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おでこに紋章ある姫様  作者: 厚揚げ


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お気に入りの侍女、そして鼻高々国へ

兄様は隣国二国を手に入れた為、島国での地位も上がり、帝がおわします都に上洛、帝から厚い信頼を得てる。兄様も帝の自身の熱いだの寒いだの食事が不味いだの一切おっしゃらない高貴な私事を排した態度にいたく感銘を受け、宮殿の屋根など改修する。

兄様の偏狂さは、兄様自身が屋根に登り現場監督までおこなう。その後雨漏りは永きに渡りしなくなったという。

兄様は妹を差し出した為、鼻高々国への妹君側室団兼友好使節団の準備将軍を拝命して、船や全国の武将達が鼻高々国との通商を期待して贈る貢物の管理を任されます。

倉庫には鼻高々国と通商を夢見た全国各地の武将から様々な業物、工芸品が運び込まれた。

狩野派渾身の唐獅子屛風、俵屋宗達の風神雷神、燕子花図、写楽の春画、紀信やアラ-キの写真集、でっかい壺、像の青磁器、なんか斑点ある茶碗、狸の置物、招き猫、クマの木彫り、仏像、西陣織、大島紬、絹織物、タオル地、絹糸、綿糸、タングス線、ピアノ線、三田牛、烏骨鶏、三元豚、あきたこまち、揖保乃糸、博多明太子、野沢漬物、もみじ饅頭、ビアードパパのシュークリーム、まるごとバナナ、カール、かっぱえびせん、ありとあらゆる名物が集まる。


ある日、姫様の側近兵として雇われた弥助を兄様が見つけて、兄様は手招きで弥助を呼ぶ、姫様は仕方なさそうな顔で弥助に

「行って来い」

弥助は兄様の下に行くと、兄様は倉庫の陰に連れていき、周りを気にしながら、普通のありふれた鞘の刀を見せます。しかし、鞘から抜くと、全然普通じゃない見事な複雑怪奇な波紋の刀が。名を知られるのを極端に嫌うので有名な超刀工が光速で叩き極限まで不純物を排除して一万回以上折り曲げてはを繰り返し、何層にも合板のように強化された絶対に曲がらない、折れない刀を当代一流の0.000000001ミクロンをも感知する研師が命懸けで研いだもう二度と再現不可能な傑作業物。

島の兄様のライバル武将が拵えた刀でホントは超豪華な鞘に入ってたが

兄様はコッソリその辺の刀と入れ替えて持ち出しのだ。

「持ってけ、いいから、持ってけ、どうせわしのじゃないから」

弥助は断るの忘れた、もう重さや腰の位置を試めすの熱中。

「そうだろう、弥助でもこの刀の前では断われまい」

兄様は満足げに、ニヤニヤしながら去っていく。

弥助は礼を言い損ねて暫く佇んでいたが、姫様のもとに戻った。

姫様は弥助が大事そうにかかえている刀をちらっとみた。

「この様な刀、頂いてよろしいのでしょうか」

「弥助、そちは兄様に好かれているようじゃのう、どうせ貢物の業物をなまくら刀と入れ替えたに違いない、もらっとけ」

「ありがたき幸せであります」

弥助は素直に喜んだ。


鼻高々の国の使者が頑なに乗船を拒否した兄様の国の船、それは、水上に建てた屋敷の船であった。内航か運が良ければ東の大陸の東国の港までは辿り着けるが、果たしてその先の大海原を航海可能か敢えて皆考えないようにした。

島国を出航して3日、この辺りはまだ大陸との定期航路であり船頭も慣れてるので平穏無事である、あと2日もすれば大陸の港に着く。

姫様は出航してからずーっとお気に入りの侍女と部屋に籠っている。弥助は複雑な表情で昼夜警護してた。

やがて嬌声が止み、静かになった、

弥助がなにやら雲が怪しげな海を眺めてると、

前触れもなく、姫様が弥助に、

「弥助、我を船の大柱に括り付けろ」

弥助は意図がわからず戸惑ってると、

「弥助、早く括り付けろ」

姫様は急かします。

きつく姫様を大柱に抱きつくように括り付けると、

「弥助、お前も柱と縄で繋げろ」

弥助は自分を縄で括り付け端を柱にキツく括り付けます。

やがて間もなく、嵐が船団を襲う。

嵐はほんの30分ぐらで通り過ぎたが、船団は大嵐と大波に揉まれ全滅、

嵐が過ぎ去ったら嘘のように穏やかな海に船の残骸、タヌキの置物、紀信やアナーキの写真集、もみじ饅頭、生八つ橋、博多明太子などが漂うなか、

姫様は大柱を抱えるように浮かんでる。

暫くすると弥助も浮かび、繋いでいた縄を手繰り姫様の大柱に近づく。

「弥助よ、ワシの縄を切れ、」

自由になった姫様は大柱を何かを探るように擦り、僅かな凹みに短刀の先を当て柄を上から叩く。

なんと、大柱がバターンっと広がりカヌーのような小舟に変形した。

内側には瓶詰め食料、缶詰、発泡酒、などが入ってる。


やがて、お気に入りの侍女が船の木片を抱えて浮かんだ、侍女は姫様を見つけると

「姫様、ご無事で」

と、死の恐怖から解放された安堵しきった顔で近付いてくる。

姫様は微笑み、侍女が船に乗り込もうとすると、侍女の頭を思いっきり漕ぎ棒で叩きつけ海中に押し込めようとする。侍女は信じられない顔して沈ずんだ。

弥助は完全にフリーズした。

「弥助早く漕げ、他の者も浮いてくるぞ。」

弥助は一心不乱に漕ぐ。


その夜、弥助は無言だった、自分も用無しになれば海底に突き落とされるのかと考えた。少し猜疑心の眼差しで姫様を見ていたかもしれない

海中に沈めたお気に入りの侍女に対してか、弥助にか、姫様は言い訳気味にそっと呟く

「すまぬな、この船は2人乗りなんじゃ」

弥助は黙っていた、が、理解する。例え、利用目的であろうと、弥助に初物をやるとの約束を果たす為、兄様の医師団に治療させ献身的に看病した姫様、

利用して破滅させようとした弥助に医師団を送る許可し、また、トンデモない業物の刀をふさわしいとして押し付けた兄様、冷徹合理的な目的の裏返しに歪な愛情を持ちこれが兄妹の愛情表現だと

実際、なんの能力もない侍女を助けても水食料乏しい小舟では3人共倒れ、そもそも、この先、無事に旅を続けれ保証は全くない、だからこの海に沈めたのも愛情表現かもしれい。

弥助は、足軽のくせに和尚に文字や算盤習い、寺にある書物を借りて読む教養もある、

兄様は足軽にあるまじき向学心を気に入り、リハビリを受けさせ合間に全国から集まる一級工芸品を弥助と鑑賞していた。弥助は兄様は苦手では有ったが一方的に喋り勝手に納得するので楽ではあった。

船団と共に海の藻屑と消えた、屏風絵、風神雷神、燕子花だけの絵なんか斑点のある茶碗などを惜しんだ。

「将来、教科書に載るような美術品が沈んだのは残念でございます」

「セコい兄様が一級品の美術品を海の藻屑にするわけない。」

あの兄様が取り替えたのはトンデモない業物だけじゃないと考えるのは自然なこと、

恐らく、三田牛などは今頃美味しく頂いている筈、


姫様は太陽や星空や方位磁石や定規でなにやら計算してる。

1ヶ月近く漂流して、それまで計算して消費してたが、缶詰、瓶詰め、酒、発泡酒を全部拡げる。

「弥助よ、わしの計算によると明日朝、陸地が見える、

もし、見えなければその刀でわしを切れ、今宵は最期の宴会ぞ」


果たして、早朝、陸が見えてきた

上陸出来そうな海岸線を探して、熊が数匹居る浜辺を見つけた。

熊達は遠巻きに警戒していたが、こちらから刺激しなければ襲いに来ない。


2人は船をなるだけ浜辺に引き上げ、天幕や簡易竈などを運び、少し離れた丘に天幕を張った。


姫様は、船上での観測や植物群や乾いたかなり寒い気候から、当初の船団の予定航路とは逆の真北方向に流されたと言う。

「弥助よ、もう直ぐ冬が来る、この辺の冬はとても厳しい、この天幕では持たない、その前に住処を捜さないといけない。さっきの熊の集団の跡をつけて住処と川の位置とあの毛皮を頂こう。」


小舟のバランスをとっていた竹を外し、竹槍や弓矢を起用に姫様は作る、弥助はその竹槍弓矢を担いで、熊の跡を付いて川と住処らしい方向を発見した。瓢箪に水を汲み天幕に戻る、

しかし、姫様はなぜこんなにサバイバルに詳しく、地理にも詳しいのか、しかも食べれる貝と食べてはいけない貝まで判別してる、野草にも詳しい。

しかし、敢えて訊かなかった。








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