表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神への階と十五柱の花嫁  作者: 輝夜月愛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
58/89

第58話:大聖堂の死闘と、引き裂かれた女神たち

【帝都ゼクシア・大聖堂 ~開戦~】


正午。

帝都の中央にそびえる大聖堂では、荘厳な鐘の音が鳴り響き、ガリウス皇帝と十柱の女神たちによる『婚姻の儀』が始まろうとしていた。

純白のウェディングドレスに身を包んだ、身長190センチの絶世の美女たち。長く美しいストレートヘアが真昼の光に透け、彼女たちは虚ろな瞳でガリウスに傅いていた。


「さあ、私の愛しい花嫁たちよ。永遠の誓いを――」


ドゴォォォォォォンッ!!!


その時、大聖堂の巨大なステンドグラスと天井が、黄金の覇気によって物理的に粉砕された。

降り注ぐガラスの雨の中、舞い降りたのは、怒りに瞳を燃やす神王・ライル。


「……その汚い手で、僕の娘たちに触れるな!!」


「来たか、神王。だが、遅かったな」

ガリウスは玉座から一歩も動かず、冷酷に指を鳴らした。

「やれ、私の妻たち。お前たちの愛を脅かす敵を排除しろ」


「「「はい。最愛のご主人様」」」


ウェディングドレス姿の娘たちが、一斉にライルへと殺意を向けた。



【絶対防衛戦 ~無敵の父の弱点~】


「パパの……いや、ご主人様の敵!!」

三女ヘスティアーが、純白のドレスを翻しながら、神滅の白炎をライルに向けて放つ。

さらに、四女ヘカッテが重力を操作し、ライルの動きを泥沼のように重く縛り付けた。


「くっ……!」

ライルは防御結界を展開するが、190センチの神の器から放たれる圧倒的な魔力の連続攻撃に、結界はガラスのように軋む。


娘たちに手加減はない。彼女たちの瞳には、ライルが「最愛のガリウスを殺しに来た悪鬼」として映っているのだ。

ライルは剣を抜けない。少しでも反撃の覇気を放てば、洗脳で防御の甘くなっている娘たちの魂ごと破壊してしまう。


「死になさい、侵入者!」

長女ベイラが放った絶対零度の氷槍が、ライルの肩を掠め、鮮血が舞う。


「ライル!!」

そこへ、サクヤ、四人の妻たち、そして神魔ゼタが空間転移で駆けつけた。


「ゼタ! サクヤ! 僕が囮になる、その間に結界で娘たちを分断しろ!」

「承知いたしました、我が王!」


ゼタが神魔の力で大聖堂の空間を強制的に切り離し、サクヤたち妻が、本来の母親としての愛と魔力で、突進してくる娘たちに組み付いた。


「ベイラ! ヘスティアー! 目を覚ましなさい!」

サクヤが長女ベイラを抱きすくめ、ゼタが用意した『強制解呪の転移陣』へと押し込む。

激しい抵抗と乱戦の中、ライルたちは傷だらけになりながらも、ベイラやヘスティアーを含む**「五人の娘」**を転移陣に放り込むことに成功した。


「よし! あと五人……っ!」


ライルが残りの娘たちに手を伸ばした、その時だった。



【最悪の誓い ~精神崩壊~】


「させんよ。……『空間隔絶・絶対領域』」


ガリウスが、玉座の周囲に皇帝の命を触媒とした超高密度の防壁を展開した。

その内側には、銀髪のリーフェ、星空の髪のアフロディテを含む、残る五人の娘たちが取り残されていた。


「リーフェ! アフロディテ!!」

ライルが防壁を叩くが、皇帝の命を懸けた結界はすぐには砕けない。


防壁の内側で、ガリウスは血を吐きながらも、狂気的な笑みを浮かべてリーフェの腰を引き寄せた。


「さあ……儀式の続きだ。永遠の愛の誓い(キス)を」


「やめろぉぉぉっ!!」

ライルの絶叫が響く中、ガリウスの唇が、洗脳されたリーフェの唇に重なった。

アフロディテたち他の四人にも、魔導具を通じた「強制的な愛の誓約」が刻み込まれる。


その瞬間。

リーフェの美しい銀色の瞳が、極限まで見開かれた。


『……あ……ぁ……』


彼女の脳内で、洗脳による「ガリウスへの愛」と、魂の底に刻まれた「パパ(ライル)への絶対の愛」が、誓いのキスをトリガーにして激しく衝突した。

信じていたもの、愛していたものが完全に矛盾し、バグを起こす。


『あああぁぁぁぁぁぁぁっ!!?』


大聖堂に、悲痛な絶叫が響き渡った。

リーフェも、アフロディテたちも、純白のドレスを血が滲むほど強く握りしめ、そのまま糸が切れた人形のように、ガリウスの足元へ崩れ落ちた。

洗脳と偽りの愛に引き裂かれ、彼女たちの精神が**「崩壊」**したのだ。



【残されたタイムリミット】


「リーフェ!!」

ライルが防壁を叩き割ろうと拳を振り上げる。


「無駄だ、神王。彼女たちの精神は今、完全に壊れた」

ガリウスが、崩れ落ちたリーフェの長い髪を撫でながら、ライルを嘲笑った。


「貴様らは、間一髪で五人を連れ帰るのが精一杯だったようだな。

……だが、この五人はすでに私の『妻』となった。精神が壊れようと関係ない。今宵、この五人と床入りを果たし、その純潔を散らして完全に私のモノとする!

肉体に不可逆の快楽と絶望が刻まれれば、彼女たちの精神は二度と元には戻らん!」


「……ガリウスゥゥッ!!」


「主さま! いけません、これ以上は帝国の全軍が結集します! 一度引いて、救出した五人の洗脳を解かなければ!」

サクヤが、血の涙を流すライルを背後から必死に羽交い締めにして止めた。


ライルは、床に倒れ伏す愛しき五人の娘たちを、ガラス越しの結界から見つめた。

今ここで結界破壊に時間をかければ、救い出したベイラたち五人の洗脳を解く前に、味方が全滅するリスクがある。


「……必ず、助けに来る。絶対にだ」


ライルは奥歯を噛み砕くほどの怒りを飲み込み、サクヤたちと共に転移陣へと飛び込み、大聖堂からの一時撤退を余儀なくされた。


残されたのは、精神が崩壊した五人の娘と、今宵の「床入り(純潔の喪失)」を宣言する冷酷な皇帝。


夜が来るまで、あと半日。

救い出した五人の洗脳を解除し、精神を壊された五人を「不可逆の絶望」から救い出すための、極限のタイムアタックが始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ