↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第一次「異」世界大戦  作者: 七十八十
新世界暦1年
123/201

バカな・・・早すぎる・・・

新世界暦1年11月9日 ジュラシック大陸 湖上王国と魔王国の中間砦 外壁上


「隊長!?」

「隊長が落ちた!?」


隊長が落ちたのでアズガルドの護衛団が動揺している。


「えぇ・・・」

「バカな・・・早すぎる・・・」


対してフラグ回収が早すぎる上に、完全に想定外な方法なので日英米は動揺している。


そして、そんな動揺しながらも、ジャベリンやパンツァーファウストを出してきているあたり精鋭である。


「お、おい、早くなんとかしてくれ!?うちの豆鉄砲じゃ倒せる気しないぞ!?」


対してアズガルドのほうは個人携帯対戦車兵器なんてないので、デカブツ2頭をどうしようといった感じである。


「いや、そうは言うがな・・・」


アメリカはジャベリン、英国はL2A1ASM(MATADOR)、自衛隊は110mm個人携帯対戦車弾を構えてはいるものの、発射を躊躇っている。

ジャベリンは最短射程を超えているかどうかと発射タイミングの問題でシーカー冷却を躊躇っているのでそもそも発射可能状態にない。

他の2門はロックオンの必要は無い無誘導兵器だが、発射を躊躇っていた。


「いや、これ迂闊にぶち込んでデカブツを倒しちまうと」

「そのまま倒れこんでぷちってならない?」

「「「あ」」」


体当たりされたバリオニクスモドキは今も城壁付近に陣取っており、スピノサウルスモドキと対峙している。

2頭ともアズガルドの隊長が落ちたのには、一瞬視線を向けたので気づいているようだが、そっちに意識を向けると相手に首をかぷっとやられかねないので無視しているようだ。

で、城壁から落ちたアズガルドの隊長は、幸い城壁の固い基礎部分には落ちなかったらしく、動いてはいるが、立ち上がって走れるわけではないようだ。

まぁ、高さ10m近い城壁から落ちたので、いくら下がやわらかい土だったとはいえ、当たり前だが。


「あと、片方だけを倒した場合、もう1匹にぱっくんちょされちゃうよね」

「とりあえず2匹まとめて始末して、負傷者を砦内に収容する準備かな」

「とりあえず準備するか」


折り畳み式のストレッチャーを組立て、砦の外に出る班を編成する。

対戦車班と狙撃班、機関銃班を城壁に残し、他で一気に収容する作戦を立てるが、問題がひとつある。


「どうやって門開けてもらうん?」

「・・・チャージ(爆破)?」

「やめーや」


結局、外交団に知らせて魔王に門を開けてもらうことにして、伝令が大食堂に走るのだった。




新世界暦1年11月9日 ジュラシック大陸 湖上王国と魔王国の中間砦 大食堂


扉を蹴破って飛び込んできた伝令によって、外交交渉は中断を余儀なくされた。

城壁から落ちた兵士を助けるために外に出るから門を開けろという4ヶ国側に、魔王国側は当初難色を示したものの、外のデカブツは片付けるというので、魔王は渋々開門を了承した。


「しかし、どうやってデカブツ2頭も倒すんだ?」


城壁までの階段を登りながら、魔王は疑問を口に出す。

魔王国でも湖上王国でも、大型肉食動物を倒す、なんていうのは基本的にない。ごくごく稀に湖上王国で外壁に接近してきて離れないのがいるときに、城壁に設置された大型バリスタや投石器をを使って滅多打ちにして倒すことが数年に一度あるかどうかである。

ただ、殺してしまうと死体を処理する必要が生じるので、基本的には追い払うだけである。


「まぁ、空を飛ぶ人たちですから、何かあるんでしょう」


神託の巫女もその方法を見ようと一緒に城壁にのぼっている。


「しかし、城壁から落下か・・・」

「かなりの重傷でしょうね。いずれにしても助かるかどうか」

「まぁ、一応ここにもある程度の宝物は置いてあるし、探せば何かあるかもな」


ここの倉庫って何入ってたかな?とか思いながら巫女は魔王に続いて城壁の外を見遣るのだった。




新世界暦1年11月9日 ジュラシック大陸 湖上王国と魔王国の中間砦 正門


砦の規模の割には小さい上に目立たない正門前に桐島一尉以下、10名の救助班は集まっている。

2名はストレッチャーを運ぶので小銃は持たず、他も一応小銃を持ってはいるものの装備は最小限である。

まぁ、デカブツの大きさを考えると小銃は気休めにしかならないけど、持たないよりはいいよね、ということで持っているだけである。


「しかし、こう、意思疎通に問題がある編成というのはどうなんだ?」


救助班一番の懸念事項を桐島が口にする。


「仕方ないだろ。隊長の救出指くわえて眺めてろ。ってのもねぇ」


4ヶ国の混成なので、英語で問題ない(若干怪しいのもいるが)3ヶ国(日英米)に対し、アズガルドのほうは簡単な符号くらいしか通じない。

じゃあ、救助班はアズガルドだけで編成すればいいのでは?という話だが、城壁班との無線交信は必要だし、収容したらそのまま中庭のCMV-22に放り込んで後送する予定なので、米軍の看護兵も同行しているのである。


「正門外側、敵影無し」

「城壁班の攻撃と同時に正門を開放、救助班は救助対象に急行、今のところ小型敵性生物は確認されていないが、正門班は開けたままの正門の防衛と救助班帰還と同時に門を閉鎖」

「救助班はそのまま中庭へ直行、CMV-22に要救助者を乗せ速やかに後送」


作戦手順を確認し、その時に備える。

ただ無線の合図を待ち、緊張が高まっていく。




新世界暦1年11月9日 ジュラシック大陸 湖上王国と魔王国の中間砦 外壁上


「遠い方はジャベリンでいけるな」


3ヶ国が持ち込んだ対戦車兵器で、唯一の誘導弾であるFGM-148ジャベリンは赤外線画像誘導でタンデムHEATの弾頭を持つ対戦車ミサイルである。


「トップアタックにする意味はないし、ダイレクトアタックでいいな」


ただ、ジャベリンの欠点はその誘導装置である。

発射前に目標をロックオンする必要があるが、目標のロックオンにはシーカーの冷却が必要なのである。

結果として、発射準備から発射可能になるまでタイムラグがあり、シーカーが冷えている間にロックオンから命中まで持っていかないと、再冷却が必要になるうえ、そのシーカーの温度次第で性能に差が出るのである。

対して、日本が採用している同種のミサイルの01式軽対戦車誘導弾、いわゆる軽MATはシーカー冷却の必要は無く即応性ではこちらが勝っている。


では、なぜジャベリンがそんな面倒なシーカーを採用しているのか?という話だが、軽MATの欠点は熱源を持たない目標、具体的に言えばトーチカや停車してエンジンが冷え切っている戦車などはロックオン出来ないことである。

対してジャベリンは、その欠点と引き換えに熱源を持たない目標もロックオンできる。

まぁ、そのせいでイラクやアフガンで機関銃陣地を潰すためにポコポコ撃ちまくって予算関連と兵站関連が悲鳴を上げることになったのだが。


「ていうか、これプローブ出した方がいいの?出さないほうがいいの?」


110mm個人携帯対戦車弾(LAM)を構えた陸自隊員が疑問を口にする。

ちなみに、弾頭のプローブを出して発射すれば対戦車榴弾、出さずに発射すれば榴弾として使用できる。


「装甲はなさそうだけど、とりあえず出して撃てばいいんじゃね?」


横でMINIMIを構えた隊員が言う。


「まあ、そっか。当てるんだからとりあえず出して撃っときゃいいよね」


そんな感じで城壁班は発射タイミングを待つ。

城壁に近いバリオニクスモドキが、要救助者から離れたときがその時だが、問題はジャベリンのシーカー冷却のタイミングである。シーカーに冷却ガスを吹き付けるので、実際にシーカーが冷えるまで数秒のラグがあるし、冷却回数にも限りがある。

遠い方をジャベリン、近い方をLAMで、MATADORは予備、という役割がくじ引きで決まっている。


「まぁ、作戦なんて出たとこ勝負。とにかくやってみるしかないさ」


3発の対戦車兵器で2頭を倒せなかった場合、作戦が全部破綻するのだが、それはそれである。


「デカブツが動いた」

「シーカー冷却」

「後方の安全確認」


そして、ジャベリンのロックオンを知らせる電子音と共に、2発の対戦車弾が発射された。




新世界暦1年11月9日 ジュラシック大陸 湖上王国と魔王国の中間砦 正門


ドン、という腹に来る爆発音が響き渡る。


『デカブツへの着弾を確認』

「よっしゃGoGoGo!」


無線の合図とともに正門を開け、一気に駆け出す。


「あーあー、さすがにデカいだけのただのトカゲかい」


要救助者に駆け寄りながら、胴体にLAMの直撃を受けて体の一部が消し飛んだバリオニクスモドキを見る。


「要救助者、回収しました」

「よし長居は無用、一気に正門まで戻るぞ」


ストレッチャーを中心に駆け出したところで、耳障りな鳴き声が聞こえた。


「小型敵性生物、こちらに向かってきます」

「撃ちながら走れ!」


ラプトルのような(さきほどの2頭に比べると)小型の生物が咆哮しながら複数こちらに向かって走ってきていた。

あの口はどう考えても肉食だろう。


「クソが!俺らは美味くねぇぞ!」


ストレッチャーを先に行かせるため、他の8人が射撃を開始するが、そもそも日米英が持っているのは人を撃つための5.56mm自動小銃で、クマが相手でも威力不足である。

アズガルドのほうの持っている小銃は8mmでそれなりに効果を見込めるが、ボルトアクションで走りながらなんて命中は見込めない。


「走れ走れ!撃つことより正門に駆け込むことを優先しろ!」


別に相手を倒すことが目的ではないので、砦に入って門を閉めてしまえば終わりである。


救助班を援護するため、城壁上からも機関銃が射撃を始める。


「おっしゃー!走れ走れ!」


救助班は一目散に走って正門を目指すのだった。

次は土曜日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ヒャッハー! 恐竜狩りだーっ!! ……あと、今話のタイトルwww [気になる点] 狩りというものは原始的本能を呼び覚まし、 獲物を仕留めた時に快感を伴うものである事は否めませんが、 我々…
[気になる点] 更新お疲れ様です。 アズガルドの体長さんフラグ回収するの早すぎです・・・、恐竜飼おうとして毎回ポカする映画のパターンだと、こういうのがキッカケになって大勢死人が出る(キッカケを作った…
[一言] 更新お疲れ様です。 何だ喰わないのか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。