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推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする  作者: 鳥助


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32.お子様のお茶会(1)

 モンベルト騎士爵領から馬車で一週間。王都に到着した。屋敷とは名ばかりの小さな家に到着して、そこで一泊する。


 そして、その翌日――王城の広い園庭にて、子供たちのお茶会が始まった。


「うわぁ、ひろい! きれい!」


 現地に到着すると、その広さと豪華かさに目を奪われた。


 園庭は、まるで絵本の中の世界をそのまま切り取ったかのようだった。


 どこまでも続くかと思うほど広い芝生は、丁寧に刈り揃えられていて、裸足で歩けば気持ちよさそうに見える。ところどころには白い小道が走り、その両脇には色とりどりの花々が咲き誇っていた。赤、青、黄、紫。見たこともない品種まで混ざり合い、甘くやわらかな香りが風に乗って漂ってくる。


 さらに目を引くのは、中央に設けられた大きな噴水だった。透き通る水が陽の光を受けてきらきらと輝き、まるで宝石のように空中へと弧を描いている。その周囲には白い石造りのベンチが円を描くように配置され、すでに何人かの子供たちが座って談笑していた。


「すごいね……これぜんぶ、おにわなの?」


「そうだよ。ふっ、ミリア様の力を使わないで喋るシアは可愛いね」


「なんか、いつもとは違う感じで、変」


「可愛らしい天使がもっと可愛らしい天使になったわ」


 そう、今の私はミリアたんの力を切っている。流暢に喋って浮かぶ二歳児は可笑しいからね。ここは、幼気な二歳児を演じるのだ。


「じゃあ、大人たちは違う区画で交流だから、あとは頼んだぞ、セント」


「任せて! リアは俺が守る!」


「守るのもいいけれど、交流もしてね。じゃあ、私たちは向こうで戦ってくるわね」


 両親にギュッと抱きしめられると、その場を手を振って後にした。残された私はというと、瓶を抱えるお兄様に手を引かれて園庭へと進んでいった。


 そして、その隣で猫の振りをしたミリアたんが着いてきてくれる。これで、何も怖いものはなしだ。


「俺たちは、たくさんの人と仲良くなって、この干しブドウを食べてもらえばいいんだな?」


「そうだね。しりあって、なかよくなって、ほしぶどうをたべてもらって、おやにかってもらうながれをちゅくりたい」


「じゃあ、どんどん話しかけていこうな!」


 コミュ力お化けのお兄様がいるんだから、怖いものなんてない! お兄様のコミュ力で取り入って、私が後ろから援護をすればいい。


 気持ちを強く持つと、お兄様は辺りを見渡した。


「うーん、まだ子供の数が少ない?」


「たしか、くらいのひくいじゅんばんかりゃ、あつまってくるっていってた。だから、これからいっぱいくりゅんだよ。はじめから、がんばらなくてもいいとおもう」


「そうなんだな。だったら、先にお菓子でも食べないか? ちょっと、気になっちゃって」


「うん、いいとおもう!」


 先に英気を養うのも悪くない。私たちは早速お菓子が並ぶテーブルに近寄り、お皿にお菓子を盛った。


 私が手に取ったのは、一口サイズのケーキ、しかも四種類。それをフォークで刺し、口に入れる。


「んっ! あまーい!」


「むっ! お、美味しい!」


 村では味わえなかった甘味。とてつもなく、美味しく感じる。二人でニコニコと笑って食べていた時、人が近づいていた。


「あの……食べてもいいんですか?」


「ん? 聞いたら、食べても良いって言ってたぞ」


「そうなのか! ありがとう!」


 私たちが食べたことがきっかけて、周りにいた子供たちがわらわらとテーブルに近寄ってきた。


「んー! 美味しい!」


「こんなの食べたことない!」


「ほっぺが落ちそう」


 美味しそうに食べる姿を見ていると、仲間がいるようで嬉しくなる。このチャンスを生かすしかない。


 私はお兄様の裾を掴んで合図を送る。そして、耳打ちをして、お兄様が頷いた。


「俺、セント・モンベルト! みんなの仲間も教えて!」


 すると、すぐにお兄様が自己紹介をした。すると、他の子たちはおずおずと自分の名前を教えてくれる。


「みんなも交流しにきたのか? だったら、人が増える前に俺と交流してよ! 楽しいお話しようぜ!」


 ずいずいと押して進むお兄様。やはり、こういう役目はお兄様が役に立つ。すると、周りの子たちも同じ気持ちだったのか、口を開いて話し始めた。


 その話をお兄様が盛り上げる。そして、場が温まった頃――私はもう一度、お兄様に耳打ちをした。


「なぁ、みんなに食べて欲しいものがあるんだ。領で作った干しブドウなんだ。凄く美味しく出来てるんだぜ!」


 そう言って、持っていた瓶を差し出した。みんな、興味を引かれたように干しブドウを一つずつ手に取り、口に運ぶ。


「んっ! 美味しい!」


「凄い、あまーい!」


「こんなの初めて!」


 反応は上々だ。みんな、とても美味しそうに食べてくれる。


「なっ、美味いだろう? もし、もっと食べたかったらモンベルト騎士爵領に手紙を送ってくれよな!」


「うん、送る! それに、セントとももっと交流したい!」


「良い友達に出会えて良かった! 私も手紙を送るわ!」


「緊張してたけど、お陰で楽しめたよ! ありがとう!」


 よし、営業もちゃんと出来た。印象もいいし、問題はないはずだ。やはり、お兄様を使った方が受けがいい。二歳児の私が前に出ると、なんだこいつはってなっちゃうから。


 このままお兄様を使って、交流を深めていこう。そして、私も時々前に出て少しくらいはアピールしなくっちゃ。

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