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推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする  作者: 鳥助


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45/45

45.勝利

「ゆ、許してください……」


「も、もう……降参、降参ですっ」


「な、なんでもしますから……許してください」


 私たちの目の前には村人のハンマーでタコ殴りにされたメルキア男爵たちがいた。みんな、顔も体も腫れあがり、かなり痛々しい姿だ。


 まぁ、兵士たちを穴罠にはめたお陰で、各領主が丸裸にされた状態だったからね。これは、圧倒的な勝利だろう。だが、そう簡単には許さない。


「ミリアたんを貶した罪は消えていない。だから、許す気はない。このまま縛り首だね」


「そ、そんな!? い、命だけは……命だけはお助けください!」


「お願いします、お願いします!」


「なんでもしますからー!」


 私が睨むと、メルキア男爵たちは死に物狂いで頭を下げて許しを求めた。ミリアたんを貶した罪は万死に値する。だけど、そう簡単に死なせたら、罪を犯したという意識が出来ない。罪をしっかりと償わさなければ。


「どうする、シア?」


「本当は許されないことだけど、命は助ける」


「「「本当ですか!?」」」


「だけど、相応の償いをしてもらう」


「どんなことがいいんだ?」


 尋ねてくるお父様に私は言ってやる。


「村人全員、ウチの村人にする」


「「「そ、そんなー!」」」


「へぇ、嫌なの? じゃあ、縛り首にでも……」


「「「言うこと聞きます! だから、命だけは!」」」


 メルキア男爵たちは諦めたように、頭を下げた。これで、計画通り。


 ◇


 その後、捕縛したメルキア男爵たちは厳重に拘束されたまま、交渉材料として扱われた。抵抗する気力はすでに削がれており、命綱としての価値だけが残っている状態だった。


 用意された書状は簡潔で、余計な情を挟む余地のないものだった。男爵本人の印を押させたうえで、領地へと伝令が走る。要求は明白で、拒否の余地もほとんどない。受け取る側にとっても、判断に迷うような内容ではなかった。


 返答は驚くほど早く届いた。状況を正確に把握した上での決断であり、抗うだけの戦力も余力も残っていないことが見て取れる。結果として、要求はそのまま受け入れられた。


 ほどなくして、長い列が村へと到着する。荷馬車と徒歩の人々が続き、老人から子供まで、あらゆる年齢の領民が移送されてきた。見慣れぬ土地に対する不安が表情に滲んでいたが、それも無理はない。


 しかし、受け入れ側の準備はすでに整っていた。増員を見越して拡張された住居、蓄えられた食料、整備された水源と畑。混乱が起きないように役割分担も決められており、流れるように人々は配置されていく。


 時間が経つにつれて、戸惑いは少しずつ薄れていった。与えられる食事の量、労働に対する正当な対価、過度な搾取のない生活環境。それらの違いは、言葉にせずとも実感として伝わっていく。


 やがて、この地の根幹にある価値観も伝えられていく。信仰という形で共有される秩序と帰属意識は、人々の間にゆっくりと浸透していった。最初は戸惑いを見せていた者たちも、日々の安定と結びつくことで、それを受け入れていく。


 こうして、移送された人々は正式にモンベルト騎士爵領の住民となった。


 人口は一気に増加し、かつての小さな村は様相を一変させる。人の気配が満ち、生活の音が広がり、確かな領地としての輪郭を持ち始めていた。


 ワインでの税収の増加、今回の人口の増加。その成果は王都にも届いた。やがて正式な通達が下される。


 モンベルト騎士爵の昇爵――男爵位への叙任。それは、これまで積み重ねてきたすべてが認められた証だった。


 領地の発展、治安の安定、住民の増加、そして周辺への影響力。そのどれもが評価され、ついに一つ上の位へと引き上げられたのだ。


 こうして、モンベルト騎士爵家は、モンベルト男爵家となった。


 名実ともに領主としての格が上がり、扱える資源も、任される責務も増えていく。それはつまり、出来ることが増えるということでもある。


 新たな土地の獲得。さらなる開拓。これまで構想だけに留まっていた事業にも、いよいよ手を伸ばすことができる。確かな手応えと共に、未来が広がっていく。


 だが、その変化はそれだけではなかった。


『シアさん、私……力が増えたみたい』


 新しい住民が増えてしばらくして、ミリアたんがそんなことを言ってきた。


「えっ、そうなの!?」


『うん、お陰で少しなら人の形を保てるようになったみたい』


「み、見たい! 久しぶりの人型のミリアたんを!」


『うん、待ってて』


 そう言って、白猫姿のミリアたんが私の前に立つ。すると、その体が光った。目を細めて見ていると、その姿が人の形を形どっていく。


 そして、その光が収まると――そこにはいつも見ていたミリアたんの姿があった。


「うおぉぉぉっ! 数年ぶりの人のミリアたんーーーーっ!」


『えへへ、この姿になれるのも久しぶり。喜んでもらえた?』


「うん、うん! めちゃくちゃ嬉しい!」


 また、この日が来るとは思ってもみなかった! ここまで頑張ってよかった!


『でも、そんなに維持出来ないみたい。ごめんね、私がポンコツなばかりに……』


「ううん、そんなことない! まだまだ、信仰が必要だっていうことだよ! こうして、ミリアたんがいつもの姿になれることが分かったんだから、これからはもっと頑張る!」


 領地を豊かにして、人口を増やして、ミリアたんを広める! そのためには、どんなことでもしてみせる!


「待ってて、ミリアたん! 私がミリアたんを創造神にしてあげるから!」


『そ、それは怒られるよー!』


 私の戦いはこれからが本番だ!

ここまでお読みくださりありがとうございます。


こちらの作品はコンテストに参加しているため、規定文字数に達したため、一度ここで完結させていただきます。


もし、お気に召しましたらブクマと評価をしてくださると嬉しいです。


よろしくお願いします。

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