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第一次「異」世界大戦  作者: 七十八十
新世界暦2年
171/201

Battle of Shanghai

新世界暦2年1月7日 中華人民共和国 上海上空


《全機、間もなく敵機をレーダーが捉えるはずだ。それと同時に攻撃を開始する》


まるでどこぞの映画のように、夕闇の空を大量の戦闘機が編隊を組んで飛行する様は、壮観である。

各国から「攻撃機じゃね?」と言われたりする最新鋭機であるJ-20を始め、コピーフランカーズであるJ-11、J-16、数的主力であるJ-10ファミリー。あと、コピーフランカーズには少数ながら海軍機のJ-15も混ざっていたりするので、総勢5機種、計70機を超える大規模編隊である。


《敵機はレーダーの反応が弱いとの報告もある。レーダー反射面積(RCS)の少ないステルス機の可能性もあるので、場合によってはいきなり格闘戦になる可能性も頭にいれておけ》


早期警戒管制機であるKJ-2000からの指示を受けながらも編隊は亜音速で上海の上空を通り抜ける。


これほどまでに大規模な航空戦力が投入されているのは、もちろん敵航空戦力の本土攻撃が見込まれるから、というのもあるが、前日に海上で交戦した海軍の空母搭載機部隊が全滅した、という理由が大きい。

ちなみに、前々日に艦隊攻撃を行った爆撃機部隊は韓国領空を舐めるように飛んで、追撃してきた敵機を韓国空軍に擦り付けることに成功し、無事に帰投していた。

もっとも、迎撃に上がった韓国空軍は全滅していたが、彼らにはさして関係のない話であった。


《敵機を捕捉・・・なんだこれは!?》


KJ-2000のレーダーが敵機を捕捉したのだが、そのあまりの速度に驚愕の声を上げる。


《敵編隊、高度9000(メートル)で対地速度8000(Km/h)を超えているぞ!?》

《計器の故障じゃないのか!?》


あまりにも無茶苦茶な情報に編隊内に混乱が広がる。


《狼狽えるな!この速度ならヘッドオンの今しかチャンスはないんだぞ!》


そんな中、最先任の編隊長の一喝により混乱は収まったが、それで敵の速度が落ちるわけはない。


《レーダーコンタクト》

《全機、中距離以上のミサイルは全弾発射!》


各機のレーダーが敵機を捉えたことを知らせると同時に、ミサイル発射の命令が下り、各機から一斉に長距離、中距離の対空ミサイルが発射される。

ここでクラウドシューティングとか協同交戦なんていうのができないのは、とにかく手当たり次第に開発製造してシステムの統一が出来ていない人民解放軍の欠点ではあるが、そんなことを気にする必要もないほどの物量で押し潰す、というのが中国の基本戦略である。


各機から一斉に発射されたPL-12やPL-15、PL-21といった200を超える中・長距離AAMは、わずか10機にも満たない敵機に一斉に襲い掛かる。

普通に考えれば跡形も残さず四散するはずだが、そうはならなかった。


編隊の先頭を飛ぶ機体から光の線が伸びたかと思うと、発射された対空ミサイルは全て撃墜された。





新世界暦2年1月7日 中華人民共和国 上海沖上空


「全ての敵ミサイル迎撃を確認」

「敵機、間もなくこちらの射程内に入ります」


神聖ゲルマニア連合共和国空軍の先鋒であるわずか8機の編隊の先頭を飛ぶ機内には、3人の士官が乗り込んでいた。


「敵のミサイルの射程のほうが長い、と言うのは厄介だな」

「しかし、他国のものと同じく、さほど脅威ではありませんな」


時速8000キロで飛行する機内とは思えない中で乗員たちは会話している。

機内は与圧されており、服装も通常の制服といった出で立ちであり、凡そ「戦闘機パイロット」として想像されるような恰好ではない。

まぁ、それを言い出すと彼らが乗っている機体そのものが、一般的に想像される戦闘機とはかけ離れているが。

地球の人間が見たら10人が10人こう言うだろう、「UFO?」と。


「敵編隊、射程に入りました」

「グングニル、エネルギー充填96%、冷却安定」

「照射開始」


時速8000キロで飛行しようと、その照準は一切目標を外すことなく、敵機を次々に撃墜する。


「ふはははは、見たか!グングニルの威力を!」

「このハウニヴこそが空の覇者であると蛮族どもも思い知っただろう」


神聖ゲルマニア連合共和国が無茶苦茶な領海設定をしても、他国が不平不満こそ述べても守っている理由。

ゲルマニアの科学技術が、元の世界で圧倒的に頭2つほど飛び抜けていた、という理由もあるが、この空軍の制空戦闘機ハウニヴシリーズこそが、その理由である。


アダムスキー型のUFOと言って差し支えない外観のハウニヴシリーズは、機関砲と戦車砲装備のI型が80機とぼちぼちの数だったが、ロケット砲と戦車砲装備のII型が20機、パルスレーザーと爆装が可能なIII型が60機、彼らがグングニルと呼ぶ高出力エネルギー兵器を装備したIV型が40機というごく少数の生産数であり、I型とII型が退役済みであることを考えると、現役はわずか100機でしかないのである。

それでも、その圧倒的な性能で、ゲルマニア空軍の他の機種も含めて、空に敵なしというまさに無敵戦闘機である。


敵編隊を蹴散らした編隊は、あっというまに上海上空に達する。


「中々発達した都市のようだな」

「敵機の性能も、ハウニヴには遥かに劣るとはいえ、我が軍のフェンリル191だと」

「互角か、ミサイルやレーダーの性能では向こうが上かもな」


ハウニヴの性能が圧倒的とはいえ、如何せん数が少ないので、通常の戦闘機も多数ゲルマニアには配備されている。

その中でも、現在主力と言えるのがフェンリル191であり、地球で言えばF-4辺り(第三世代)に相当する戦闘機である。


「敵SAM発射を確認」

「迎撃」


地上の都市、上海を偵察するため速度を落としているハウニヴの編隊に向けて地上から迎撃ミサイルが発射されるものの、赤外線と紫外線によるミサイル警報装置を装備しているハウニヴは発射直後にそれを察知し、素早く迎撃してしまう。


「しかし、いきなり領空侵犯してきたり、攻撃してきたりと好戦的な割には大したことありませんな」

「まだ油断は禁物だぞ。空戦で勝ったに過ぎないのだからな」

「そうは言いますが、空を抑えてしまえば、陸や海はなんとでもなるでしょう」


空を抑えられてしまうと圧倒的に不利になる、というのは何も地球だけに限った話ではない。


ハウニヴ(我々)がいる時だけの優位では意味が無いのだ。油断はできん」


ハウニヴの問題は、その圧倒的な性能と引き換えに、製造するのに莫大なコストがかかるのである。

製造にコストがかかるということは、維持コストも高いということである。

数の少なさも相まって、絶対にいつでも戦場に投入できる、というわけにもいかないのがハウニヴ唯一の欠点である。


そのために在来型の戦闘機を廃止するわけにもいかず、ハウニヴが出られるときとそうでないときの戦力ギャップが大きなものになっており、軍内部でも問題として認識されていた。

とはいうものの、認識されていたところで対策はハウニヴの配備機数を増やすしかないが、それは製造上の問題や予算の問題があって不可能であり、結局のところ従来機の性能を引き上げるしかない、というのが空軍が今のところ行っている唯一の解決方法である。


しかし、その彼らが開発した新型のフェンリル192は、地球で言うとF-14辺り(第四世代)に相当するのだが、製造コストは順調に増えており、それをカバーするために安価な新型戦闘機の開発が・・・というイタチごっこ状態になっている。


「写真撮影は?」

「特に問題ありませんが、かなり大きな都市ですね。ここが首都だとは限りませんし、かなり広域な偵察が必要になるのではないでしょうか?」

「ふむ。敵の抵抗も激しいようだし、ハウニヴ以外での安全な偵察は困難か・・・?」


切り札でもあるハウニヴを偵察に回す、というのはいくら情報収集が重要とはいえ、日本海海戦の日本海軍で言うと、戦艦を全て分散配置して敵艦隊の発見に充てよう、と言っているようなものである。


「専用の偵察機を充てる方が広範囲に情報収集できますし、敵防空網を叩く方が確実ではないでしょうか」

「まぁ、その通りだろうな」


しかしそうなってくると全面衝突は避けられんな、と口には出さずに大規模戦争の予感に機長は昂る気持ちを抑えきれないのだった。

次も一週間以内に

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― 新着の感想 ―
[良い点] ゲルマニア圧倒的に強い! このまま中国を消毒!?
[一言] はぇ。すっごい超兵器。 これ海とか陸にも同じレベルの超兵器持ってたりするんすかね。
[一言] 関係ない言うけど、いくら韓国とはいえF-15E(K)とか一応保有してる国の空軍が全滅してるのにJ10だの11だの居たところで時間稼ぎにもならんだろ…
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