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神への階と十五柱の花嫁  作者: 輝夜月愛


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第45話:東の海のバカンスと、理性が溶ける家族風呂

【東の海・リュステリアのプライベートビーチ】


「パパ! 早く早くー!」

「主さま、日差しが強いですから日焼け止めを塗りますわ」


ローレンツ家・夏の陣は、王都の猛暑を逃れ、東の海へと舞台を移していた。

かつて次女のユリィナが深海族を「パパの生け簀係(現在は真面目な水産加工業者)」として調教したこの海は、今や完全なライル家のプライベートリゾートと化している。


白い砂浜に、パラソルと寝椅子。

完璧なバカンスのシチュエーションだが、ライルの胃痛は王都にいる時よりも悪化していた。


「……お待たせしました、パパ」


更衣室のテントから、五人の娘たち(第一世代)が姿を現した。


ライルは飲んでいたトロピカルジュースを吹き出しそうになった。

身長190センチメートル。

そのうちの股下110センチという、神がかり的に長く美しい脚が、惜しげもなく真夏の太陽の下に晒されている。

眉目秀麗、八頭身のパーフェクトなナイスバディーを包むのは、それぞれの属性カラーに合わせた刺激的な水着。

そして、潮風にサラサラとなびく、腰まで届く艶やかなストレートロングの髪。


「どう? パパ。似合うかな?」

ヘスティアーが、オレンジ色のビキニ姿でクルリと回る。健康的な色気が爆発している。


「パパのために、少し布地面積の少ないものを選んでみましたのよ」

ベイラが、長い脚を交差させて挑発的に微笑む。純白のパレオが風に揺れ、女神のオーラが視覚を麻痺させる。


「ちょ、お前たち……! さすがにそれは……刺激が強すぎるというか……」


ライルが目を逸らそうとすると、今度は背後から妻たちが現れた。


「あら、娘たちばかり見ていては駄目ですよ、主さま」

サクヤをはじめとする五人の妃たちも、娘たちに負けず劣らずの神々しい水着姿である。


「さあライル! あたしたちと一緒に泳ごう!」

「主さま、私とビーチバレーを」


右を見れば190センチの絶世の美女たち(娘)、左を見れば神格持ちの絶世の美女たち(妻)。

海から顔を出して警備をしていた深海族のタコが、「尊すぎる……」と呟いて鼻血を出し、海へと沈んでいった。



【ビーチの惨状】


その後、ビーチは凄まじいことになった。

娘たちが「パパにいいところを見せる!」と張り切った結果、ビーチバレーのスパイクで海が真っ二つに割れ、スイカ割りではヘカッテの重力魔法によりスイカがブラックホールに飲み込まれ消滅した。


「……お前たち、少しは手加減というものをだな……」


疲れ果てたライルは、夕暮れ時、パラソルの下でぐったりと倒れ込んでいた。



【そして夜……恐怖の『家族風呂』】


バカンスの締めくくりは、リゾート施設に作られた巨大な天然温泉(露天風呂)だった。

ヘスティアーが地下の地熱を調整して湧かせた、極上の湯である。


「ふぅ……。やっと一息つける……」


ライルは広い露天風呂に一人浸かり、夜空を見上げていた。

妻たちも娘たちも、今は女湯でキャッキャと騒いでいるはずだ。

この孤独な時間だけが、今のライルにとって唯一の安らぎだった。


ガラッ。


だが、その平穏は無情にも打ち砕かれた。

岩陰から、バスタオル一枚を巻いた絶世の美女が、ぞろぞろと現れたのだ。


「……お邪魔しますわ、パパ」

「背中、流してあげるね、パパー!」


湯煙の中から現れたのは、ストレートロングの髪をアップにまとめたベイラやヘスティアーたち、五人の娘だった。

バスタオルからスラリと伸びる110センチの長い脚が、お湯をちゃぷんと鳴らして入ってくる。


「なっ!? お、お前たち! ここは男湯だぞ!?」

ライルがお湯に沈み込みながら叫ぶ。


「えー? だって私たち、パパの『娘』でしょ?」

ヘスティアーが、悪びれもせずにライルの背中にピタリと張り付いてきた。豊かな双丘の感触が、背中越しにダイレクトに伝わってくる。


「か、家族だからって、お前たちはもう立派な大人……いや、女神だろうが!」


「ふふっ。パパにとっては、私たちはいつまでも可愛い子供ですわ。……違いますの?」

ベイラが妖艶に微笑み、長い指先でライルの肩の筋肉をなぞる。


「それに、神界には混浴の文化がありましたから、全く恥ずかしくありませんわ」

リーフェがお湯をすくい、ライルの腕にそっとかける。


「家族」という、この世で最も反論しづらい絶対の盾。

中身が「パパ大好きっ娘」のままである彼女たちにとって、パパと一緒にお風呂に入るのは、幼い頃からの日課の延長でしかないのだ。

だが、その外見は誰もが平伏す八頭身のナイスバディー。ライルの理性は、限界突破の警報を鳴らしていた。


「パパ、顔が真っ赤だよ? のぼせちゃった?」

アフロディテが不思議そうにライルの顔を覗き込む。


「ち、ちが……っ、頼むから少し離れて……!」


ライルが逃げ出そうとした、その時である。


ガラララッ!!


「――あら。娘たちがパパの背中を流すなら、妻である私たちが黙っているわけにはいきませんね」


露天風呂の入り口に、サクヤたち五人の妻が、腕を組んで立っていた。

その背後には、般若のような(しかし美しい)オーラが立ち上っている。


「マ、ママ……!?」

「主さま。娘の教育が足りていないようですね。お風呂での『正しい背中の流し方』は、妻が教えなくては」


サクヤがバスタオルをふわりと外し、お湯へと足を踏み入れた。


「ちょ、サクヤまで!? みんな、落ち着け! ここは男湯……!」


「「「家族風呂です(わ)!!」」」


妻と娘たちによる、見事なユニゾン。

もはやライルに逃げ場はなかった。


「さあパパ! あたしが右の肩を洗う!」

「私は左腕を……」

「主さま、私は正面を洗って差し上げます」


190センチの女神たちと、神格を持つ妻たち。

総勢十人の絶世の美女たちが、ひしめき合うようにライルに群がる。


「だ、誰か……助け……ゴボボボッ!!」


天国か、地獄か。

東の海の夜空に、ライルのくぐもった悲鳴と、美しき女神たちの楽しげな笑い声がいつまでも響き渡っていた。

ライルの理性と胃壁が、真夏のお湯に完全に溶け去った夜だった。


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