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神への階と十五柱の花嫁  作者: 輝夜月愛


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第55話:次元の修復と、神魔のメイド(教育係)爆誕

【現代日本 ~東京スカイツリー最上階~】


展望台の天井、すなわち現代日本の空には、禍々しい赤紫色の「次元の亀裂」が巨大な口を開けていた。

そこから絶え間なく溢れ出ようとする魔界の瘴気を、服従を誓ったばかりの魔王ゼタが、己の全魔力を振り絞って押さえ込んでいた。


「くぅぅっ……! さすがに、世界の穴を私一人で閉じるのは……ッ!」


ゼタの漆黒の翼がミシミシと悲鳴を上げる。

そこへ、トン、と温かく力強い手が彼女の肩に置かれた。


「一人で背負う必要はないさ。君はもう、僕の『身内』なんだから」


ライルだった。

彼はゼタの隣に立ち、胸の奥に宿る『二つの世界の最高神』の権限を解放した。

同時に、サクヤをはじめとする四人の妻たちが、転生前の女神としての清らかな神気をゼタへと注ぎ込む。


さらに、背後に控える十人の娘たち――身長190センチ、股下110センチの圧倒的な美脚と、艶やかなストレートロングの髪をなびかせる第一・第二世代の女神たちも、一斉に天に向かって手をかざした。


「パパの新しい部下の手伝いをしてあげますわ!」

「ほら、しっかり魔力回路を繋ぎなさい、新入り!」


ベイラやヘスティアーたちが放つ、宇宙の理すら歪めるほどの膨大な神気。

それがライルを媒介とし、ゼタの魔力と完全にシンクロした。


「な、なんだこれは……!? 桁が違う! 力が、無限に湧き上がって……ッ!」


ゼタの体が、まばゆい黄金と漆黒の混じり合った光に包まれる。

ライルの『運命を操作する覇気』と、十四柱の女神たちの『純粋な神気』。それを極近距離で、自らの魔力回路に直接流し込まれたのだ。


「行くぞ、ゼタ。タイミングを合わせろ」

「は、はいっ! 我がマスター!!」


ライルとゼタが同時に天へ向かって力を放つ。

カァァァァァァッ……!!!

現代日本の空を覆っていた赤紫色の亀裂が、光の奔流に縫い合わされるようにして、完全に消滅した。

漏れ出していた魔物たちも霧散し、東京の空に、本来の穏やかな青空が戻ってきた。



【魔王の昇華 ~神魔の誕生~】


「……終わったな」

ライルが息を吐き、ゼタの方を振り返った。そして、少し驚いたように目を丸くした。


「ゼタ、君……その姿」


「え……?」

ゼタは自身の両手を見下ろし、息を呑んだ。

露出の多かったボンデージ風の魔王の鎧は、光の粒子となって砕け散り、代わりに彼女の体を包んでいたのは、漆黒と純白が織りなす**「神々しくも気品ある、豪奢なメイド服」**だった。

蝙蝠の翼は天使のような白と黒の混じり合った美しい羽へと変化し、頭の角は王冠のような滑らかな曲線を描いている。


ただの魔族ではない。神の気と魔の力が完全に融合した、上位存在**『神魔しんま』**への進化。

世界を修復するという奇跡の片棒を担ぎ、ライルたちの神気をその身に浴び続けたことで、彼女の魂そのものが更なる高みへと引き上げられたのだ。


「あ、ああ……力が、以前とは比べ物にならないほど澄み渡っている。

これが、我が王が私に与えてくださった新たな命……!」

ゼタは自身の変化に打ち震え、再びライルの前に深々と跪いた。


「ふふっ。パパのおかげで、少しは私たち(女神)の美しさに近づけたみたいね」

長女のベイラが、自身の長い髪を揺らしながら満足げに微笑む。


「……似合ってるよ、ゼタ。これで心置きなく、僕たちの世界へ帰れるな」


ライルは優しく微笑み、再び空間にゲートを開いた。

現代日本での「落としボランティア」を完璧に終えたローレンツ一家は、新たな家族(最強の神魔メイド)を引き連れ、故郷を後にした。



【ローレンツ邸 ~新たなる誓い~】


【転生後の世界】。ローレンツ邸の育児室。

無事に帰還したライルたちを出迎えたガニスやマリアたちは、ゼタの放つ底知れないオーラ(神魔の威圧感)に一瞬警戒した。


「ご苦労だったね、ガニス、マリア。紹介するよ。今日からうちで働くことになった、ゼタだ」


ライルに促され、ゼタは静かに一歩前に出た。

そして、ベビーベッドで無邪気に笑う五人の「普通の赤ん坊たち」を覗き込んだ。


ゼタは息を止めた。

魔界のどんな宝玉よりも澄んだ瞳。神気も魔力も一切持たない、触れれば壊れてしまいそうなほど脆く、だからこそ限りなく尊い「純粋な命」。


(……ああ。我が王は、これほどまでに愛おしい宝を、この私に守れと仰ってくださったのか)


ゼタの目から、ツツーッと一筋の涙がこぼれ落ちた。

かつて魔界の玉座で感じていた孤独や退屈は、もうどこにもない。

彼女はメイド服のスカートを優雅につまみ、ライルとサクヤ、そして赤ん坊たちに向かって、これ以上ないほど美しいカーテシー(淑女の礼)を披露した。


「我が王ライル様。そして奥様方。

私、ゼタは、この命と神魔の力のすべてを懸け、坊ちゃま、お嬢様方をお守りいたします。

……最強の盾となり、そして最高の知識を授ける『教育係』として、生涯このローレンツ家にお仕えすることを誓います」


「ああ、頼りにしてるよ、ゼタ」


ライルが温かく頷き、サクヤたち妻も「ふふっ、マリアたちに強力なライバルが現れましたね」と微笑み合う。

十人の女神(姉)たちも、「新入り! おむつ替えのスピード勝負よ!」と早速ゼタを巻き込んで騒ぎ始めた。


かくして、二つの世界を股にかけた大騒動は幕を閉じた。

恐るべき魔王は、無敵の幸運を持つ主人公に魅了され、世界で最も美しく、最も過保護な「神魔のメイド兼・教育係」として、永遠の忠誠を誓ったのだった。


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