銃と鉤爪とネコミミ ~デラに理解があるなら、半魚人でも構わない~
公募用の作品なので、申し訳ありませんが、ガンガン改稿が入ります。
PV稼ぎするつもりじゃありませんが、もし内容が繋がらないってなったら、前に戻ってみてください。
完成してから載せればいいじゃんって話ですが、その通りです。
申し訳ありません。
(´;ω;`)
液晶モニターの中。角ばった二体のキャラが、ハイスピードで交錯する。
僕の操る『イーグル』が、相手の剣キャラを掴んで上空へぶん投げる。
垂直にブラスターをぶっ放して追撃、サマーソルトキックで画面の上へ蹴りだした。
『GAME SET!』
午前一〇時少し前。大阪・日本橋のEスポーツ施設。
デカくて四角い親友の喚き声が、まだ僕たちだけしかいない、オフ会場にこだまする。
「くっそおう! ラグさえあれば、負けなかったッ!」
「あるぜ? 一フレーム。ブラウン管じゃないし」
僕が笑うと、右隣のそいつが胡乱な目で吐き捨てる。
「言うと思った……こんな苔の生えたクソゲー、液晶でヤレる様にすんの、どれだけ大変だったと思ってんだ? あー、やめやめ」
『スマッシュ・アニキDX』の為に、ボタンを低くしたコントローラーを、テーブルへ置く樫沢。
高校の教室ほどのスペースには長机とモニターが並んでいて、奥には配信用の対戦台、僕の背後には実況のブースがある。
すぐ左側の窓は、ブラインドで遮光されている。僕はしげしげと会場を見回しながら思った。
ここ買い取って、毎日オフ開いたら、いつかアイツらに会えるかな。
『人間らしく生きる事』をやめられるかな。
もう、自分の事『ぼく』って呼ばなくて済むのかな。
カッシーの視線に気づき、僕は何食わぬ顔で言った。
「カッシ―の……えーと、応援団のOB? こんなとこ借りたのに、入場料も無料って……」
「『オンカジで当てた』とかフカしてたけど……遅いな、ケンさん」
その時、カッシ―の角刈り頭越し、五メートル以上向こうにある、入り口の扉が開いた。
「いよお、カシの字! ワリィ、遅くなった!」
現れたのは、ウェーブのかかった長髪に無精ひげ、長身の男。
「ケンさん!」
嬉しそうに立ち上がり、駆け寄る相棒の後ろ姿を眺める僕。
そのケンさん、春なのに長いコートを着てツバのないクラッシャーズハットを被ってる。
あんまり真っ当な人間には見えないけど、そこは僕も同じだしな。
なによりカッシ―の紹介だし、|スマッシュ・アニキDXに理解があるのなら、半魚人でも構わない。
僕は、ケンさんの後ろから、ゾロゾロ入ってくる連中に目を奪われた。
みんな若くて……元気がない。
ケンさんの前に立ったカッシーが、挨拶もなく席へ向かう彼らを避けながら呟く。
「多いっすね。どこでこれだけの人数……」
「君が蒼瀬くん? 話はこいつから聞いてる……カシ、わりいけど駅まで、次のヤツラ迎えにいってくんねえか?」
二つ返事で、分厚い体を横にし、人波を縫うようして部屋を出て行くカッシー。
こちらに悠々と歩いてくるケンさん。
ブーツのせいもあるだろうけど、百七十四センチある僕より、遥かに高く見えた。
「蒼瀬です、はじめまして」
二〇人近い来客が、次々とイスへ腰かけていくのが、頭を上げた時に見えた。
「会いたかったぜ? 積もる話の前に、一戦頼むワ」
真新しいコントローラーと、気さくな笑顔を見比べる。
……根っからの悪人じゃなさそうだ。
僕はお願いしますと返事し、並んでパイプ椅子に腰かける。
GRコンの接続タップに、ケンさんのコントローラーをつなぎ、少し考えてから、訊いた。
「こういうキャラを使ってみたいってあります?」
意外な答えが返ってきた。
「俺は『ハウンド』だ。ガキの頃、レーザーをぶっ放す姿に憧れてな」
ぎょっとして見上げてしまった。
「……すみません。てっきり、未経験者だと」
「家がビンボーでよ。こんなレトロゲーでも最高に楽しかった……懐かしいぜ」
愛おしげに画面を見つめる横顔。
参った……嫌いになれるかな。
「妹のお気に入りは盗賊だった。お姫様に変身できるから……かわいいだろ?」
僕は思わず笑った。
「仲いいんですね」
「ああ」
「僕は一人っ子なもんで……イーグルで行きます」
両側は切り立った崖になってるステージで向かい合う、犬型と鳥型のキャラ。
互いに武器やパンチで攻撃しあい、ダメージを蓄積させて、画面の外へ吹っ飛ばした方の勝ちだ。
『READY、GO!』
ケンさんのハウンドがブラスターを連射する。
僕のイーグルはジャンプでそれをかわすと上空から肉薄。
こちらの蹴りやブラスターを、全て当たるタイミングでガードしてみせた。
「マジ!?」
おもてなしも忘れ、僕は掴んで床に叩きつける。高等テクニックの床受け身でいなされ、距離を取った。
今ケンさんが見せた技は、どれも〇.五秒以下の猶予しかない。
興奮で全身が熱くなって来た。
「……失礼しました、全力で行きます」
「いや、俺の負けでいい」
右を振り返ると、銃口が僕の脇腹に突き付けられていた。
「ガードだけしか思い出せねえ」
思わず叫んだ。
「天才かよ!?……あ、すみません」
何とも言えない顔で僕を見下ろす、鋭角的なハンサム。
「『あれだけイカれた、フツーのヤツは、見たことない』……カシの言った通りだ」
「失敬な……ところで、金ならないですよ?」
「そんなもん、欲しけりゃいくらでもくれてやる」
まさかそう来るとは思わなかった。
鍵をかける音に目を向けると、客のひとりがドアから離れ、フラフラ戻るとこだった。
まあ、銃で脅す以上、僕の身にロクでも無いことが起こるのは間違いない。
椅子に座ったまま、ゆらゆらしてるだけの連中、そしてケンさんがテーブルに置いた、真新しいGRコンを見てから言った。
「……なら、僕になんの用? アンタがカッシー利用して、負い目感じてるのはわかるけど」
じゃなきゃ、わざわざ僕と対戦した意味がわからない。
銃を突きつけるためなら、背後からの方が捗るし、せめてもの誠意ってとこだろう。
僕ならそうする。
そもそも、デラのオフなんかに、こんなにたくさん若いヤツが来るわけないだろ。
……けど、そんな事どうでもいい。
怒りが声に漏れた。
「アイツ、アンタの事、尊敬してるんだぞ?」
「妹のためならなんでもやる……どんな事でもだ」
僕はケンって男の顔を見上げた。
静かな目。言い訳がましいことも口にしない。
「ふうん……『分かってくれ』って顔してたら、バカにしようと思ったけど」
ドアを外からガチャガチャやる音。
一斉に立ち上がって開かない入り口を向くエセ・新規勢。舌打ちするケン。
「早えな、アイツラ? 君の身体が必要だ。一緒に来てくれ、死にゃしねえ」
「……僕が行かなきゃ、妹はどうなるんです?」
「口にしたくもねえ。だから……」
相棒を裏切ったコイツに向かい、僕は清々しく笑って告げる。
「ダチならともかく、他人なんざ知るかよ」
バキリ、という音と共に、ノブが床に落っこちた。
次の瞬間。
スチールドアが、轟音と共に弾け飛ぶ。
「うおっ!?」
変形したドアが、こちらへ向かい、凄まじい勢いで飛んできた。
飛翔する凶器と、僕の間に座ってるケンが、そいつをあっさり受け止める。
「じゃまするえ。うわ、イヌくっさ」
ちぎったノブを握った影。入り口に立ち、メゾソプラノで毒を吐く。
「なんやモニター並べて……朝からオレオレ詐欺どすか?」
不定期ですが、とにかくがんばります。
お付き合いいただけたらありがたいです。
( ;∀;)




