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推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする  作者: 鳥助


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4.領地の現状

 家族と、屋敷に仕える使用人たち。その全員を、ミリアたんに入信させた。これで信者数は最低ラインを突破。一先ずは、消滅の危機は回避したと言っていい。


 ……とはいえ、安心している暇はない。


 創造神が「信者が少ないから」とかいう雑な理由で、ミリアたんを消しに来る可能性は普通にある。あの神、絶対やる。ノリでやる。破滅させてやる。


 だからこそ、信者の拡大は急務だ。


 手っ取り早いのは、領民への布教。数も多いし、影響も広がりやすい。


 そう判断して、私は屋敷を出て領地の様子を見に行くことにした。


「ほら、見てごらん。これが、私たちの領地だ」


「わー!」


 ケイズに抱えられ、屋敷の外へ。視界が開け、領地の村が見えてくる。


「わー……」


 声が、途中で止まった。いや、これは。わー、じゃない。な、なんだ……これ……?


 道は、道とは名ばかりで、ただの土の轍だ。雨が降ればぬかるみ、乾けばひび割れる。歩くたびに足を取られそうになる。


 しかも、整備なんて概念は存在しないらしく、石やらゴミやらがそのまま転がっている。危ない。普通に危ない。


 見通しも最悪だ。雑に積まれた廃材や壊れかけの柵があちこちにあり、死角だらけ。


 そして、家。いや、あれを家と呼んでいいのか?


 石を積み上げただけの壁。隙間だらけで、風どころか雨も普通に入るだろう。


 屋根は木の板を雑に乗せただけ。固定も甘く、強風が吹けば簡単に飛びそうだ。……というか、既に半分崩れている家もある。


「……え?」


 思わず間の抜けた声が出た。人、住んでるよね? ここ。


 さらに視線を巡らせる。村人たちはいる。いるけど――痩せている。


 明らかに栄養が足りていない体つき。動きも鈍く、覇気がない。子どもでさえ、笑っていない。


 そして、極めつけ。村の外れに見えたそれに、私は完全に固まった。


「……あれ、畑?」


 思わず呟く。でも、どう見ても畑じゃない。土は固く、ひび割れている。耕された形跡も薄い。


 雑草と枯れかけの作物が、まばらに生えているだけ。列もバラバラで、管理されている様子がまるでない。


 ……収穫、できてるの? いや、できてるわけがない。


「……ひどい」


 これはもう、貧しいとかそういうレベルじゃない。崩壊寸前だ。


「騎士爵家の領地はどこもこんなものだ。何もないところに無理やり住処を建てて、人が生きていく最低限のものがあるだけだ」


 これが騎士爵家の領地の現実。想像以上の光景が広がっていて、すっかり布教のことが頭から抜け落ちてしまった。


「だだだ、大丈夫! 推し活は生きる糧! その素晴らしさに気がつけば、たちまち元気になって、村が豊かになる!」


 そう、かつての私が社畜で死んだ魚の目をしていた頃のように!


 あの時、ミリアたんに会っていなければ自死を選んでいたほどに追い詰められていた。ミリアたんは全てを救ってくれた。


 だから、ミリアたんを信仰すれば村の人達も元気になるはずだ!


 私は宙に浮いて、村人の前に出た。


「あ、赤ちゃんが宙に浮いてる!? どどど、どうして!?」


「みんなを救う方法があるよ」


「あ、あ、あ、赤ちゃんが流暢に喋ったーーー!?」


 途端に村人は驚いて、騒然となってしまった。いやいや、そこは直ぐに受け入れて!


「いいから聞け! 救われるには、ミリアたんを信仰すれば万事解決! ミリアたんを信仰すると、たちまち元気になり、何でもできるようになって、その結果豊かになる! だから、ミリアたんを信仰せよ!」


 ミリアたんを前に出して、みんなを説得する。こんな言葉ではミリアたんの魅力は語り尽くせないけど。


 すると、村人たちは顔を見合わせて困惑した。


「信仰ってなんだ? そんなことよりも、食べるものが……」


「お腹減ったなぁ……」


「もう、何も考えたくない……」


 駄目だ! 全然話を聞いてくれない!


 こんなに素晴らしいミリアたんがいるのに、見向きもしない!


 なんて奴らだ……。こうなったら、その身体に刻みつけてやろうか。ミリアたんの魅力を!


『ま、待ってシアさん! そんなことしたら、もっと辛くなっちゃうから!』


 えっ? 心の声に反応した? ももも、もしかして、ミリアたんと私は既に一心同体ってこと!?


『神様だから分かるの! とにかく、落ち着いて。このままでは信仰は集まらないよ』


「だから、身体に教え込もうと思って……」


『信仰は純粋な思いじゃないと集まらないの。だから、無理やり崇めさせようとすると、邪な気持ちが集まって、最悪邪神になっちゃうよ……。そんなの、嫌……』


 ミリアたんが邪神にっ!? それは、いけない!


「だったら、止める! ミリアたんは邪神にさせないから、安心して!」


『ありがとう……。うぅ、本当に何もできないポンコツでごめんなさい。もっと、頑張るから見捨てないで』


「絶対に見捨てない! 他は見捨てても、ミリアたんだけは見捨てないから!」


『そ、そこは他も救って!』


 となると、無理やり信仰させることは出来ない。じゃあ、純粋の気持ちで信仰させるには、ミリアたんの力を使って信仰させるしかないってことか。


 使えるのは自分の信仰をミリアたんに捧げて、その力で村人を救うこと。どんな力でもイメージで変えられるっていうから、どんな力がいいだろうか。


 ここはやはり、食糧問題を解決するのが先決だ。その為には、沢山の食べ物を手に入れなくちゃいけない。


 うん、力のイメージが出来た。


「私に任せて! ミリアたんの力を使って、農作物を一瞬で育てるから!」

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