話に出て来る狼みたいな頭に、袈裟斬りのラインが走る。一声上げて煙に変わり、オンナに向かって吹き抜けた。
異形に変わったほかの連中が、雪崩かかる寸前、ケンの後ろ姿が言った。
「やめさせろ」
途端に動きを止めた、狼人間たち。
……他の誰かが命令してんのか?
黒の右手に嵌められた指抜きの革手袋。そこからいつの間にか生えてたのは、何本かの鉤爪。
なんだよ……コレ?
気づいてみたら立ち上がってた僕を見つけ、ケンの頭越しにオンナは言った。
「ボンズ、詐欺のノルマがあるんじゃろ? ケツバット喰らう前にちゃっちゃと電話しよし」
その緊張感のなさに、僕は言葉が出ない。
その時、舌足らずな声が、部屋の中に凜と響いた。
「そこの悪そうなおじさん……あなたですね? ダイケン宛てに、オフの招待メールを送り付けて来たのは」
褐色の背中から頑なに顔を出さない影を、その後ろから唖然とみているカッシー。
「……白、上着放しよし。敵の手伝いするつもりかえ」
「だって、イヌ苦手なんだもん!」
こちらに後頭部を向け、固まってたケンがようよう言った。
「五行天狗衆……マジでガキじゃねえか」
それは地雷だったのか、黒と呼ばれる女の後ろから小さい影が飛び出した。
僕はその姿を見て驚いた。
おかっぱ頭の白人少女。ちっちゃくて、中学生にしか見えない。
「子供じゃないよ! 高校二年だもん!」
「……あ、そうなん? でも、ケンさんだって二〇代だぞ?」
両成敗に持ち込む、カッシーのフォロー。
「でも……雪からみたら、おじさんだもん」
春物のニットに大きなスカートの同級生は、不満そうに上唇を尖らせた。
「ウソだろ、妹とタメかよ……」
うわごとみたいに呟くケン。キッと、睨む青い目。名前はどうやら、『雪』らしい。
「聞こえてるんですケドっ!?」
「なんでもいい……俺の用は済んだ」
青い横顔を見せ、立ち上がるケン。
イチバン後ろから進み出たカッシーが、白と黒の前に立つ。
まあ、そうするよな。カッシーだし。
「なんや、ぬりかべみたいに……どきよし」
カッシーは微動だにしない狼人間たちを、引き攣った顔で見ながら吼えた。
「ケンさん、これ、なんの冗談ッスか!?」
「冗談なんかじゃねえ。妹の人生が懸かってる」
「……え?」
「すまん、カシの字。俺はお前を利用した……少年、オマエの言う通りだ」
肩越しに視線を向けて来るケン。
その目の無機質さに、僕は足がすくみそうになる。
「他人なんざどうでもいい……ふんぎりついたワ」
あー……ヤブヘビだったか。
黒は白をカッシ―の後ろに隠すと、一番前に進み出る。
左の鉤爪が、ジャキンと音を立て、手袋から伸びた。
「待ちよし。人、呼びつけといて……」
ケンの背中が掻き消えた。
黒のそばを豪風が吹き抜け、髪が揺れた時には、ケンはカッシ―の横に出現。五メートルの距離を瞬間移動した。
まばたきも出来ない黒。凍りつく部屋に場違いなデラのBGM。
でも。
ケンのさらに右横へ、同時に出現していた白。右の指鉄砲を、遥か上にあるケンの側頭部へ突きつけていた。
「人を呼びつけといて、それはないでしょ?」
その声に呪縛の解けた黒が左後ろを振り向く。
白の右手首に巻かれたブレスレットが輝いているのを見て叫んだ。
「やめよし、割れてまうえ!」
こちらに背を向けたまま、右横の白に呟くケン。
「……やるじゃねえか。そういや、末娘が頭領だったな?」
そう言いながら、コートのポケットから抜いた札束を、ノールックで左横のカッシーに押し付けた。
大金は見慣れてるからすぐわかった。あれ、二百万くらいあるだろ?
「勘違いすんな。施設の弁償代だ……オマエと俺は金なんかじゃねえ」
「ケンさん……」
「俺への『借り』はチャラってことでどうだ? ンなモン、最初っからねえけどよ。五行天狗……」
こちらに体を向け、黒と白を等分に見ながらハンズアップ。
「今回は『意思の確認』だけだ。まだるっこしいが、約束なんでな」
誰とのだよ?
「白! 母はん怒らせたら、また『もやしだらけ』の刑やで!」
ケンの顔を見上げたまま、ゆっくりと右手を下ろす白。
腕輪の輝きが消えた。
「コイツラの用は分かってるだろ? ……勝手にやってくれ」
再びケンの姿が消え、一瞬だけ廊下の奥に姿を見せていなくなった。
……ホッとしたのも束の間。
だって、置き土産が存在感ありすぎだろ? 二〇体近くあるし。
ケンは消えたけど、今度は連中を抑えるヤツがいなくなったことが、不安で仕方ない。
姉妹らしい二人は、小声で何か言い争ってる。
カッシ―がニセ・新規勢を気にしながら僕を手招き。
僕も狼人間たちを刺激しない様に、そっとコントローラーを外すと、足音を殺して駆けた。
そうしながらも、目を開けたまま微動だにしないそいつらから目が離せない。
この世にあんまり期待してない僕だけど、死んだ後まで苦しむのはカンベンだ。
その時だった。
『疾く帰れ。ここは亡者の住む世界にあらず』
群れの中ほどから響いたキイキイ声に、思わず足を止める。服装が違うだけで、他と変わらないヤツだ。
ただ、ソイツだけは舌を出して忙しなく辺りを見回している。犬そのものだ。
「また始まった……さくっと片づけて、ドムドムバーガー行くえ」
そう言って、受付の長机に向かう後ろ姿。さっきケンに出し抜かれたショックからか、少し声が硬い。
白がその背に声を掛けた。
「黒ねえ、約定……あの人たち、返事待ってる」
「人ちゃう、低級魔や……このしきたり、何とかならんのけ? ボンズ、ブラインド開けよし」
わずかに振り返った黒に話を振られ、僕は反射的に振り返ってブラインドを見た。
……さっきまで座ってた辺りなら、低級魔ってヤツからも離れてるし。
不定期ですが、とにかくがんばります。
お付き合いいただけたらありがたいです。




