弥助裁判と死刑台
市庁舎に突入したクーデター軍は姫様を取り逃す。
弥助らしいクジラのような肉の塊は見つけた。
しかし監獄に収監しようにも重たく動かせない、
そのまま弥助の部屋を見張りを付けて監獄にした。
誰もテーブルの上のピザ、ハンバーガー、焼きそばなど山積みの食べ残しを片付けない、弥助は自らの重量で身動き出来ず、姫様の介助無しでは食べ物に手を伸ばして掴むことが出来ない、その為、食べ物は腐り始め異臭と虫が湧く。
弥助の長椅子には穴が開けてあり、其処に糞便するのであるが、姫様が居ないので誰も糞便タンクを交換しないから鼻を摘んでも強烈な悪臭が充満している。
「ゴハン、ゴハン、ハラヘッタ」
絞り出すようなうめき声を看守達は聞こえない振りする。
「堪らんな、俺等が悪臭拷問受けてるみたいだ」
「これどうするつもりかな、飯もやらないのは人権に反する」
「じゃあ、お前が食べさせろ」
「断る!」
ハラヘッタの度重なるクーデターは各国の介入を招いた、鼻高々国は自国系住民を守る為兵を送る、隊商の大将の宗教側諸国も兵を送る。
一触即発であった。
しかし、過去何度も悲惨な戦争を繰り広げてる両宗教勢力はギリギリで回避、両宗教勢力の合同管理とした、なにより貿易拠点を失うのは両方損害である。
合同管理府が設置され法に従う市政が決定された。
弥助は本人不動で裁判にかけられた。
合同管理府は鼻高々国が主犯とも言うべき姫様を匿っているので、弥助に全ての責任を押し付け幕引きする思惑だ。
検察側は死刑を求刑する。
弥助の弁護人は隊商の大将の通訳幹部、東雲である。彼は元々、大陸弁護士だったが有能なのでハッサムに請われ通訳幹部となった。隊商内でハッサムと対等に近い会話出来るのは東雲だけであると言われている。
「弥助氏はただ過剰に警備隊に殴られてた市民を助けただけ」
「過去の判例でも、動けない被告を死刑台に送り出した例はない」
「弥助氏は勾留中、一度も食事を与えられてない、これは人道に反する、よって、警察当局を訴える用意がある」
「今の弥助氏と言われてるあの肉の塊は本当に弥助氏なのか、クジラではないのか鑑定が必要」
と減刑を要求しましたが叶わず、
「肉の塊のクジラの可能性を否定し被告人弥助と認定、被告人弥助を死罪とする」
とにかく、弥助の犠牲で全てを早期に収めたい思惑で、午前中に死刑判決、午後から執行されることになった。
弥助は長椅子ごと刑場につれて来られた。
長椅子にロープで括り付けられ、長椅子ごと兄様国の最新式クレーンで吊られ、
ロープを、首に掛けられます、
そして、長椅子のロープを切ってソファーが離されたと同時に床が開き弥助は落下する。
ところが、絞首刑の縄を支えてた柱も余りの弥助の重さと古い設備だったせいかポキっと折れて、物凄い地響きとともに弥助は落下します。
東雲は飛び出して、
「ハイ、死刑は終わり、此処に書いてあります、死刑は一回のみって」
「いや、それは死刑の求刑は一回のみって言う解釈だ」
と、市の司法局は反論しますが、刑法の記述はまさか自重で死刑台が壊れる想定なくあやふやなので、執行は一回のみって読めなくもない、
吊ってもなかなか死なない場合は現場の判断で執行人が無理やり首を締めて執行完了してたが、
死刑台ごと木っ端微塵になったこと無いし、東雲が直ぐ飛び出したので、無理やり首を締める機会も無かった。
法解釈から争い、法律改正まで待ったら30年は掛かる。
合同管理府は、速攻で、死刑台を壊した弥助を公共物破損罪で国外追放処分とした。
弥助は門外に放り出された。
東雲は司法当局が没収してた弥助のあの複雑怪奇な刀を正式な手続きを行い弁護料として引き取った。
この頃、兄様国と大陸西側とは大陸各地に設置した電波信号中継塔にて繋がっており、ハッサムと兄様はリアルタイムに取引してる。
兄様は弥助の救助をハッサムに依頼してた。
ハッサムは以前から弥助の複雑怪奇な刀が欲しくて堪らなかった。姫様のグズリの毛皮は商売の為全部買取お陰で莫大な儲けになり兄様国のトレーラーやトラックを購入して一気に物流革命を起こして桁違いにめっちゃ儲かってる。しかし、複雑怪奇な波紋の刀は個人的に欲しい、
ハッサムは商人なので強奪とかはプライドが許さない、最初に、東雲通じて弥助に売却する意思が無いこと、真の所有者は兄様殿である事を確認してた、ずっと機会を狙ってました。
だから、弥助の刀をこそ泥しようとした未遂犯でも赦せなく首だけ残して埋めた。
東雲は弥助に刀を狙ってる奴は多いから決して刀を抜かないように言ったのも、弥助に用心させる為
報酬として兄様が弥助に託してるあの複雑怪奇な波紋の刀を要求した。
「兄様殿、弥助殿が差してる刀は兄様殿の所有と聞いてます。どうか、私に譲って頂きたい、必ず弥助殿を救出致します。」
兄様は、あの一万回も折って叩いたという全く無駄なアホみたいな刀を弥助にくれてやったつもりでいたし、どうせもとはあの忌々しい西国のライバル武将が鼻高々国への貢物用として拵えたのをその辺のなまくら刀と入れ替えてやった刀、俺のじゃないし安いもんだと思ったが
「あの刀ですか…あれは、再現不能な(アホすぎて)刀、確かに、姫君護衛の為に弥助に託した…
良いでしょう、しかし、一つだけ条件は有ります、弥助には刀を取引したことは絶対秘密、厳守でお願いしたい」
東雲は弥助が死刑執行される前日にやはり死刑執行されたあの広場の青年の弁護も引き受けていた、
青年はデマを拡げ民衆を扇動し2度のクーデターの原因となったので合同管理府の心証悪く死刑は不可避であった。
入念なボディチェックと手の平、手の裏を看守に見せて、青年の待つ面会室に東雲は入った。
青年は翌日の死刑執行にも拘らず落ち着いていた。
「君の両親、幼い兄妹の面倒を見てあげる」
面会室の看守は弁護人は死刑の執行前には必ず言うだよなと冷めた目で見ている。
東雲は、青年の手を握る振りをして、砂漠シロアリのカラカラに乾いた殻みたいなツガイを青年の親指の爪に仕込む、
東雲は全く説明しなかったが、
青年はカラカラに乾いた殻みたいなのは、砂漠シロアリと知っていた。幼き頃、爺ちゃんがこれを見たら直ぐ焼くか水垂らして蘇生させてから太陽に当てろと言われてたし、実際、砂漠シロアリを湧かした住民は消毒液だらけにされ住居は燃やされていた。
誰も引き受けようとしない自分の弁護をこの男が買って出た理由が分かった。
翌日の、あのクジラ化した弥助の処刑を潰すつもりだと。
「両親と兄妹を頼む」
青年はそれだけを言って面会室から離れた。
砂漠シロアリは水気がないとミイラ化して何百年も仮死状態で過ごせる、しかし少しの水でも蘇生して、恐るべきスピードで繁殖する。直射日光には弱く、ミイラ化状態なら耐えるが、アクティブな時に太陽の光を浴びると全滅する。その為木の内部に巣をつくる。
青年は死刑当日、後ろ手にされて死刑台の階段を登らされたが、わざとよろけ親指の爪を死刑台の柱にめり込ませる。そして群衆を挑発するように唾を吐きかける。目隠しされる前に嘆き悲しむ両親と幼い兄妹をチラッと見て、そして処刑された。
その夜、死刑台の表面は全く異常はないようにみえるが、内部では青年の唾と死刑台の湿り気で恐るべきスピードで砂漠シロアリの巣が広がりスカスカにしていた。
そして翌日、スカスカに成った死刑台の柱が弥助の体重に耐えられなく崩壊。
直射日光で全滅するので目にみえる部分はチリか木片にしか見えないのであった。
その後、ハラヘッタの一部の地域で砂漠シロアリの大繁殖の被害があり市当局は大規模な消毒駆除が行われたとの記録あるが、壊れた死刑台との関連は全く記述はない。
早朝、ハッサムの手下がフォークリフトで弥助を、コンテナに詰める。
ハッサムの隊商も急激に近代化されてる、隊商を組んでの移動から、兄様国製の内燃機関付トレーラーやトラック軍団に置き換わりつつある、スピードが猛烈に違う。
トレーラーがやってきてコンテナ積んで運び去る。
兄様の特急便依頼だ。港に運ばれ、内燃機関付船に乗せられ兄様国に運ばれる。
医師団が弥助を診る、
「これ、助かるかな」
覗き込む兄様
「最善を尽くします」
ってしか言わない医師団の師匠。
弥助はゼイゼイと、兄様に、
「カタナナクシタ」
「気にするな、どうせ俺のじゃない。また見つかるさ生きてれば」
「恐らく以前の骨の補強で炎症起こし、その痛みを紛らす本能が過食になった」
と師匠は診断、
弥助は島国の足軽時代、兄様の謀略により、姫様を乗せた鉄の籠を担がされ限界になったのを
「後100歩進めば姫の初物をくれてやる」
の姫様の言葉に電撃的衝撃を受け100歩進んだ末に肩の骨、背骨が皮膚を破り壊れてしまった、
その後、姫様の願いにより兄様の医師団の治療を受けたのだった。
以前より安全性能高い麻酔薬で施術する。
以前の施術の磁器製骨の周囲を調べ炎症起こしてる処や、新たにひびや折れてる骨をチタン製のボルトやナット、最新式のセラミック骨と交換
手術は終わったが、
「後は本人の生存意欲」
と医師団師匠は言う。
兄様は、姫様のあんな姿やこんな姿、サービスカットの絵を当代一流の絵師、幽幻画伯や島文鐘画伯や藤原拓磨画伯に依頼して病室中に貼る。




