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推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする  作者: 鳥助


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19/20

19.安全確保完了

「どうだ! 参ったか!」


『私たちに従うか?』


『し、従いますー!』


 お兄様と私で狼の群れをコテンパンに負かせると、全ての狼がひれ伏した。これで、潰した群れは十を超え、引き連れた狼は二百を超える。


『他に群れはある?』


『いえ、これで周辺にいる狼の群れは仲間に出来たと思います』


『よし。じゃあ、仲間作りはこれでおしまい!』


 どうやら、これで終わりらしい。とりあえず、今のところはこれくらの数がいればいいだろう。


 後ろを見れば、従えた狼たちの姿が見える。住民よりも多い数か……。もし、この狼たちがミリアたんを信仰すれば、多くの信仰が集まるんじゃない?


「ねぇ、ミリアたん。魔物も信仰者になれるの?」


『うん、なれるよ。でも、人間とは違うから難しいよ。まず、信仰というものを説かないといけないから』


「そっか、まず理解をさせることが必要なのか。でも、大丈夫。私ならミリアたんを信仰対象にすることが出来るよ」


『えっ? そうなの? でも、理解する知能がないと……』


「大丈夫。叩き込むから」


 今は少しでも信仰者がいないと困る。すぐには住民は増やせないから、とりあえず魔物で補う形がいいと思う。


 魔物すらも魅了するミリアたん……素晴らしい! 流石は私のミリアたん! 全知全能の神!


 その素晴らしさを知ると、絶対に信仰したくなるに違いない。よし、狼たちは護衛兼信者だ!


『みんな、私の前に集合』


 低く、けれどよく通る声でそう告げると、狼たちは一斉に動いた。ざわり、と草を踏む音が広がり、二百を超える群れが整然と並ぶ。


 ……いい子たち。ちゃんと命令を聞けるなんて、本当に優秀だ。


 私は満足げに頷くと、一歩前に出る。そして、にこりと柔らかく笑った。


『ねぇ、あなたたち。さっきまで敵だった私たちに負けて、こうして従うことになったわけだけど……ちゃんと理解してる?』


 その声は優しい。けれど、どこか逃げ場を塞ぐような響きを含んでいた。


 狼たちは一斉に伏せ、低く鳴く。


『は、はい……我らは敗れました。強き者に従うのが掟……』


『うん、そう。それでいいの。でもね、それだけじゃ足りないの』


 ぴたり、と空気が止まる。


『あなたたちはただ従うだけじゃなくて、正しく従う必要があるの。分かる?』


 狼たちが戸惑うようにざわついた。ちゃんと、伝わっていない? だったら、分かるまで言うまでだ。


『大丈夫、難しいことじゃないよ。とっても簡単。あなたたちが従うべき存在は、私でも、お兄様でもない。ミリアたん』


 その名前を口にした瞬間、狼たちが理解できないように首を傾げた。だから、分かるように伝える。


『この世界で一番尊くて、一番可愛くて、一番偉くて……全部の頂点にいる存在。優しくて、慈悲深くて……。全部含めて最高なの。存在しているだけで奇跡で、息をしているだけで尊いの』


 再び視線を落とし、狼たちを見た。にこり、と笑う。


『そんなミリアたんを信仰しないなんて、あり得ないよね?』


 ぞくり、と狼たちが震えた。


『し、信仰……とは……』


『簡単だよ』


 私は狼を見渡し、その視線と目を合わせた。


『ミリアたんを一番に考えること。ミリアたんのために生きること。ミリアたんのために戦うこと。そして……ミリアたんを疑わないこと』


 出来るだけ分かりやすく伝えると、困惑の色が消えた。


『大丈夫。ちゃんと教えてあげるから。すぐに理解できなくてもいいの。分からなくてもいいの。――分かるまで、叩き込むから』


 ニコリと微笑むと、空気が重くなったのを感じた。


 ◇


 村に戻ると、村人と一緒にお父様とお母様がいた。心配そうな顔をして辺りを見渡していた。きっと、私たちがいなくなっていたことに気づいたのだ。心配かけちゃったな。


 そう思って、みんなの前に飛び込んでいった。


「ただいま!」


「その声はシア……って、大きな狼!?」


「う、後ろに大勢の狼!?」


 声をかけると、みんなが驚愕した。そして、ガクガクと震えだす。


「やだなー、私だよ。シア。ミリアたんの力で変身しているだけだよ」


「そ、そうなのかい……?」


「そ、そんなっ……あんなに可愛いシアが、こんなに怖い狼になるなんてっ」


 お父様は引きつった笑みを浮かべ、お母様は今にも泣きそうな顔をしている。そうそう、ちゃんと説明しないとね。


「周辺の狼たちを従えてたんだよ。これで、狼たちが周辺の魔物を狩ってくれると思う」


「そんなことをしていたのかい?」


「シア、元に戻りましょう? あの、可愛いシアに戻って。ね?」


 事情を説明すると、お父様は困惑しながらも話を聞き、お母様は泣きそうになりながら懇願してきた。と、そこへ――。


「お父様、お母様! 俺を見てくれ! 凄いだろう!」


「うわっ!? セ、セント!?」


「い、イヤーーーッ!! セントが怪物にーーーッ!!」


 お兄様があの姿のまま登場すると、お父様は驚き、お母様は涙を流して絶叫した。


「どうして、私の可愛い子が! こんな化け物の姿にーーっ! 神よ! 私が何をしたというのでしょうか!?」


「お、落ち着け……レイチェル!」


「それで、魔物は狼が倒してくれるから平気だよ」


「ほら、見てくれ! 凄い体だろう!?」


「いやーーーっ! 罪があるなら、償います! ですから、可愛い子を返してー!」


「み、みんな、落ち着いてくれー!」


 お父様の絶叫が木霊するが、その場の混乱は収まらなかった。

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