表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/32

断罪はじーさんから

 俺はキメポーズで得意げに告げ口勧告するアホ宇宙人と、そんな宇宙人に益々陶酔する連中を見て、首を振った。

 これは合図だ。

 どうしようも無い。最終手段に持って行く時に行動を移せる様に決めていた仕草だった。

 俺の視線に気付いて他の風紀委員は一旦持ち場から離れ、外に向かう。

 いや、今回のアホ中継を一部始終見ていたであろう、奴等にとって最悪で最強の断罪者の方々を迎えに行ったのだ。

 それを見届けてから俺は武石の声のまま低い低音でさっきから茶番を広げている輩に溜め息を吐いた。


「カスだカスだと思っていたが、これ程にまでカスだったのは一層清々しい。良い年して親に告げ口するとか、本当に脳みそが幼稚園児…いや、それ以下だな」

「な、何だと?!」

「良いだろう。お前が告げ口するならば、此方もそれ相応の相手を用意しています。馬鹿馬鹿しい事でしたが、念の為に此方にお招きしておいて正解でしたね」

「はっ! 誰を呼んだか知らねーが、俺達を脅すなんて手口が通用する筈、ねーだろうが」

「……そう言って居られるのも今の内ですよ」


 そして幾ばくもしない内に此処を離れた風紀委員達がある人物達を引き連れて戻って来たのを音で確認出来た。

 どの足音も心の底から呆れて、そして怒りが伝わって来る様な足音だった。


「お連れしました!」


 そして風紀の一人が声を上げると一斉に其方の方に振り向く。

 そこに居たのは奴等の保護者達である。


「………親父、じーさん…」

「に、兄さん」

「「ママ、パパ…!!」」

「お、父さん……」

「父さん、母さん…」

「親父…」

「か、監督。それに父さん、母さん……」

「えっ…!笹川さん、恵美子さん…?!!」


 奴等の表情が驚愕に変わる。

 そらそうだ。

 こうなる事を見越して読んだのは奴等の保護者で、呼ばれたとっても不味い相手であったのだから。

 その中には名前の呼ばれなかった人物も居た。

 武石先輩の祖父と父である。

 彼等には前もって武石の現状を教えている為に、此処に居る俺が偽者だと知っている。しかし、一番怒りを静かに周囲に撒き散らしているのはその二人であろう。

 無理も無い。

 先程、武石の様子を見て来た筈で、保健医からも症状を聞かされていた筈だ。

 そして、この茶番劇に怒りを隠せなくなるのも最もだ。

 奴等が硬直している最中、一番に言葉を発したのは他でもない武石の祖父だった。

 武道の名門の前当主と言ってもその実力は未だに健在だ。

 もの凄い威圧感を与えている。


「……先程からの映像見せて貰ったわ…。この様な戯れに我が孫が付き合わされた挙句に命の危機にまで晒されたのは許せぬの…」


 その言葉に、呆けていた生徒達から漣の様に悲鳴が広がり。漸く硬直から解けて、武石の祖父が言った言葉を他の生徒達も理解出来たのだ。

 …武石が倒れ、生徒会機能停止。更には倒れた武石はまだ昏睡状態だと言う噂が事実であると、身内から暴露されたのだ。

 一斉に壇上にいる無能集団にキツイ視線が送られる。


「…自己管理と、頑固過ぎて自業自得な部分もありますが、忠義らしい。しかし、あそこまで追い込まれた姿を見ると親として見過ごす事も出来ない。今更ながらに感謝を。流山四紀君」


 武石の父は祖父に継いでそう口にすると俺の正体をあっさりとばらした。

 まあ、祖父が武石が倒れていると口にした事だし、こう言う流れの持って行き方になると粗方想像は付いていた。

 なにせ武門の武石家は義理堅いので有名なのだ。表を表すとしたら彼等武石の者で、裏の者は流山家だ。

 俺は武石の口真似を止めて、何時もの声に戻して声を発した。


「お忙しい中、集まって頂きすみません。ですが、余りにもご子息が不憫で此方も裏から手を回す羽目になってしまいました」

「いや、流山家本家筋の者の言葉を疑う余地は無い。何より証拠まで持ち込まれたら此方も動かなければならないからの。今回の情報の提供は誠に有り難い」

「そうです。貴方が居なければ忠義はもっと酷い状況に陥って居たのは想像に難なく無い。今も心より感謝を申し上げるが、後日、改めて感謝を申し上げます。三笠君もわざわざ忠義の為に有難う」

「こうなるのは避けたかったんですがね…。本当に此方も力不足で申し訳無いです。あんだけ親父さん達に頼まれていたのに…」


 感謝と労いの言葉を貰った三笠は頭を掻きながら少々申し訳無さそうに言う。

 だが、目の前の二人は揃って苦笑した。


「我が孫ながらに頑固じゃて。此処までこれたのも三笠君の尽力あってこそ。力不足何ぞとんでも無いわい」

「ええ。君には感謝しています。今回が特別過ぎただけですので」

「そう言って貰えて有り難いっす」

「ふむ。積もる話もあるが、他の皆様も言いたい事がおありの様じゃの。また後でゆっくり話そうぞ」

「はい」


 そう告げてから武石の祖父はアホ宇宙人に一喝入れた。

 その迫力は中々なの物である。

 生ぬるい生活にしか慣れ親しんでいる者達には恐怖を覚える迫力だろう。関係ない一般生徒達からも微かに悲鳴が漏れた。

 直に武石祖父の覇気を浴びる形となった宇宙人達は硬直して、口も開けない状況になった様だ。


「先程から此処の様子と、以前からの様子を別室で他の方々と見ておったが、何たる体たらくじゃ! この愚か者共が!! 主等に上に立つ資格何ぞ何も無い事は最早明白じゃ!! 自己努力怠り、愚かに身近なものを身勝手に捨てる何ぞ正に愚かの骨頂なり! 特にそこのお主!」


 武石祖父が宇宙人を睨み付ける。

 そしてその視線は殺気を帯びていて、生ぬるい殺気しか感じた事の無いアホ宇宙人はひぃっと情けない声を上げた。


「全く持って愚かなり! 自分の考えが正しいとばかりに他者に強引に押し付けるとは何と浅はかな未熟者が! その性根も腐りきっておる! それがこの様な事態を招いたとまだ気付かないとは」

「君が天才? ただの馬鹿と天才は紙一重と良く言葉を聴きますが。君はどうみても愚かな方だね。 何時までの幼児のままでいるのかな? 後、外見がどうのこうの言っているが、君は身だしなみを自身がちゃんとしてから他者に言うべきだ。 なんだい、その変な髪形と眼鏡は? 見る者を不快にしかさせない姿だ。これを薦めた者も愚かだと言う事が良く分かるよ」


 おおーっとズバズバと武石保護者の断罪だ。

 まあ、不快にしか思うわな。

 外見で判断するなとか言うけど、宇宙人の場合は、余りにも不愉快な成りだからな。

 保護者の断罪タイムを楽しんで暫くは見守るか。


じーさん無双www


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ