表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神への階と十五柱の花嫁  作者: 輝夜月愛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/89

第61話:ローレンツ家の反省会と、十柱の女神へのプロポーズ

【転生後の世界・ローレンツ邸 サロン】


古代魔導帝国ゼクシアを完全に沈黙させ、娘たちを無事に奪還した翌日。

ローレンツ邸のサロンでは、重々しい空気の中で「家族の反省会」が開かれていた。


テーブルの片側にはライルとサクヤ、そして四人の妻たち。

向かい側には、少しバツの悪そうに肩をすぼめる、身長190センチの十人の女神(娘)たちが並んで座っている。


「……まずは、全員無事に帰ってこられて本当によかった」


ライルが口火を切ると、長女のベイラが申し訳なさそうに視線を落とした。


「ごめんなさい、パパ。私たちが、帝国の罠だと見抜けずに突っ走ってしまったせいで……。パパたちを傷つけて、あまつさえあんな……っ」


「いいんだ。洗脳魔法は君たちのせいじゃない。僕が反省しているのは、そこじゃないんだ」


ライルは真剣な表情で、十人の娘たちを真っ直ぐに見つめた。


「ゼタから、あの『愛と隷属の呪縛陣』の仕組みを聞いた。

あれは、対象の心の中にある『最も巨大な愛情』を反転させ、術者へ向けさせる魔法だそうだ。……つまり、君たちが洗脳されてしまった最大の原因は、**『僕への愛情が行き場をなくして、宙に浮いた状態になっていたから』**なんだ」


「宙に浮いた愛情……」

銀髪のリーフェが、ハッとして顔を上げる。


「君たちは女神としての規格外の力と、大人の女性としての完璧な美しさを持っている。

でも、僕はずっと君たちを『手放したくない可愛い子供』として扱ってきた。誰にも嫁にやるつもりはなかったが、かといって、君たちのその大きすぎる愛情に『明確な答え(形)』を与えてこなかった」


それが、帝国に「心の隙」として付け込まれた最大の原因だった。

子供としての愛では収まりきらない。けれど、ママたちのようには愛してもらえない。

そのアンバランスな依存状態を、皇帝ガリウスに利用されてしまったのだ。



【決断 ~空白の席を埋めるもの~】


ライルはスッと立ち上がり、十人の娘たちの前に進み出た。

そして、同化している最高神が「おいおい、本気か!?」と魂の中で驚愕するのを無視し、静かに、しかし絶対の覚悟を持って宣言した。


「ベイラ、リーフェ、ヘスティアー、ヘカッテ、アフロディテ……みんな。

君たちは、僕の魂から生まれた、神の分身だ。血の繋がった人間じゃない。だからこそ、君たちのその大きすぎる想いには、僕自身が『男』として、正面から応えなきゃいけないと気づいた」


娘たちの美しい瞳が、信じられないものを見るように見開かれる。


「パ、パパ……? それって……」

ヘスティアーの琥珀色の瞳が揺れる。


ライルは、マジックバッグから「十個の真珠の指輪」を取り出した。

それは、昨夜ライルが自身の幸運と魔力を結晶化させて創り出した、世界に一つだけの指輪。


「君たちが15歳の誕生日を迎える日。……僕と、正式に結婚してほしい。

もう、君たちの心を宙ぶらりんにはさせない。僕の『娘』としてじゃなく、僕の『婚約者』として、これからの永遠の時間を一緒に生きてくれないか?」


それは、父親からの卒業宣言であり、十柱の女神に対する一世一代のプロポーズだった。



【女神たちの歓喜と、ローレンツ家の新たな形】


シン……と、サロンが静まり返った。

十人の女神たちは、自身の目の前に差し出された指輪と、ライルの真剣な瞳を交互に見つめ――。


「あ……ああ……っ!!」


次の瞬間、大粒の涙をポロポロとこぼしながら、全員が一斉にライルに飛びかかった。


「パパぁっ……! ううん、あなたっ!!」

「夢みたい……っ! ずっと、ずっとパパのお嫁さんになりたかったの!!」

「私たち、絶対に世界一幸せな妻になりますわ!!」


身長190センチ、股下110センチの完璧なプロポーションを持つ十人の美女たちに押し倒され、ライルは再びサロンの絨毯に埋没した。

だが、かつての「子供からのじゃれつき」とは違う。彼女たちの瞳には、一人の女性としてライルを愛し抜くという、熱く、揺るぎない光が宿っていた。


「ちょっと、主さまが潰れてしまいますよ」


サクヤが苦笑しながら声をかける。

妻たちも、この結末を事前にライルから相談され、了承していた。

「ライルの魂から生まれた子たちなんだから、実質、私たちと同じ『ライルの半身』みたいなものだしね」と、ファンタジー世界特有の柔軟な倫理観(と夫への絶対の信頼)で受け入れてくれたのだ。


「ふふっ。これからは、私たち『先輩の妻』として、花嫁修業を厳しく指導しなくてはいけませんね」

第一夫人のフィリアが優しく微笑むと、十人の女神たちは一斉に「はいっ! お義母様ママ!!」と元気よく返事をした。


「……我が王。本当に、規格外にも程があります」

部屋の隅で控えていたメイドのゼタ(元魔王)が、呆れと深い敬意の混じったため息をついた。

帝国という強大な敵を滅ぼしただけでなく、その危機すらも利用して、家族の絆を「物理的にも精神的にも」完全なものへと昇華させてしまったのだから。


かくして。

皇帝の卑劣な罠は、ライルと十柱の女神たちを「真の夫婦(婚約者)」へと結びつける、最高のスパイス(結果オーライ)となって終わった。

彼女たちが15歳を迎えるその日まで、ローレンツ家はさらに甘く、騒がしく、そして絶対に揺るがない無敵の幸せを謳歌していくことになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ