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推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする  作者: 鳥助


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18/20

18.戦力補強

「うおぉぉっ!」


 お兄様が襲い掛かってくる魔物を次々と殴り飛ばす。どの魔物も一撃で仕留めることが出来て、村周辺の魔物の駆除は進んでいった。


 だけど、数が多い。こんなにも潜んでいたなんて驚きだ。


「ギャーッ!」


「グギャーッ!」


「ギギーッ!」


「うわっ!? まだ、来るのか!? く、くっそー! やってやる!」


 数の多さに、魔物を倒しているお兄様も引き気味だ。それでも、やる気を絞り出して魔物を次々と倒していく。


 その様子を見ながら、思案する。このままだと、お兄様が持たない。そうなれば、私が出ればいいのだが、私が出たとしても、次々と魔物が現れるからキリがない。


 たった二人の戦力では、村の安全を確保するには無理がある。


「うーん、何か手はないかな……。このままだと、こっちがへばっちゃう……」


『確かに……ずっと戦うのは大変だよ。人数が足りなすぎる……』


「じゃあ、村人を戦えるように鍛える? それだと、村の発展が遅れるんだよね……」


 百人程度しかいない村だ。その中から、戦える人を作ろうと思えば、人手が足りなくなって村の発展が遅れる。そうなれば、村を発展させて人を呼び込むのが遅れ、ミリアたんの信仰が集まるのが遅れてしまう。


 どうする? このまま、お兄様と私だけで魔物の駆除を進めるべきか。それとも、人手を増やすべきか。どちらとも、欠点はある。出来れば、欠点のない選択肢を選びたいところだけど……。


「そうだ、魔物を手なずければ」


 駆除対象の魔物を味方につけて、魔物が魔物を駆除する方法にもっていければ欠点はなくなる。うん、この方法はいけると思う。


「じゃあ、知能の高い魔物は……。この中じゃ、狼系の魔物が知能が高かったかな?」


 狼系の魔物は群れで行動し、その群れを率いるボスがいる。みんなボスの言うことなら聞いているから、そのボスに自分がなればいいのではないのだろうか?


 そうすれば、その群れは私の思うがまま。指示をすれば従ってくれる兵士そのもの。


「よし、狼系の魔物を従わせよう! と、なれば、私がボスの姿にならないといけないね! ミリアたん、力を貸して!」


『話がまとまった? なら、力を解放するよ』


 ミリアたんに向かって祈ると、ミリアたんが光りを放つ。その光りが私に放たれると、私の体が光る。この力を使って、狼のボスの姿に!


 イメージをすると、体が変わっていく。ふわり、と光が広がる。次の瞬間――ぐにゃり、と自分の体の輪郭が歪む。


「……っ!」


 骨が軋むような、不思議な感覚。痛みはないけれど、体の中を何かが組み替えられていくような違和感が広がる。


 腕が伸びる。指が縮み、鋭い爪へと変わっていく。背骨がしなり、姿勢が自然と前傾になると、視界の高さがぐん、と上がった。


 さらに――ぶわっ、と灰色の毛並みが全身を覆っていく。


「おぉ……っ」


 思わず声が漏れた。けれど、その声は少し低く、響くような音に変わっている。振り返ると、長く大きな尾がゆらりと揺れた。


 四肢はしなやかで力強く、地面を踏みしめるたびにしっかりとした手応えが伝わってくる。体はお兄様にも負けないほど大きくなり、森の木々と並んでも見劣りしないほどの巨体だ。


『わぁ……! ちゃんと狼のボスっぽい!』


「うん……これは、かなりいい感じかも」


 自分の体を見下ろしながら、そう呟く。これならば、きっと狼の魔物が従ってくれるに違いない。


「シア、凄いな! 狼になっちゃったぞ!」


「お兄様、作戦変更。狼の魔物を従わせるよ」


「分かった! 手伝うぞ!」


 これで準備は整った。私たちはその姿で森の中を駆けていった。


 ◇


「うりゃぁぁ!」


「ガウッ!」


 お兄様が拳で群れのボスを叩くと、私が止めに喉笛を噛み切る。すると、群れのボスは力尽きてその場に倒れた。


「ウゥッ!」


「グゥッ!」


「ウゥッ!」


 すると、周囲にいた狼の魔物がしっぽを丸めて怯え始めた。それもそうだ、簡単にボスが倒されたのだから。


 この様子なら、従わせるのは可能かな?


『ボスは私たちが倒した! よって、お前たちは私の物になる!』


『……ど、どうする気だ。俺たちを食う気か?』


『私の言うことをちゃんと聞いたら、殺さずに生かしてやる。どう? 言うことを聞く?』


『ボスを倒した奴の言うことだ、ちゃんと聞く』


 よし、どうやらちゃんと従ってくれるようだ。これならば、村の警護に使えそう。


『これから、お前たちには村の人間を守る仕事を与える。村の周りに蔓延っている魔物を駆除する役目だ』


『そ、そんなのでいいのか? だったら、受けよう』


『だが、この数では心もとない。だから、この群れをもっと大きくする』


 その言葉に狼たちは驚いて、喜ぶように声を上げた。


『群れが大きくなるのは歓迎だ。仲間が増えるのは、群れが強くなるということ』


『じゃあ、他の群れの所に案内する。もちろん、新しいボスが群れのボスを倒してくれるんだよな?』


『もちろん、私に任せて!』


 そういうと、狼たちはいきり立つように遠吠えを上げた。よし、この群れのボスになったから、ちゃんと言うことを聞いてくれる。


『シアさん、どうなったの?』


「この狼たちは言うことを聞いてくれることになったよ。そして、この群れを大きくするために、他の群れのボスを倒すことにした」


「そういうことか! だったら、俺も手伝うぜ!」


「じゃあ、行こう!」


 私が歩き出すと、その後ろからミリアたんとお兄様がついてくる。そして、その後ろからは新しい下僕なった狼たちが付き従ってくれる。


 この調子で戦力を蓄えるぞ!

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