表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする  作者: 鳥助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/45

44.開戦

 それから、戦いの準備をした。穴罠で敵兵を穴の中に落とす作戦だ。これならば、村人に大きな被害が及ばない。


 それでも、どんな不足な事態が起こるか分からない。一応、村人も武装させることにした。


 木で出来た盾を作り、木と石で作った柄の長いハンマーを持たせる。


 剣も材料さえ取ってこれば作れるのだが、戦ったことのない村人が剣を扱えるとは思っていない。だから、誰でも使える打撃系の武器を持たせた。


 最低限の装備を整えると、今度はキジバード団を偵察に向かわせ、三領の動向を見守る。


 しばらくすると、三領から出兵したという報告が届いた。騎士爵家の二家からは二十名ずつの武装した農民が。男爵家からは皮鎧に身を包んだ兵士が八十名、武装した農民が百八十名が出てきた。


 合計で三百人も出してきた。どうやら、数で押し切って勝ってしまおうという考えが見て取れる。


 だけど、どれだけ人数を出してきても、戦える人数を出してきても、無駄。穴罠にはめるのだから、その戦力は全部無効化出来る。


 悠々と敵勢力が到着するのを待ち、キジバード団の報告を待った。そして、とうとうその日がやってきた。


「敵勢力接近! 明日、到着予定!」


「来たね!」


 私はすぐに行動に移した。戦える村民を集め、装備を整えさせた。そして、お父様が乗る馬に乗せてもらい、村民の前に立った。


 ざわめいていた村人たちが、私たちの姿に気づいて静まり返る。不安と緊張が入り混じった空気。その中で、お父様が口を開く。


「皆、よく集まってくれた。すでに知っている通り、敵は三百。我らは百五十。数だけ見れば、二倍の差がある」


 その言葉に、わずかにざわめきが起こる。だが、お父様は構わず続けた。

「だが、恐れる必要はない。敵は寄せ集め。統率も甘く、力も散漫だ。それに対し、我らはこの地を守るために集った者たちだ」


 ゆっくりと、全員を見渡す。


「そして何より我らには、ミリア様がついている!」


 その瞬間、空気が変わった。不安が、確かな何かに塗り替えられていく。


「ミリア様の加護を信じよ。我らの正しさを信じよ!」


 お父様は剣を掲げる。


「勝利は、我らのものだ!!」


「「「おおおおおっ!!」」」


 村人たちが一斉に声を上げた。その響きは、さっきまでとはまるで違う。恐怖ではなく、覚悟の声。


「ミリア様万歳!!」

「勝つぞ!!」

「やってやる!!」


 恐れは、もうほとんど残っていない。あるのは、信じる心と戦う意志。……これならいける。


 私はお父様の方を見ると、軽く頷いた。お父様も同じように頷き返す。

「出陣だ」


 その一言で、全てが動き出す。村人たちが武器を握りしめ、隊列を整える。私たちはその先頭に立ち――


「行こう、ミリアたん」


『大丈夫、私がついているから』


 ◇


 森を抜けると、一気に視界が開けた。見渡す限りの平原。風が草を揺らし、ざわざわと低い音を立てている。


 その中央付近に、私たちは陣を敷いた。


「ここで迎え撃つ」


 お父様の指示に従い、村人たちが隊列を整えていく。木の盾を前に構え、ハンマーを握る手には力がこもっている。


 やがて――


「……来た」


 誰かが呟いた。遠くの地平線。その向こうから、黒い影がじわじわと広がってくる。


 土煙。揺れる槍の穂先。そして、三百の兵。敵勢力だ。


 向こうもこちらに気づいたのか、徐々に速度を落とし、やがて一定の距離を保って停止した。両軍が、真正面から向かい合う。


 静寂。重たい空気が場を支配する。互いに睨み合い、動かない。その緊張を破るように――カッ、カッ、と蹄の音が響いた。


 敵陣から、一騎の馬が前に出てくる。


「……あれは」


 目を細める。見覚えのある顔。その後ろにも、同じように馬に乗った二人。


「メルキア男爵に、シルヴェールとラヴィエル……」


 あの日、パーティーでミリアたんを侮辱した連中だ。やがて、その中の一人、中央にいた男が前に出た。豪奢な服に身を包み、ふてぶてしい笑みを浮かべている。


「ほう……逃げずに来たか、モンベルト騎士爵」


 メルキア男爵だ。こちらを見下すような視線で、ゆっくりと口を開く。


「数の差は理解しているだろう? 明らかにこちらの方が数が多い。勝負にもならぬ」


 くくっ、と喉を鳴らして笑う。


「今からでも遅くはないぞ。膝をつき、我らに従うと誓うなら、命だけは助けてやろう」


 露骨な挑発。周囲の貴族たちも、にやにやと笑っている。けれど――


「……くだらん」


 お父様が、静かに言い放った。その声には、怒りも焦りもない。ただの事実を述べるような響き。


「勝敗は、数では決まらぬ」


 まっすぐに、メルキア男爵を見据える。


「貴様らこそ、理解しておくべきだ」


 その一言に、男爵の眉がぴくりと動いた。だが、すぐに――


「はっ……強がりを。まあいい。どのみち結果は同じだ。この場で、貴様らは潰える」


 そして、くるりと馬を返す。


「勝ったも同然だな」


 不敵に笑いながら、そう言い残して。そのまま自陣へと戻っていく。


 ……言ってくれる。でも、その余裕、どこまで持つかな。内心で、にやりと笑う。


 次の瞬間――


「構えええええっ!!」


 敵陣から、怒号が響いた。それに応じるように、兵たちが一斉に武器を掲げる。


「「「おおおおおおおおっ!!!」」」


 地鳴りのような雄たけび。空気が震える。そして――


「進めえええええっ!!」


 開戦。三百の兵が、一斉にこちらへとなだれ込んできた。大地を踏み鳴らし、土煙を巻き上げながら迫る大軍。


 その光景に、普通なら恐怖するだろう。だけど――


「……予定通り」


 私はすぐにミリアたんの力を解放した。標的は地面。収納するのは地面。広範囲に指定をすると、力を解放する。


 すると、兵の目の前に大きな穴が出現し――敵勢力が次々と落ちていく。


「な、な、な、何ーーっ!?」


 目の前にいた三百の兵は一瞬に消え、残りは領主だけになった。後は好きにボコして良いってことだよね?


 ニヤリと笑うと、私は指示を出した。


「敵は三人! みんな、かかれー!」


「「「うおおぉぉぉぉっ!」」」


 丸裸にされた副将と大将に向かって、百五十の兵が向かっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載!

スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~

旧作

転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!

転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~

追放を計画的に利用して自由を掴んだ王女、叡智と領地改革で無双する

転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした

スラムの転生孤児は謙虚堅実に成り上がる〜チートなしの努力だけで掴んだ、人生逆転劇〜

ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる

元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~

異世界喫茶で再出発ライフ

ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する

推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする

過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった


この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~

コミュ障クラフターの私、引き継いだ能力が異世界では規格外すぎて無自覚に無双してしまう件~地味に暮らしたいだけなのに、なぜか注目されて怖いんですが~

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ