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おでこに紋章ある姫様  作者: 厚揚げ


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18/18

陥落、走馬灯は舞う

夫の知らせと同時に中央から城明渡しの大軍の兵が押し寄せてきます、姫様を恐れ、また境界線に展開してるパルナス大公国の兵にも対応するのに10万の兵を送った

王子の城は完全に取り囲まれて、危害を加えないから出てくるようにと、明渡しの軍の将軍は言うが

しかし、姫様は分かってる、中央に行けば例え兄様国と険悪な関係になっても断首台送りにされる、

そうでなければ、こんな大軍送って来ない。

家臣は逃げるように勧める。しかし、姫様はこの城は夫王子の城、守るように言われた、例え親子共々討たれようと城から動かぬと言う。

通信機が、何度も鳴った。

「妹、聞こえるか」

姫様は黙っていた。

「聞こえているなら返事をしろ」

「聞こえております」

「パルナス大公国の兵を城へ入れろ

もう国境付近まで来ている。城門を開ければ、お前も子も守れる」

「できませぬ」

「何と言った」

「パルナス兵を城へ入れることはできませぬ」

「妹君、これは命令だ」

「兄様」

「何だ」

「わしは、鼻高々国の嫁となりました」

「この城は、第4王子の城にございます、パルナスの兵を入れればパルナス大公国の城になります」


「お前は、わしに逆らうのか」

姫様はしばらく黙った。

幼い頃から、兄様は世界のすべてだった。

兄様の言葉は、法より重かった。

島へ流された時も、毒酒を出された時も、異国へ送られた時も、姫様は兄様を兄様として受け入れてきた。

だが今、腕の中には赤子がいた。

そして、この城を守れと言って中央へ向かった夫がいた。


「はい」

「初めて、兄様に逆らいます」

「頼むから、兵を入れろ、妹君と子を救いたい」

「兄様、今、パルナスの兵を城に入れたら

わしとこの子は鼻高々国から切れてしまいます。

わしは鼻高々国第4王子シャネルドナンバーフォーの妻であり、

この子は鼻高々国第4王子シャネルドナンバーフォーの長女であります」


「妹君、よく言うた。

わしの算段が狂ってしまったわい。

どんなけ投資したか分かるまい。

その城を拠点に鼻高々国を乗っ取るつもりだったが

他の手段を考えねばなるまい。

リボルバー式波動砲の弾が尽きる迄、存分に暴れろ」


兄様は諦め通信を切った。

姫様はもう兄様の妹君ではない。

状況は絶望的、悲劇的ではあるが、兄離れした妹君を

不思議と嬉しくもある。

第4王子の妻だと言い切り命欲しさにさっさ寝返りしない妹君を誇らしげでもある。


間に合うか、間に合ってくれ、

兄様は時間稼ぎの為に、貴重な携帯式リボルバー波動砲を姫様にダンボールで送っていた。


姫様は、中央軍が到着する前に侍女に幾らかの金貨を持たせ暇を出していた、それでも何人かは残った。

兵士達は逃げる者は追わず、忠臣だけが籠城する。

「皆の者、1人でも多く中央軍を倒し王子の敵討ちとしよう」

士気は高いが、

なにせ数が違います、

敵兵は城内に突入雪崩となり、押し寄せる。


姫様は赤子の部屋の前で鬼神のごとく中央軍の兵士を携帯式リボルバー波動砲で肉ミンチにしてたが、弾切れ。


最早これまでと覚悟した時、  

そこへ兵士を掻き分け姫様の前に鼻高々国らしい兵士が現れて

「姫様、逃げましょう」

と島国語で話す

「弥助、この奥にわしと王子の赤子がいる、ワシの首を高く斬り上げて赤子連れて逃げるのじゃ」

「御意」

と即座に姫様の首を長槍で斬り空中高く上げる。

姫様は宙に浮かびながら走馬灯のように人生を振り返る、

兄様の端正なお顔を焼いたこと、

島流しの島や海賊武将の島の出来事、弥助が担いだ籠で突撃したこと、侍女を沈めたこと、グズリ毛皮、ハラヘッタでの出来事、そして第4王子と巡り合い赤子を産んだこと、しかし中央軍に囲まれたこと、

やはり我は幸せになってはいけない運命、

いや、我はかけがいのない夫と赤子を手に入れた、

弥助が助けに来た、弥助なら赤子は無事に逃げられる、わしは幸せ者じゃないか

いや世界一幸せ者、

姫様の顔は微笑みながらまだゆっくりと飛んでる。

中央軍の兵士達は姫様の首をまだ眺めていた、

弥助は姫様手製の熊の毛皮ベビースリングに包まれた赤子と王家の証の短刀を抱え飛びはねながら城外を目指す。

途中、何人かの鼻高々国の兵士が赤子をベビースリングで包んだ弥助を引き留めようとするが

「どけ、この赤子はわしの手柄じゃ!邪魔するな」

と、払い除け走り去る

第4王子の長女と連れ去った兵士の行方は誰も分からなかったという


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