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待ち合わせ
典子と会う前日。
里美が潤の家へ来た。
「明日、会うんでしょ」
「誰に」
「典子さん」
「うん」
「気をつけてね」
「何に?」
「取り込まれないでね」
「何言ってんの」
「だって……」
里美は言葉を止めた。
「似すぎてるから」
「孝子さんに?」
「うん」
「ただの親戚やろ」
「そうならいいけど」
潤は笑った。
「幽霊やとでも言うんか」
「そこまで言ってない」
*
夜。
机の上でライカが小さく鳴った。
――カシャ。
潤は飛び起きた。
「……また?」
触っていない。
ライカは机の上にある。
フィルムのカウンターだけが一つ進んでいた。
*
翌日。
三条京阪。
人の流れの中に典子は立っていた。
夏らしいワンピース。
少し大人びた髪型。
潤を見つけると笑う。
「徳田さん、お久しぶりです」
「典子でいいのに」
「まだ慣れません」
「そのうち慣れるよ」
二人は歩き出した。
潤はふと振り返る。
行き交う人々。
誰もこちらを気にしていない。
当たり前のことなのに、
なぜか少しだけ引っかかった。




