好きです……おーじろうくん 3
公募用の作品なので、申し訳ありませんが、ガンガン改稿が入ります。
PV稼ぎするつもりじゃありませんが、もし内容が繋がらないってなったら、前に戻ってみてください。
完成してから載せればいいじゃんって話ですが、その通りです。
申し訳ありません。
(´;ω;`)
落ち着け、僕。
振り払ったり、喚いたりしたら……
カッシーの威を借りたら、もう相棒じゃなくなっちまう。
だから、視線を彷徨わせてるデブへ向かって、静かに訊いた。
「放せよ」
素直に手を離すソイツ。
ブレザーごとYシャツの襟を直しながら、青い顔のメガネに向かって言った。
「さっき、『ダブってんの? よく生きてんな』って笑ってたのオマエだろ? もっかい言ってくれよ」
何も言い返せないソイツ。僕は未だに動画撮ってるアホ女の顔をじっと見ながら言ってやる。
「他人撮る前に、テカった顔のアブラ気にしようぜ? あと、小顔メイクって哀愁漂うセリフだよな」
慌てて顔を押さえる女。
まあ、妥当な反応だ。別にフツーのメイクだけど、こういわれて気にしない奴はいない。
「その動画消せ。あと、図書室とここに来るのやめて? そしたら武田にチクらない」
未だに生徒をぶん殴る生徒指導の名前を聞いて、三人が顔を顰めた。
「……行こうぜ」
デヴが僕に一瞬ガンをくれてから、仲間といっしょに去ろうとした。
メガネが忌々しそうに持ってた花を投げ捨てるのを見て、僕の中で何かがキレた。
すれ違おうとしたメガネに向かって口が勝手に動く。
「おい、その花いらねえの? 告るときに使うんだろ……そこのアイコス吸ってるパイセンに」
「……あ?」
顔を斜めにし、至近距離でスゴむメガネ。
へえ、なかなかの圧だな。
僕はゲラゲラ嗤いながら両手の指鉄砲を向け、こっちから顔を近づけた。ヤニくせえな、こいつも。
「え、そのためにここへ呼び出したんだろ? どう、第二ボタンもらえそう?」
「エイジ、ほっとけ」
そのエイジが唸る。
「……ツレが見てるからってイキがってんなよ?」
「オイオイ。僕が何人に見えんの? もしかして乱視? ケンカぐらいひとりで出来るワ、いっしょにしないでくれる?」
ぶっちぎれた顔で唸るソイツ。
「コロすぞオマエ?」
僕は白目を剥いて、口真似してやった。
「コロすじょ、オマエー」
「上等だボケェ!」
わざわざ離れてから、右腕を振り回してきた。
見え見えの右フック。ラジオ体操してからでも間に合いそうなスピード。
なのに喰らって、目から火花が散った。
反射神経と、運動神経が僕くらい乖離してるヤツもいないだろう。
とっさに歯を食いしばって耐えたけど、髪の毛を掴まれた。
ヤバい。
これ、いつもの負けパターンだ。
こんな性格だから、人より殴り合いは経験してるけど、よくてうやむや、勝った試しはない。
耳に届く紅坂とカッシーの声。
え、今のはアオが悪くね?
そんな声が聞こえてきて、笑いそうになる。さすが僕の相棒。
何発も顔に拳を叩き込まれ、さすがに焦る。
アドレナリンのお陰で痛みはないけど、鼻の奥がキナ臭い。
顔を下げたら膝を喰らう。僕は狭窄した視界の中、メガネの革靴だけを凝視する。
思い切り左足で踏んづける。
ここだ!
髪が抜ける痛みを堪え、思い切り右フックを振り抜いた。
ガツッという、強烈な手応え。
相手がたたらを踏む。
顔を上げた僕の視界に入ったのは、ズレたメガネを外して怒り狂うソイツと……
その背後に飛び降りて来た、真っ白なふともも。ピンクの下着。
三階だぞ!?
けど、音もなく着地、当たり前の様に立ち上がった紅坂を見て息を飲む。
肩までの髪を右上の方で雑にまとめていた。
後れ毛だらけの髪の間から見える双眸は、初めて見る生気に輝いている。
何かを呟く紅坂。メガネが罵声を上げ、殴りかかって来ても、僕は彼女から目が離せない。
紅坂はその背後から、滑る様に距離を詰める。
足がかすむ程のスピードで繰り出した蹴りが、ソイツの側頭部へ炸裂。花壇へ棒の様に倒れて行く。
頭から地面に落ちる寸前、紅坂は制服を掴んで阻止。
何故かほっとした僕を嘲笑うかの様に、そこらへんに放り出す。
花壇、守っただけかよ?
僕の数メートル後ろから、デブが叫んだ。
「エイジっ!?……テメエ、殺すつもり……ちょ! 待て……」
疾風の如く僕の横を、走り抜けた紅坂。
振り向いた僕の目に映ったのは、神速のワンツーで、アゴを打ち抜かれ、膝からくずれ落ちたデヴ。
悲鳴を上げようとした、女の胸ぐらを掴んでビンタ。ソイツはガタガタ震えながら紅坂を見上げた。
僕が近づくと、紅坂が唇に当ててた人差し指を離し、自分の耳に手を当てた。
「……え」
女が訳もわからずそう呟いた途端、もう一発ピンタ。また耳を傾けるポーズ。
うわ……。
コレ相手から謝罪だけじゃなく、もうやりません、チクリませんとか、自発的に全部言わせるヤツだ。
「ケンさんかよ……」
上から降って来たカッシーの苦々しい声。
僕はやり過ぎだ、とか助けてもらったイジメられっ子みたいなダサいセリフは言いたく無い。
けど。
こんなヤツらはどうでもいいけど、紅坂はどうでもよく無いから、口を挟んだ。
「さっき言った通りだ。動画消して、大人しくしてろ」
紅坂、勝手に仕切って怒るかなって思ったけど、あっさり耳にあてていた手を離し、足元の曲がった一〇円玉を拾う。
「それと……」
胸倉を掴んだまま、紅坂が一〇円玉をかざす。
まさか、と思うまもなく、三本指でゆっくりと完全に折り畳んで見せた。
マジかよ。冷や汗が出た。
またさん付けで呼ぶ同級生が増えるってか?
「おしゃべりは、不幸な人を生む……OK?」
不定期ですが、とにかくがんばります。
お付き合いいただけたらありがたいです。
( ;∀;)




