14.反逆の狼煙
冷たいコンクリートの地下室に、セリアの嗚咽が静かに溶けていく。
レイの不器用な、だが確かな熱を持った言葉が、彼女の砕け散った心を底の底で繋ぎ止めていた。
やがて、セリアはゆっくりとレイの胸から身を離した。
その顔は涙と泥でひどく汚れ、目は赤く腫れ上がっていたが、エメラルドグリーンの瞳の奥には、先ほどまでの「絶望に押し潰された人形」の面影はもうなかった。
代わりに宿っていたのは、己の存在意義を自らの手で掴み取ろうとする、痛ましいほどに純粋な『意志』の光。
「……ごめんなさい。もう、泣かないわ」
セリアは手の甲で乱暴に涙を拭い、自らの足でしっかりと床を踏み締めて立ち上がった。
レイは小さく鼻を鳴らし、無言のまま立ち上がると、再び壁際に身を預けた。
「……それでいい。泣いて世界が変わるなら、俺はとっくに海を作ってる」
相変わらずの憎まれ口だったが、その声色には、どこかホッとしたような微かな安堵が混じっていた。
その二人のやり取りを黙って見つめていたガレスが、重い溜め息と共に口を開いた。
「……作られた命、か。連邦の腐敗も、ここまで底が抜けているとはな」
ガレスは懐から新しいタバコを取り出し、火をつけた。紫煙が、淀んだ空気にゆっくりと溶けていく。
「アウターズのトップが過去の生体兵器の生き残りで、連邦の政治家たちが遺伝子操作で作られた操り人形。……笑えねえ冗談だ。だが、これで一つの辻褄が合った」
「辻褄……?」
セリアがガレスの方を振り返る。
「ああ。俺たちレジスタンスの第4居住区が、連邦の非正規部隊に奇襲された件だ」
ガレスは深く煙を吸い込み、忌々しそうに吐き出した。
「あんたの親父さん……アーサー・アークライトが俺たちを売った証拠とされた暗号通信。あれは恐らく、強硬派か、あるいは連邦内部に潜り込んでいるアウターズの工作員が『偽造』したものだ」
「偽造……! じゃあ、父は裏切ってなんかいなかった……!?」
セリアの顔に、希望の光が差す。
「親父さんは、特務機関の中でこの『デザイナーズ・チルドレン計画』と『ナンバーズの生き残りがアウターズを牛耳っている事実』に辿り着き、それを公にしようと動いていたんだろう。だが、それは両陣営にとって絶対に知られてはならない不都合な真実だった」
ガレスは鋭い眼光で、ホログラム端末を見つめた。
「だから奴らは、親父さんを暗殺する前に、レジスタンスへの情報漏洩の罪をでっち上げ、俺たちとの繋がりを完全に断ち切った。俺たちの拠点を潰したのは、親父さんを孤立させ、確実に抹殺するための布石だったんだ」
真実のパズルが、音を立てて組み上がっていく。
養父は、連邦の狂った計画を知りながらも、それに抗おうとした。そして、自分が愛した娘――政治の道具として作られた『セリア』という少女を、ただの人間として愛し抜き、その鎖を断ち切るために、すべての証拠を彼女に託して死んでいったのだ。
「……おとうさま……」
セリアは、ギュッと両手を胸の前で握り締めた。父の不器用で、しかし命懸けの深い愛情が、今度こそ真っ直ぐに彼女の胸を打った。
「感傷に浸っている暇はねえぞ」
壁際から、レイの冷徹な声が飛んだ。
「カインは、俺がここにいることを知った。無人機の群れは前哨戦に過ぎない。奴は必ず、アウターズの正規軍か、それに匹敵する戦力を差し向けて、この地下街ごと俺たちを焼き払いに来る」
レイの言葉に、部屋の空気が再びピンと張り詰める。
「……俺たちが生き残り、あのデータを意味のあるものにするための選択肢は一つしかない。……この星全体に、いや、宇宙のコロニー群にまで届く通信設備を奪い、すべての真実を白日の下に晒すことだ」
レイはガレスを睨みつけた。
「この地球に、それだけの出力を持った施設はあるか?」
「……一つだけ、ある」
ガレスはタバコを灰皿に押し付け、ニヤリと獰猛な笑みを浮かべた。
「ここから西へ三十キロ。かつて連邦が宇宙移民との融和の象徴として建造し、大戦後に強硬派が軍事接収した巨大通信施設――『バベルの塔』だ。あそこのメインアンテナと暗号回線を使えば、連邦のジャミングを強行突破して、太陽系全土の全回線に強制割り込みをかけることができる」
「三十キロか……。この船の残骸じゃ飛べねえし、歩いて行くには遠すぎるな」
トビーが顎を撫でながら思案顔になる。
「移動手段なら、俺たちの装甲車を出してやる」
ガレスは立ち上がり、拳を鳴らした。
「俺たちレジスタンスの目的は、連邦の首魁を地に引きずり下ろすことだ。そのデータが本物なら、命を賭ける価値は十分にある。地の底のネズミの意地、見せてやろうじゃねえか」
かつて敵対しかけた抵抗者たちと、逃亡者たちが、一つの巨大な目的のために手を結んだ瞬間だった。
「……問題は、そのバベルの塔の防衛戦力だな」
レイが冷静に指摘する。「当然、連邦の警備部隊が駐留しているはずだ」
「ああ、そこがお前さんの出番だ、レイ」
ガレスは、ニヤリと笑ってレイを指差した。「俺たちが塔の内部に侵入し、データを送信するまでの間、警備のモビルスーツ部隊を引きつけ、盾となる存在がいる。……あの銀色のバケモノに乗れるのは、お前さんだけだからな」
「……」
レイは無言で自身の右腕を見下ろした。
限界を超えた戦闘と、大気圏突破のダメージ。今の彼には、操縦桿を握る握力すらまともに残っていない。加えて、ヴォルフラムは装甲を失い、左肩はぶち抜かれ、武装のほとんどを使い果たした満身創痍のスクラップ同然だ。
「……機体が、もたない。それに、俺の体もな」
レイが自嘲気味に呟いた、その時。
「機体のことなら、心配すんな!」
バンッ!と、トビーが勢いよくテーブルを叩いた。
彼の瞳は、絶望的な状況であるにもかかわらず、メカニック特有の狂気に満ちた爛々とした光を放っていた。
「さっきクレーターから、あの白い指揮官機の残骸を回収したろ? 装甲はドロドロだったが、背中のスラスター・バインダーと、メインジェネレーターのコアは奇跡的に生きてたんだ。暗号ロックは俺が今全部ぶち破った」
トビーは親指で、格納庫の方向を指差した。
「あの白い機体と、ヴォルフラムの基本構造は同じ『ナンバーズ仕様』だ。……ヴォルフラムの空っぽになった右腕と左肩に、白い機体のパーツを強制的に移植する。ジェネレーターを直結させて出力を倍増させれば……装甲の無さを機動力で補える、トチ狂った化け物狼が完成するぜ」
「……共食い(カニバリズム)、か」
レイの瞳に、微かな光が戻る。
自分を殺そうとした過去の亡霊のパーツを、自らの機体に喰らわせる。
それは、彼が過去から逃げるのをやめ、過去を文字通りねじ伏せて前へ進むための、最もふさわしい儀式のように思えた。
「やってくれ、トビー。……俺は乗る」
レイの静かな、しかし確かな決意。
「任せとけ! 俺のメカニック魂のすべてを懸けて、お前を最強の死神に仕立て上げてやるよ!」
トビーは満面の笑みを浮かべ、工具箱を抱えて一目散に格納庫へと駆けていった。
「俺たちも、野郎どもをかき集めて武装の準備をする。出撃は一時間後だ」
ガレスも部屋を出ていき、地下空間には出撃の怒号と準備の喧騒が響き始めた。
部屋に残されたのは、レイとセリアの二人だけになった。
レイは再びよろめくようにして壁から離れ、出撃の準備に向かおうとした。
だが、その背中へ向けて、セリアが声をかけた。
「……レイ」
レイが立ち止まり、少しだけ顔を振り向く。
「……ありがとう。あなたがいてくれなかったら、私はきっと、立ち上がれなかった」
セリアは、泥だらけの顔に、今日初めての、憑き物が落ちたような澄んだ微笑みを浮かべた。
「あなたが守ってくれたこの命で……私に与えられた『人形』の役割を、私自身の意志で終わらせてみせるわ」
その言葉に、レイの胸の奥で、再びあの温かいものが静かに脈打った。
彼は、何も言わなかった。気の利いた言葉など、持ち合わせていない。
ただ、コックピットに向かう前に、一言だけ。
「……俺の背中から、離れるなよ」
それだけを言い残し、レイは格納庫へと歩み去っていった。
薄暗い第一格納庫の天井に向けて、溶接バーナーの青白い火花が滝のように降り注いでいた。
グラインダーの甲高い金属音が地下空間に鳴り響き、オイルと焦げた配線の匂いがむせ返るほどに充満している。
「……よし。メインジェネレーターのバイパス直結、完了。スラスター・バインダーの強制マウント、固定オーケーだ」
トビーは油まみれの顔を腕で拭い、安全帯を外してタラップから飛び降りた。
徹夜に近い極限状態での作業。彼の息は上がり、足元はふらついていたが、その瞳には天才メカニックとしての狂気的な達成感がギラギラと燃え盛っていた。
彼が見上げる先には、もはや元の姿を完全に喪失した『異形』がそびえ立っていた。
大気圏突破の摩擦熱で漆黒の装甲を失い、銀色の内部骨格と赤い発光回路を剥き出しにした『ヴォルフラム』の本体。
その左肩の欠損部と、背部のスラスター基部に、先ほど回収された白銀の指揮官機のパーツが、まるで力任せに縫い付けられたように接合されていたのだ。
鈍く光る銀と赤の骸骨の背中に、純白の分厚い装甲と、悪魔の翼を思わせる巨大なスラスター・バインダーが二枚、不気味なほどのアンバランスさを伴って張り出している。
それはまさに、敵の死骸を自らの肉体に喰らわせた『継ぎ接ぎの獣』だった。
「……ひどいツラだ。フランケンシュタインの怪物も逃げ出すぜ」
格納庫の入り口から、足を引きずりながらレイが現れた。
彼のパイロットスーツは新しいものに着替えられていたが、歩くたびに全身の関節が軋むような痛みが走っているのは明白だった。
「見た目の悪さは我慢してくれ。元々規格が同じ『ナンバーズ仕様』の機体とはいえ、無理やりジェネレーターを二つ直結させてるんだ」
トビーはスパナを片手に、真剣な表情でレイに向き直った。
「出力は元のヴォルフラムの倍以上だ。だが、その分バランスは最悪。おまけに、白い機体のパーツには、前のパイロットの神経接続の残滓データがへばりついてる。……システムを起動した瞬間、あいつの怨念がお前の脳みそを焼き切ろうとするかもしれない」
「……上等だ」
レイは、躊躇うことなくタラップに足をかけた。
「今の俺には、それくらい重い枷がある方がちょうどいい」
レイはコックピットに身を滑り込ませ、深く息を吐き出した。
そして、自身の右首筋にある接続端子を、コンソールのプラグへと迷いなく押し当てた。
『――システム・ヴォルフラム、起動。外部ジェネレーターの強制リンクを確認』
ピィィィィィンッ!!
警告音と共に、レイの視界が凄まじいノイズに覆われた。
強烈な電流が脳髄を駆け巡る。それと同時に、トビーが懸念していた通り、白銀のパーツに残留していた死んだ敵パイロットの断末魔と、カインへの狂信的な思念が、情報の濁流となってレイの精神に流れ込んできた。
『裏切り者ォォッ! 死ね、死ね! 我らの苦痛を思い知れェェッ!』
頭蓋骨の内側で、何十人もの亡霊が絶叫しているような感覚。
かつてのレイなら、この罪悪感と過去の呪縛に耐えきれず、自我を封印して暴走するか、あるいは意識を手放していただろう。
だが、今の彼は違った。
「……黙れ」
レイは奥歯を噛み締め、両眼を見開いて、その情報の濁流を正面から睨みつけた。
「お前たちの痛みも、カインの狂気も……全部、俺が逃げ出したせいで生まれたものだ。それは認める」
レイの口から、血が滲む。それでも、彼は操縦桿を握る手の力を決して緩めなかった。
「だからこそ、俺はもう逃げない。お前たちの怨念ごと、この機体と一緒に俺が全部背負ってやる。……俺の意志で、俺の背中を守るためにッ!」
レイの強烈な『個』の意志が、システム内で荒れ狂う亡霊たちのノイズを、力ずくでねじ伏せていく。
全天周モニターの明滅が収まり、クリアな視界が広がった。
機体の神経同期率は、パイロットの自我を完全に保ったまま、奇跡的な最適値である「60パーセント」でピタリと安定した。
ヴォルフラムの本体を這う赤い発光回路が、脈打つように強く輝く。
それに呼応するように、背部に移植された純白のスラスター・バインダーから、青白いプラズマの炎が静かに、しかし圧倒的な熱量を持って噴き出した。
『……生体波形、安定。メインシステム、オールグリーン』
「……トビー。完璧な仕事だ」
レイが通信機越しに言うと、モニターの向こうでトビーが顔をくしゃくしゃにして笑い、親指を立てた。
格納庫の外では、レジスタンスの出撃準備がすでに整っていた。
装甲板を溶接し、機関銃をハリネズミのように取り付けた無骨なサンドバギーが十数台、地鳴りのようなアイドリング音を響かせている。
その先頭車両、防弾ガラスで覆われた助手席に、セリアの姿があった。
彼女は両手で大切にメモリードライブを握り締め、真っ直ぐに前を見据えている。迷いのない、透き通った瞳だった。
運転席に座るガレスが、車載マイクを掴んで怒号を飛ばす。
「野郎ども、準備はいいな! 俺たちはこれまで、ずっと地の底で泥水をすすってきた! だが今日、この瞬間から、俺たちはただのネズミじゃねえ。この腐った世界の喉笛に噛み付く、反逆の牙だ!」
レジスタンスの兵士たちから、地響きのような雄叫びが上がる。
「目標は西へ三十キロ、連邦の巨大通信施設『バベルの塔』! 第一ゲート、開けェェッ!!」
巨大な歯車が軋む音と共に、地下空間と地上を隔てる分厚い防爆扉が、ゆっくりと左右に開いていく。
差し込んでくるのは、どんよりと濁った地球の黄土色の光。
だが、今の彼らにとって、それは確実に未来へと続く一筋の光明だった。
「行くぞ!」
ガレスの号令と共に、サンドバギーの部隊が猛烈な土煙を上げて地上へと飛び出していく。
そしてその後方から、地割れのような爆音を引き連れて、銀と赤、そして純白の翼を持った『継ぎ接ぎの獣』が、虚空へと躍り出た。
荒野の熱風が、機体を撫でる。
レイは全天周モニターのレーダーを最大出力に切り替え、進行方向を睨みつけた。
目的地である『バベルの塔』は、砂塵の向こう側に、天を突くような巨大な黒い影としてそびえ立っていた。
そして、その影の足元には、彼らの接近をすでに察知し、完全な防衛陣形を敷いている地球連邦軍の駐留部隊の姿があった。
「連邦の主力機『ジェガン』タイプが三十……いや、四十機か。ご丁寧に、後方には長距離砲戦用のタンクまで並べてやがる」
ガレスが通信機越しに舌打ちをする。無人機ではない。正規の訓練を受けた連邦の生身のパイロットたちだ。
「レイ! 敵の砲撃が来る前に、車列が散開して的を絞らせないようにする! お前は……」
「いや、その必要はない」
レイはガレスの言葉を遮り、ヴォルフラムの操縦桿を限界まで押し込んだ。
「俺が、真正面から道をこじ開ける。車列は速度を落とさず、俺の通った跡を一直線に駆け抜けろ」
「なっ……正気か!? 相手は四十機だぞ!」
ガレスの驚愕を背に受けて、レイは機体の背部に移植した純白のスラスター・バインダーを全開にした。
ドゴォォォォォォォンッ!!
音の壁を突き破る、凄まじい衝撃波。
二つのジェネレーターを直結させたキメラの推力は、レイの想像をはるかに超えていた。
荒野の大地がえぐれ、ヴォルフラムはまさに「瞬間移動」したかのような圧倒的な超加速で、連邦の防衛ラインのど真ん中へと突撃したのだ。
『な、なんだあの機体は!? 速すぎ……ッ!』
連邦軍のパイロットが通信回路で悲鳴を上げるのが聞こえた。
彼らがビーム・ライフルの引き金を引くよりも早く、レイは敵陣の懐に潜り込んでいた。
右腕の高周波ブレードを一閃する。
銀色の閃光が走り、最前列にいた二機のジェガンの胴体が、いとも容易く上下に両断され、巨大な火柱を上げて爆発する。
「……見える。遅すぎる」
レイの赤い瞳孔が、恐ろしいほどの集中力で敵の挙動をすべて捉えていた。
狂気による暴走ではない。守るべき者たちを背にしているという絶対的な覚悟が、彼の『No.07』としての戦闘能力を、完全にコントロールされた領域で極限まで引き出していた。
白いバインダーから噴き出すプラズマの炎が、機体の軌道を鋭角に変化させる。
被弾を恐れない肉薄。敵が密集している場所へ自ら飛び込み、味方撃ちを恐れて連邦軍が発砲をためらうコンマ数秒の隙を突いて、機体の関節を蹴り砕き、メインカメラを切り裂いて無力化していく。
圧倒的な蹂躙劇。
かつて人間を殺すためだけにプログラムされた悪魔の動きが、今は、後ろに続くセリアたちの命の道を切り拓くための、最も頼もしい『盾と剣』となっていた。
「……すげえ。なんだ、あの動き……」
後方を走るサンドバギーの中で、トビーが食い入るようにその光景を見つめていた。
「俺の組んだ無茶苦茶なバランスを、完璧に機体の挙動に組み込んでやがる。……あいつ、本当にバケモノだな」
「ええ……。でも、彼はもう過去の亡霊じゃないわ」
セリアは、砂塵の中で踊るように敵を薙ぎ払っていく銀と白の機体を見つめながら、誇らしげに微笑んだ。
「あれは、レイ・ヴァンガードよ。私たちの、大切な仲間」
連邦の防衛ラインが、レイの単騎駆けによって完全に分断され、中央に巨大な『穴』がぽっかりと開いた。
「今だ! 突っ込めェェッ!!」
ガレスの怒号と共に、レジスタンスの車列が、燃え上がる連邦機の残骸の隙間を縫うようにして、猛烈な速度で駆け抜けていく。
『バベルの塔』の巨大なエントランスゲートが、ついに彼らの目の前に迫っていた。
「……セリア。データは頼んだぞ」
レイは、空中で最後の連邦機を蹴り落としながら、通信機に向かって低く、熱い声で言った。
「ええ! 任せて、レイ!」
セリアの力強い返事と共に、車列は塔の敷地内へと雪崩れ込んでいった。
太陽系全土を揺るがす真実の送信まで、あとわずか。
だが、レイのレーダーは、塔の上空から降下してくる『新たなる巨大な熱源』を、すでに捉え始めていた。




