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推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする  作者: 鳥助


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24.情報収集

 あれからひと月。かつて賊だった者たちはすっかり村に溶け込み、今では誰もが穏やかな日常を送っている。日々の仕事に汗を流し、仲間と笑い合い、家族と食卓を囲む。そんな当たり前の幸せが、確かにここにはあった。


 村の人口も、わずか百人ほどだった頃から一気に二百五十人規模へと膨れ上がり、かつての静けさが嘘のように活気に満ちている。


 けれど、ミリアたんの信者数という観点で見れば、まだまだ心許ない。


 他の神々が何万、何十万という信徒を抱えていることを思えば、この程度では話にならない。もっと増やさなければならない。ならばいっそ、正式に教団を立ち上げ、大陸各地へ教会を広げていくべきだろう。


 そのためにも、まずは盤石な拠点が必要だ。


 この領地をさらに発展させ、人を呼び込み、規模を拡大していく。すべてはミリアたんの御威光を、世界へと知らしめるために。


「さて、どうやって人を増やすべきか……」


『それが問題だよねぇ……』


 私はミリアたんと一緒に村を歩きながら考えていた。


「他の町から奪ってくると、争いになるし……」


『そ、そんなことを考えていたの? もっと、穏便な事をした方がいいよ』


「いや、ミリアたんの信者を増やすために、手段を選んでいる場合では……」


『そこは手段を選ぼう!? ね!』


 むぅ……ミリアたんにそう言われると、強引な手段が取れない。何においてもミリアたんが一番だからいいけれど、他にどんなやり方があるかな?


「おや。シア様にミリア様じゃないですか」


 歩いていると、通りすがりの村人に声をかけられた。確かこの人は、賊から村人になった人だ。


「難しい顔をしてどうしたんですか?」


「人を増やすのに、何か良い手はないかって考えていたんだよ」


「あー、なるほど。ミリア様の信者を増やすには、人を増やさないといけませんからね」


「その辺に人が落ちていれば拾ってくるんだけど……」


「さ、流石に人は落ちていないかと……。でも、この村を知ってもらえれば人が集まると思いますよ」


「ほほう……」


 この村のことを知るだけで、村人が集まると?


「ほとんどの村は食べ物も住むところも着るものも十分じゃありません。それがある、この村はそれだけで人が住みたいと思える場所だと思いますよ」


「……確かに。以前の村の様子を見てみれば、悲惨な状況なのは分かる。今の村がどれだけいいのかも。じゃあ、村のことを知ってもらうだけで、人が来るってこと?」


「その可能性は高いです。それに、俺たちと同じで税が払えなくて、村を追い出された人もいるはずです。その人を集められれば、もっと人が増えるでしょう」


「色々と教えてくれてありがとう」


「いえ、お役に立てればそれで。では……」


 村人はお辞儀をすると、この場を去った。


『良い話は聞けたけれど、難しい話だね。どこにいるかも分からない、そういう人たちを見つけるのは大変だよ』


「やっぱり、そこだよねぇ。村に行って、こっちの村の方が住みやすいですよ、っていうと問題になるし。かといって、村を追い出された人を見つけるのは難しい……」


 その人たちに何かアクションを仕掛けられればいいのだが……。私一人では到底手が足りない。ということは、誰かの手を借りることになる。


 簡単に移動が出来る人で、こっそりと話すのに適している人。そのことを考えていると、遠くから鳥の鳴き声が聞こえてきた。森に住んでいる、キジバードという鳥だ。


 もし、鳥のように空を自由に移動出来て、地上を彷徨っている人が見つけられれば。ひもじい思いをしている村人に密かに接触して、この村の事を伝えられれば。そんな夢物語みたいな事を考えてしまう。


 ……いや、ミリアたんの力があればそれは可能なんじゃないか? ミリアたんの力でキジバードを私の僕にして、ミリアたんの力で人の言葉が話せるようになれば……これはいける。


「ミリアたん、いい案が浮かんだよ。いや、違うね。これは私が思いついたなんて軽いものじゃない。ミリアたんの尊き御導きが、愚かな私の脳に奇跡として降りてきたんだよ! ああ、なんて素晴らしい……流石は全知全能にして森羅万象を司る至高無上の女神ミリアたん! 一緒にいてくださるだけで発想が冴え渡り、凡俗の身である私にすら神域の叡智を授けてくださるなんて……やっぱりミリアたんは奇跡そのものを体現した存在だね!」


『えっ、えっ、えっ? わ、私……何もしてないよ?』


「何を言ってるのミリアたん! 存在しているだけで世界に恩寵をもたらし、呼吸ひとつで万物に祝福を与え、微笑むだけで未来の可能性を無限に広げる。それがミリアたんなんだよ!? 何もしてないどころか、今この瞬間も私の人生を根底から輝かせてくれているじゃないか!」


『ど、どういうこと? ねぇ、シアさん! 私、本当に何もしてないよ!』


「してるよ! してるに決まってるよ! ミリアたんがここにいてくれる、それだけで大地は豊かに、空は澄み渡り、人の心は救われるんだから! ああ、なんて尊い……なんて気高い……! よし、この神託に従って森へ行こう! ミリアたんの御意思が、きっと新たな奇跡へと導いてくれるはずだから!」


 ミリアたんは奇跡を起こす神様だ。否、奇跡そのものだ。存在するだけで世界を救う至高の御方。ああ、流石は私の推し神様、ミリアたん! この御方なしでは、もはや一秒たりとも生きていける気がしない!

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