45話
薬草臭い部屋に戻ってから。
更に薬を作り続けるエリーナさん。
「そんなに沢山どうするんですか?」って聞いたら
「ロスタニアには世話になったからね。奴も魔術師団長って立場だから忙しいだろうし」
ロスタニアさん…あの銀髪の偉い人か。結界を張り直すときと、この前の封印の時にしか会ってないけれど、多大なる迷惑は掛けている気がします。
私も心を込めてお手伝いしましょう。
「そういえばね」
「はい?」
「増幅石が必要だから狩りに行くけれど、ジェリックも付いて来たいって言うの。いいかしら?」
最近なんだか距離が短くなりつつある二人。もしかしてよりが戻る?
私の変な技はあまり見られたくないけれど、ジェリックさんなら大丈夫かも。
「いいですよ~」
と、ウシシと返事をすればちょっと耳の赤いエリーナさん。
ギロリと睨まれて
「で、北東のスベラカ山の方に行こうと思ってるの。そうしたらそのまま南下したら家に戻れるから」
イマイチ地理の分からない私は「はい」としか言えないんだけど。
「でも、マーヤが望むなら王都に戻ってきてもいいわ」
「どうしてですか?」
「ヒューゴと最後の挨拶をしなくてもいいの?」
やられた!
「大丈夫ですよ」
そう言ったけれど、ちょっと複雑な気持ちになった。
先日のおまじないの(って可愛い物ではなくなってしまったっけど)影響でキスをしてしまってから気まずいのだ。
それに、ファーストキスだったんだけど。私。
呪いで強制的にする羽目になったのってノーカンにしていいかな。
私も悲しいけれど、それ以上にヒューゴさんに申し訳なさ過ぎる。
どんな顔して次会ったらいいのかと悩んだけれど、エリーナさんの仕事に付いて行ったりしていたら一週間くらい顔を見ることが無かった。
まぁ、もともと忙しい人だし。
しかし、時間が経てば経つほど、どうしていいのか悩むのですが…。
それから、顔を合わせたくない程、嫌われたのかと思う様になってしまった。
迷惑ばっかり掛けた上、あんな事に。
そりゃあ腹も立って会いたくなくなるのは仕方ない。
でも、帰る前には謝っておきたいな…。
それくらいは許してもらえないかな?
そう考えている内に、更に時間は過ぎて。
「3日後には、スベラカ山に行けると思うの。色々準備よろしく!」
なんて事になってしまった。
ヤバい。
こうなったら女は度胸。とっとと謝ってしまおう。
そうなると、何か口実が欲しい。
そうだ。街の中をじっくり見ていない。おまじない屋しか行ってないし。
この機会に街に行ってお菓子でも買って、それを手土産にするという口実を作って
会いに行こう。
余分に買えば旅のお供になるし。!
そうと決まれば。
エリーゼさんに相談だ!
「それで、人気のお菓子を買いに行きたい…と?」
「はい!」
「普通そこは手作り用意する所じゃないの?」
「それがですね…」
「うん?」
「ここの食材が全く違うので勝手が分からないんです。森での時のように適当に材料切って煮てスープって訳にはいかないじゃないですか。お菓子って」
「まぁねぇ…。確かに適当な料理しか作ってないものね。私も料理が得意って訳じゃないから教えてあげられないし」
「それはなんとなく分かりました」
「やっぱり?」
「エリーナさんの料理、煮るか焼くしかないじゃないですか」
「他に何があるのよ」
「………」
「手作り作戦はやっぱり無理ね」
「そうですね」
女子力の低さは師匠と弟子では似る物なんでしょうか…。
「それに、街の中あんまり見てまわってないし…」
「外出の機会ってなかったわね。ごめんなさいね」
そう言ってエリーナさんは少し考え込むと
「そうだ!ヒューゴと一緒に出掛けてきたら?丁度遺跡から帰ってきたばかりで、多分明日休みよ?」
「え?ヒューゴさんお出掛けだったんですか?」
「ええ。この間からず~っと遺跡に行ってたみたいなのよ。ほんといつも忙しそうよね」
そっか…
会ってもくれない程、迷惑かけてたかと心配したけれど、出張(?)中だったのか。
「そうですね」
と適当に返事をしながら、私はなんとなくほっとしていた。




