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『灰燼の世界で、俺の白銀(アウラ)だけが消えない』 ──東方の刀『不知火』で切り拓く夜天の夜明け──  作者: 柊 篝


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第17話:黄金の雷光、天より降る

内郭へ殺到する別動隊を食い止めるため、炎の嵐となって走ったクロード!

残された第7小隊に託されたのは、怪物ドレイクを相手にする決死の「五分間」!

カナタの白銀、フェリの機動射撃、シエルの影縫い、エレナの防護水流──四人は持てる全力の連携で知性ある幹部に喰らいつく。

しかし、ドレイクの放った全方位の『超重力結界』が中庭を圧殺し、四人は石畳へと縫い止められてしまう。

迫り来る漆黒の重力灰鎖。死の刃がカナタの喉元へ迫ったその瞬間──!

地平の彼方から響き渡る無数の雷鳴、電撃を纏い疾走する多種族の精鋭『迅雷騎兵団』!

そして天を引き裂く黄金の閃光とともに、竜人の血を引く王国最高戦力──十星天刃第9席、カイン・アルヴァレストが降臨する!!

 ドゴォォォォォンッ! と遠くの通路の奥で激しい爆炎が上がり、漆黒の熱波が中庭の端を揺らしていた。

 別動隊を食い止めるため、単身で突撃していったクロードの背中は、すでに黒煙の向こう側へと消え去っていた。

「……五分だ」

 瓦礫に覆われた中庭の中央で、カナタは不知火を両手で握り締め、低く呟いた。

 喉の奥がカラカラに渇いている。心臓は早鐘のように激しく打ち鳴らされ、全身の毛穴から冷や汗が噴き出していた。

 目の前に佇むのは、十星天刃であるクロードですら正面から警戒した、第12将カリグスの副官──竜角の略奪者・ドレイク。

 その額から天を衝く黒鋼の竜角が、青黒い禍々しい燐光を放ち、両手首に巻かれた漆黒の重力灰鎖がジャラリと悍ましい金属音を立てていた。

「クハハハ……大黒柱に置き去りにされた気分はどうだ、小僧ども?」

 ドレイクが爬虫類のように縦に裂けた双眸を細め、愉悦に満ちた嗤いを零した。

 その足元から、じわりと不可視の重圧が広がり、周囲の小石がピキピキと音を立てて粉砕されていく。

「五分などと……誰が待つと言った? 十星天刃が戻る頃には、貴様らは肉片となって大地と一体化しているわ!」

「喋る暇があったら、こっちを見るにゃあぁぁっ!」

 その怒声とともに、瓦礫の斜面を蹴り上げて青い影が宙へ躍り出た。

 フェリだった。

 青いショートヘアを激しく逆立て、青い三角耳をピンと垂直に張り詰めている。太く膨らんだ青い尻尾を左右へ激しく振って空中で体勢を制御し、両手の大型魔導拳銃をドレイクの死角──頭上斜め後方から突きつけた。

 バババババァンッ! ドババババババァンッッ!

 神速の二連射撃。

 放たれた蒼紫の魔導徹甲弾が、ドレイクの竜角の付け根と後頭部へ向けて一直線に飛翔する。

 だが、ドレイクは振り返りもせず、左手を軽く払った。

 キィィン! と大気が歪み、弾丸はドレイクの身体に触れる直前で下向きにねじ曲げられ、足元の石畳を虚しく抉った。

「にゃっ!? やっぱり軌道を曲げられるにゃ!」

「……なら、足下」

 弾丸が地面を砕いたその瞬間、影の中から銀白の刃が閃いた。

 シエルだった。

 気配を完全に殺し、ドレイクの足元に生じたわずかな影へと滑り込んでいた。

 銀白のポニーテールが翻り、長いエルフ耳が緊迫の重力波を捉えてピクッ、ピクピクと鋭く跳ね上がる。

 逆手に構えた黒塗りの影縫いクナイが、ドレイクの足元の影へと超高速で突き刺さる!

 シュッ──!

 影縫いの呪縛が影を捉えた、はずだった。

 だが──。

「小細工が」

 ドレイクが地面を一踏みした。

 ズンッ! と局所的な超重力波が大地へ叩き込まれ、影そのものが物理的に歪んで引き裂かれた。

 呪縛を無効化されたシエルは、反動の重圧に顔を歪め、瓦礫の上を低く転がって間合いを取らざるを得ない。陶器のような白い額に脂汗が滲む。

「……影の空間ごと、圧壊された。物理干渉が異常」

「シエルさん、フェリさん!」

 エレナが中庭の端から叫び、両手で掲げた『医療用短杖(ペンシル・ワンド)』を激しく振るった。

「清らかなる水の理、重圧を押し流し、盾となれ──『水輪の激流障壁(アクア・トレント・ウォール)』!!」

 ザザァァァァッ!

 ドレイクと仲間たちの間に、巨大な渦を巻く水の奔流が幾重にも立ち昇る。

 重力を分散させるための防護結界。

 だが、ドレイクの瞳に宿っていたのは、退屈そうに虫を見つめる冷酷な光だけだった。

「消え失せろ、濁り水が」

 ドレイクの右腕が一閃した。

 漆黒の重力灰鎖が、まるで大木を薙ぎ払う巨人の腕のように水平に振り抜かれる。

 ドガァァァァンッ!!

 エレナが展開した幾重もの水流障壁が、超重力の質量に耐えかねて瞬時に爆散し、無数の水しぶきとなって四方へと弾け飛んだ。

「きゃあぁぁっ!?」

 術を破られた衝撃波で、エレナの豊満な肢体が吹き飛ばされ、瓦礫に背中を打ちつけて崩れ落ちる。

「エレナさんッ!」

 カナタが叫ぶ。

 だが、その隙をドレイクが見逃すはずもなかった。

 水煙を突き破り、ドレイクの黒灰の長衣が翻る。

 その爬虫類の瞳が、カナタの首元を冷徹に射抜いていた。

「まずは貴様だ、白銀の小僧! 我が冷気を蒸発させたその不愉快な太刀筋……二度と振るえぬよう、両腕ごと千切り取ってくれるわ!」

 ジャララララッ!

 唸りを上げて飛来する漆黒の重力灰鎖。

 鎖の輪から放たれる絶対零度の冷気が、大気中の水分を凍らせて白い霜の軌跡を描きながら、カナタの両肩へ向けて食らいつこうと迫る。

(逃げちゃダメだ……!)

 カナタは奥歯を噛み締め、両足を大地に根付かせた。

 後ろには倒れたエレナがいる。シエルもフェリも、まだ体勢を立て直せていない。

 ここで自分が一歩でも退けば、小隊は全滅する。

(吸って、吐いて、丹田に落とす──!)

 心臓の奥底から引き出した純白の火種を、下腹部で一気に圧縮する。

 不知火の鯉口を弾き、抜き放つ。

 キィィィィン……ッ!

 白銀の熱量が刀身の輪郭にピタリと吸着し、眩い陽炎となって揺らめく。

「──はあぁぁぁぁッッ!!」

 渾身の力で繰り出された、不知火の斜め一閃。

 白銀の刃が、迫り来る漆黒の重力灰鎖と空中で真っ向から激突した。

 ──ガギィィィィィィンッッッッ!!!!

 火花と光の粒子が、凄まじい衝撃波とともに爆散した。

 ジュウゥゥゥゥッ! と激しい蒸発音が中庭に木霊する。

 不知火から溢れ出た白銀の熱量が、鎖に宿る死灰の冷気を触れた端から強制的に融解させ、濛々たる白い湯気へと昇華させていく。

 鎖の切っ先は軌道を大きく逸らされ、カナタの右肩の数センチ横をかすめて背後の石壁を粉々に粉砕した。

「ぐっ……うぅぅ……ッ!」

 しかし、相殺しきれなかった重力の衝撃が、カナタの腕の骨を内側から激しく軋ませた。

 足元の石畳がバキバキと音を立てて砕け、カナタの両足が数センチほど地面にめり込む。

 口の端から、一筋の血がツッと垂れ落ちた。

「カナタッ! 無理をするな、骨が折れるぞ!」

 首元にしがみついたコハクが、悲痛な叫びを上げる。

 純白の毛並みから黄金の神気を必死に放ち、カナタの肩と腕の筋繊維を包み込んで断裂を防いでいるが、コハクの小さな身体も激しい負荷に震えていた。

「だ、大丈夫です……コハク……! まだ……持ち堪えられます……!」

 カナタは荒い息を吐きながら、不知火を再び正眼に構え直した。

 震える膝を気力だけでねじ伏せ、真っ直ぐにドレイクを見据える。

 だが──ドレイクの表情から、先ほどまでの嘲笑が完全に消え失せていた。

 弾かれた重力灰鎖を見つめるその瞳には、得体の知れない怒りと、確かな警戒の光が宿っていた。

「……やはり、貴様のその刃……ただの魔導ではないな」

 ドレイクの声が、氷のように低く沈み込んだ。

「我が灰鎖に宿る死灰の呪縛を、根こそぎ焼き消している。……十星天刃の炎とも違う、死灰そのものを無へと還す光。生かしてはおけん。カリグス様の覇道のため、貴様は今ここで、確実に消滅させておかねばならん」

 ドレイクの両腕が、ゆっくりと天へと掲げられた。

 その額の竜角が、かつてないほど禍々しい青黒い光を放ち、周囲の大気そのものが悲鳴を上げて歪み始める。

「羽虫どもとの戯れは終わりだ。──全方位超重力結界『重圧縛界(じゅうあつばくかい)』」

 ドズゥゥゥゥゥゥゥゥンッッッッ!!!!

「ぐあああっ……!?」

「きゃああっ!?」

 悲鳴すら、喉の奥へと押し潰された。

 中庭の全域に、先ほどとは桁の違う、数十倍もの質量を持った超重力の牢獄が叩きつけられたのだ。

 バキバキバキッ! と石畳のすべてが同時に陥没し、巨大なすり鉢状のクレーターが形成される。

 立ち上がろうとしていたフェリが、まるで巨大な岩石を背中に叩き落とされたかのように地面へペシャンコに押し潰された。

 青い三角耳が苦痛に伏せられ、太い尻尾を逆立てたまま、指一本動かすことができない。

「にゃ……ぐっ……身体が……割れちゃうにゃ……!」

「……く……っ」

 シエルもまた、両手をついて石畳にへばりついていた。

 長いエルフ耳が激しい重力圧にピクピクと痙攣し、全身の関節がメリメリと音を立てて軋んでいる。

 倒れていたエレナに至っては、意識を保つことすらやっとの状態で、短杖を取り落として激しく喘いでいた。

 そして──最前線にいたカナタもまた。

 ドシンッ!

「がはっ……!」

 耐えきれず、両膝が地面へと叩きつけられた。

 不知火を杖のように地面に突き立てて辛うじて上半身を支えるが、頭上から数トンの鉄塊を押し付けられているかのような圧力が、少年の細い肩に容赦なくのしかかる。

 肺が押し潰され、呼吸ができない。

 視界が明滅し、石畳にポタポタと自らの血が零れ落ちていく。

「た、たわけが……! カナタ……起きるのじゃ……!」

 コハクが必死に神気でカナタの心臓を鼓舞するが、あまりの重圧にコハク自身の身体すらカナタの首元に押し付けられ、身動きが取れない。

「終わりだ」

 ドレイクが、重力の歪みの中を悠然と歩み寄ってきた。

 その足音のひとつひとつが、死刑執行のカウントダウンのように中庭に響く。

 カナタの眼前、わずか数歩の距離に立ったドレイクは、手首の重力灰鎖を一本の鋭利な黒い槍へと変形させた。

 切っ先が、身動きの取れないカナタの無防備な喉元へと、寸分の狂いもなく照準を合わせる。

「貴様のその白銀の力、ここで灰となって果てるが良い」

 死の冷気が、カナタの肌をチリチリと焼き焦がす。

 絶体絶命。

 誰も助けに来られない。

 クロードの時間は、まだ稼ぎ切れていない。

 だが──。

「…………まだです」

 カナタは、血に濡れた顔を上げた。

 折れそうな首を気力だけで持ち上げ、その澄んだ黒い瞳で、真正面から怪物の瞳を射抜いた。

「まだ……五分……経っていません……!」

「死に損ないが、吠えるなァッ!」

 ドレイクの腕が、無慈悲に振り下ろされた。

 漆黒の槍が、カナタの喉笛を貫かんと音速を超えて突き出された──まさに、その刹那だった。

 ──ドガガガガガガガガァァァァンッッッッ!!!!

 外郭の彼方から、大気を裂くような無数の雷鳴と、地鳴りのような蹄の轟音が轟いた。

「……なっ!?」

 ドレイクの動きが一瞬だけ止まった。

 外壁の巨大な裂け目──別動隊が雪崩れ込んでいたはずの侵入路から、青白い稲妻の嵐が津波のように吹き荒れたのだ。

 脚部に激しい電撃を纏わせた数十頭の魔導馬。

 その背に跨がるのは、全身から青白い雷を滾らせた戦士たち──!

「敵包囲網を突破! 我が槍に続けェッッ!!」

 先頭を駆けるのは、頭部に頑強な角を生やした筋骨隆々の「竜人騎兵」たち!

 巨大な重雷槍を構え、全身から帯電した雷撃を馬ごと纏って突進。侵入路を塞いでいた数百体の灰獣たちを、まるで紙屑のように正面から粉々に蹴散らしていく!

「死角を刈り取るにゃ! 一匹も逃すな!」

 その左右を疾風のように駆け抜けるのは、豹や狼の耳を持つ俊敏な「獣人騎兵」たち!

 電撃を纏わせた曲刀を風のように振るい、混乱する敵の核を瞬時に両断していく。

 さらに後方からは、馬上から雷撃弾を正確に連射して援護射撃を叩き込む「人間騎兵」の魔導部隊!

「あ、あれは……!」

 地面に倒れていたエレナが、涙を浮かべて息を呑んだ。

「聖王都の……迅雷騎兵団……!?」

「竜人も獣人も……みんな雷を纏って敵を蹴散らしてるにゃあぁぁっ!」

 フェリが重圧に耐えながら、青い瞳を輝かせて叫んだ。

 多種族の雷撃混成部隊による、完璧な電光石火の突破劇。

 だが──本当の衝撃は、その直後に訪れた。

「チィッ、増援の雑兵どもが……!」

 ドレイクが舌打ちし、再びカナタへと槍を振り下ろそうとした──その時。

「カナタ! 上じゃァァッッ!!」

 コハクが、喉も張り裂けんばかりの絶叫を響かせた。

「来るぞ! 天が割れるわッ!!」

 ヒュオォォォォォォォォッッッッ……!!

 頭上。

 鉄鋼砦を覆い尽くしていた鉛色の灰雲が、巨大な刃で両断されたかのように、真一文字に真っ二つに引き裂かれた。

 雲の裂け目から降り注いだのは、目を焼き尽くすほどの眩い「黄金の光条」。

 音すらなかった。

 光速の雷光が、天空の彼方から垂直に──カナタとドレイクの間の空間へと、真っ逆さまに突き刺さったのだ。

 ──ズドォォォォォォォォォォンッッッッ!!!!

 天地がひっくり返るような轟音。

 黄金の雷撃が中庭の中心で大爆発を起こし、全方位超重力結界の歪んだ空間を、一瞬にして力づくで粉々に吹き飛ばした。

 放たれた神速の衝撃波が、カナタの首元に迫っていたドレイクの漆黒の重力灰鎖を、跡形もなく木っ端微塵に粉砕する!

「グガアァァッッ!?」

 ドレイクの巨躯が木の葉のように吹き飛ばされ、瓦礫の斜面を十数メートルも転がり落ちて激突した。

 中庭に満ちていた超重力の檻が完全に消え去り、カナタたちの身体を縛り付けていた鉛のような重圧が霧散する。

「げほっ、ごほっ……!」

 カナタは四つん這いになりながら、激しく酸素を吸い込んだ。

 巻き上がる白灰の煙。

 バチバチ、バチバチと、中庭の石畳のあちこちで黄金の放電が弾け、周囲を昼間のように明るく照らし出している。

 その爆心地の真ん中に──ひとつの人影が立っていた。

 深く石畳に突き刺さった、白銀の雷槍。

 その傍らに片膝をついて着地していた男が、ゆっくりと、優雅に立ち上がるところだった。

 カナタは、呆然と息を呑んだ。

 なびく金髪。吸い込まれるように澄み渡った碧眼。

 彫刻のように整った精悍な顔立ちをした、若い青年騎士。

 その美しい金髪の隙間からは、淡い黄金色に輝く小さな「竜の角」が誇らしげに覗き、碧眼の瞳孔は爬虫類のように縦に鋭く引き絞られている。竜人と人間の血を引く、美しきハーフの青年。

 そして何よりもカナタを圧倒したのは、彼が纏う「装い」だった。

 立ち込める濃厚な死の灰と黒煙の中にあって、青年の着る純白と群青の騎士軍服には、煤ひとつ、灰の汚れひとつ付着していなかった。

 夜天守護騎士団の十星天刃にのみ支給される、死灰を完全に遮断する特注繊維の軍服。

 さらに、その体表数ミリの空間には、目に見えないほど高密度の「黄金の熾衣(アウラ・ヴェール)」が常時展開されていた。

 触れた死灰の粒子は、青年の肌に触れることすら叶わず、パチパチと小さな火花を散らして瞬時に蒸発・消滅していく。

 一般兵をたちまち灰化させるはずの致死の猛毒が、この青年にとっては、ただの払うべき埃にすらなっていなかった。

 これが──王国の最高峰。

 本物の『十星天刃』の姿。

「……ふぅ。何とか間に合ったようだね」

 青年は突き刺さっていた白銀の雷槍を片手で軽々と引き抜くと、くるりと優雅に回して肩に乗せた。

 そして、地面に倒れるカナタたちを振り返り、その鋭かった竜の瞳をふっと和らげて、爽やかな微笑みを向けた。

「よく持ち堪えてくれたね、第7小隊の諸君。……救援が遅れてすまなかった」

「あ……あなたは……」

 カナタが掠れた声で呟く。

 瓦礫の山から這い上がってきたドレイクが、額の竜角を軋ませ、血を吐きながら絶叫した。

「貴様……! 貴様は……王国の十星天刃かァッ!!」

 青年はドレイクへと向き直った。

 その瞬間、彼の碧眼から黄金の火花がパチリと弾け、戦場全体を圧倒するような神聖な覇気が解き放たれる。

 雷槍の切っ先が、真っ直ぐにドレイクの眉間へと突きつけられた。

「夜天守護騎士団・十星天刃、第9席」

 涼やかな、けれど大地を震わせるほど凛とした声が響き渡る。

「──『雷竜』カイン・アルヴァレスト。これより、鉄鋼砦の奪還と反撃を開始する」

 黄金の雷光が、絶望に沈んでいた鉄鋼砦の空を、眩く切り裂いていた。

第17話をお読みいただき、本当にありがとうございました!

クロードから託された五分間を守るため、持てる全力を尽くして戦ったカナタたち第7小隊!

しかし、知性ある幹部ドレイクの放つ全方位超重力結界の前に、全員が地面へ縫い止められ、絶体絶命の危機に陥ってしまいます。

カナタの喉元へ死の刃が迫るその瞬間、地平を裂いて突入した多種族の精鋭『迅雷騎兵団』!

そして天空を引き裂き、黄金の雷光とともに降臨したのは──十星天刃第9席、竜人と人間のハーフである『雷竜』カイン・アルヴァレスト!

死灰をものともしない特注軍服と黄金の高密度熾衣を纏い、雷槍の一撃でドレイクの鎖を粉々に粉砕しました!

第18話、十星天刃の圧倒的なスピードと武威、そしてカインの目を奪うカナタの白銀とは!?

どうぞお楽しみに!

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