第4王子、毒酒飲み干す
南方遠征で電撃の如く植民地を拡大した第3王子シャネルドナンバースリー
まだこの時代では西側諸国での戦いでは、昔からの騎士同士が剣を交える戦いが尊いとされる風潮が残っており、新兵器、連射式波動砲のようなただのミンチ製造機のような兵器は忌み嫌われていた。
しかし、第3王子は未開の地、南方に於いて、原始的な弓矢、槍を持つ職業軍人でない現地住民達を一方的に連射式波動砲で一掃する。これは最早、戦争ではなく虐殺に近かった。
第3王子は総督を名乗り、現地住民を牛馬の如く昼夜こき使い、鉱物油の産出を始めた。
余りにも過酷な植民地経営に更に南方地域やハッサムの宗教諸国に逃亡した者も居る、また、宗教諸国から武器の供与を受け、ゲリラ化した集団も居る。このゲリラにより鉱物油産出プラントも、しばしば襲撃され稼働率も上がってない。寧ろ足りない分を近接の宗教諸国から仕入れていた。
しかし、本国の民衆には植民地を拡大した、鉱物油資源を開発したという戦果しか伝わらない。
民衆の圧倒的支持を受けて凱旋した第3王子
鼻高々国・聖都広場にて演説を始める。
(第3王子は、南方遠征で着用していた軍服に、あえて戦火の煤を少し残し、民衆の前に立つ。民衆から割れんばかりの歓声と拍手が沸き起こる
「市民諸君! 私は戻った!
南の地にて、我が鼻高々国の誇りと未来を守るべく、戦い抜いてきた!
諸君、今の鼻高々国はどうだ? 父王グレードシャネルの崩御……。悲しみに暮れる暇もなく、我が国は今、古き殻を打ち破り、新たな時代を築かねばならぬ岐路にある!
……兄たちは言った。『直接的な対立を避けるべきだ』と。
だが諸君、今の世界を見てみろ! 島国の兄様国と、あの強欲なるハッサム商隊が、我らが血と汗で生み出した燃料を、この大陸から吸い上げている。我々の食卓に並ぶパンが以前より小さくなったのは誰のせいだ? 我らの豊かさが、海を越えたあの小島に吸い上げられているからではないか!
私が守ったのは南方の鉱物油だけではない!
諸君の尊厳だ。諸君の明日の食卓だ!
兄の第1王子に、果たして、この泥沼の現実を正す力があるか? 優柔不断な議論を繰り返すだけで、諸君の暮らしは守れるか?
否! 否である!
私は、この鋼の拳で、兄様国とハッサムの独占に終止符を打つ!
今、新たな鼻高々国を建国する時が来た。
諸君、私に力を貸してくれ! 我らが鼻高々国を、真の『鼻高々』たる国へと押し上げようではないか!
……この拳を、私に預けてくれ!
私は、宣言する!
私は父王グレードシャネルからの王位を継承すると!」
此処で群衆は割れました。歓声がざわめきだす、ブーイングする者も居る。民衆は第1王子を助ける第3王子を期待してたのに、明らかに王位継承に挑戦したからだ。
第3王子は空気を読み、演説を切り上げ、王宮に入ろうとする。
しかし、先程の演説で敵意を感じた、今の処正当な継承者第1王子シャネルドナンバーワンは王宮の扉を固く締め、第3王子の入場を拒む。
第3王子は恥をかいた格好で、仕方なく、もと居た自身の城に戻る。
早速、兄貴の第2王子にライン
「兄貴、話違うやん!俺、恥かいたやん。全然、民衆乗ってこうへんで、俺スベったで」
「済まん、正式の宰相がな、第1王子に拘ってるねん、せやけど、軍部の大将と、経団連の会長は押さえてるから、第1の兄貴も門閉めるだけで軍は動かせないで、」
第2王子は父王グレードシャネルの宰相的役割でしたが私設秘書な身分で正式な宰相は伝統的に王族は任命されない、父王の威光で改革を進めていたが、今は無職に等しい。
「ほんだら俺の軍勢で王宮乱入したろか」
「いや、待て、教会の支持もう直ぐ得られそうや、島国から戻った使節、教会出身やから、今のうちに兄様国叩かな滅ばされるって大司教に訴えてる」
「弟は、あいつ強いで、サシでやったら絶対敵わん、」
「あいつはな今サフラン公国から攻撃受けてるねん、城から出れんわ、」
「あかん!兄貴の奴、嫁の国から援助貰いやがった、もう直ぐ王宮に援軍きよるわ、お前城の前ににあの波動砲並べとけ」
「ほんだら、俺も嫁の実家に援軍貰うわ、兄貴は独身やから、こういう時困るな」
「ほっとけ!」
第4王子シャネルドナンバーフォーは内乱の隙を狙うサフラン公国から国境を守る為に動けない、
中央からの補給も止まった苦しい戦いだったが
姫様は山羊を飼い、城の隙間や周りに高原野菜を栽培して酢漬けにしていた。兄様国から缶詰と水の瓶詰めも大量に輸入、紛れ込まして最新の兵器、携帯型リボルバー式波動砲もこれは片手で撃てる波動砲。兵は直属の兵士は少なかったが姫様の新兵器で耐えてる
そんな中、姫様は第4王子との長女を産む
砲声は、夜になっても止まなかった。
城壁の向こうでは、サフラン公国軍の波動砲が低い唸り声を上げている。窓枠が震え、天井から細かな土埃が落ちた。
その城の奥で、姫様は長女を産んだ。
産声は銃声に負けない元気さであった
赤子はあまりに軽い。
なのに姫様は、今まで抱えた何よりも重いと感じた。
赤子は泣きながら、小さな手を動かした。
姫様の指に触れる
城外で、再び砲声が響いた。
赤子が少し身を震わせる。
姫様は咄嗟に赤子を覆うように抱く
姫様は赤子を見下ろし、もう一度微笑んだ。
第4王子が戦の合間に駆けつけ、我が子を見つめて目元を緩めたその時、姫様は自分の胸の中にあった氷の塊が溶けていくのを感じた。
これまで、兄様の影を追い、自らを傷つけることしか知らなかった。だが、今、夫の腕に抱かれ、自分たちに似た小さな瞳を瞬かせる命を見ていると、世界から兄様の残像が消えていく。
姫様は、初めて他者のために生きる歓喜を知った。国が滅びようとも、夫とこの子がここにいる。
姫様は、その日初めて、自分が幸せになってもよいのかもしれないと思った。
突然、サフラン公国の兵が第4王子の城から退却した。
サフラン公国の宗主国であり、北方勢力の中心国の
パルナス大公国が兄様国と相互不可侵及び互恵経済協定を結んだのである。実質同盟と言って良い。
パルナス大公国は西側諸国がハッサムの宗教諸国と戦争を繰り返してる間に、大陸の北の大地を東進、東の海岸迄、版図を拡げた大帝国である。
近年、西側諸国領内にも勢力拡大を図り、
西側諸国連合と大規模な紛争となり、辛うじて後退させたばかりである。
この兄様とパルナス大公国の協定は鼻高々国に衝撃を与えた。
南方を開発して、更にハッサムの宗教諸国を叩いて島国を兵糧攻めする計画は崩れた。
パルナス大公国にも鉱物油は産出する、しかし、まだ開発途上国なので技術と大規模に開発する資金もない
あるのは荒涼とした氷の大地だけ、
そこに兄様国の技術とハッサムの資金力、物流が入る。
またたく間にパルナス大公国は大工業国になるに違いない。
兄様国もパルナスからも燃料を手に入れられる。
それだけではない。
兄様国は直接武力は使わないが、東国の沿岸部を開発して工業化して、西側諸国の割譲都市を圧迫している
また周辺諸国にも経済的影響を与え、やはり西側諸国の植民地化してたこれらの国から追い出しを図っている。
しかも、島国はハリネズミである。
第2王子は狂乱した
「あの兄様って奴は悪魔にも魂売るのか、否、悪魔が魂を買い漁ってる」
「ちんたらと王位継承戦争なんかやってる場合じゃない」
未だに態度示さない大司教を軟禁、
王宮の扉を護ってる兄嫁の兄、カールタカクナッタ候を寝返りさせて、
第3王子を王宮に突入させた。
大混乱のあと、第1王子を断首台送りにした。
第3王子が国王即位した。
宰相制度を廃して、代わりに首相制度を導入して、
第2王子を首相に任命する。
第4王子は中央に呼ばれる、戦後処理会議だ。
第4王子は姫様に長女と城を守るように言う。
姫様は覚悟する、恐らく夫は戻らない
第4王子は毒酒と知りながら飲み干し、第3王子に姫様と長女と城の兵士に手を出さないようにと言いながら息絶える。




