0-66 職人の探求心
本日2話目です。
ご注意ください。
シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!
翌朝は3日振りにテリオと二人での稽古となったが、サークヤはとても久し振りに感じていた。
それだけテリオたちといるのが当たり前となっていたのだ。
「よし、じゃあ剣を合わせるか。」
「はい!」
キンッ!キンッ!キンッ!
「ほう、なかなか様になっとるな。」
オヤジさんが様子を見に来たようだ。
「よし、サークヤ。肩慣らしは終わりで良いか?ボチボチいくぞ?」
「はい、いつでも良いです。」
キンッ!キンッキンッ!キキンッ!キンッキンッ!キキキンッ!キンッ!キキキンッ!
「ちょっ!な、何だこりゃ!!」
二人の超速不定リズム剣合わせを見ていたオヤジさんが目を剥いて驚いた。
「あ、アンタらは何モンだ?」
「「冒険者だ(です)。」」
「...。」
「ん?ちょっと良いか?その黒光りする剣を見せてくれないか?」
「駄目だ。」
「即答か!」
「これは他所の人間には見せられないんだ、悪いな。」
「...少し前、同じく黒光りする短剣を研いだ事がある。多分、この街の人間だろう人物が直接持ち込んだ。」
「...短剣?女性か?」
怪訝な顔を見せるテリオにオヤジさんが頷いた。
「この街って事は、アンズ婆かアザミさんか...。」
近くにいたサークヤにやっと聞こえる位の声でボソッと呟くテリオには察しが付いているのだろう。
「預かると言ったら、出来上がるまで裏口ででも待つと聞かなくてな。」
結局、丸一日見える場所で待ってたと言う。
「ふん、手入れの際に手を滑らせたか...。」
「その剣って、一体何だ?」
当然疑問に思うだろうが、具体的に話す事なんて出来る筈がない。
サークヤがあたふたしながら、どう誤魔化すかを考えていると...。
「これらは俺たちの故郷では神聖な物でな。おいそれと人に預ける事はおろか、話す事も本当はご法度なんだ。」
そうピシリと言い切るテリオにオヤジさんはたじろいだ。
どうやら説明回避に成功したようだ。
「その...なんだ。見るだけでも良いんだが...。」
「...触らなければ。」
「ええっ!テリオさん!良いんですか?」
その言葉に驚きを隠せないサークヤ。
「こうやって持っている以上、人の目には入る。少しの間、見るだけなら問題ないだろう。」
そう言いながら、テリオは感心していた。
サークヤがそこまで刀の事に気を遣っている事に。
「フムフム、普通の剣とは違うのは明らかだが...どうなっているんだここは?どうしてこんなに黒光りしているんだ?この刃先の模様は?と言うか、スゴい刃先だな。本当に美術品のようじゃないか。研ぎ作業に妥協しない訳...と言う事か。分からない事だらけだな。」
分からないまでも色々な事を知ろうとする探求心は、流石鍛冶屋だと思う。
「...もう良いか?」
「ああっ!もう少しっ!もう少しだけでも良いから見させてくれっ!!」
「...もう良いか?」
「もう少し!もう少しだ!」
「...もう良いか?」
「あと少し!あと少し!」
「...もう良「あとちょっと!」」
「ぬおっ!いい加減にしてくれっ!!」
流石にキリがないとテリオが待ったを掛けた。
「あああああ...。」
「...何してるの?」
寝起きのサミヤがジト目を向けていた。
「サークヤに聞いたんだが、鍛冶屋のような事をしているってのはアンタの家か?」
「...知らんな。」
「いや、この剣について教えろって事じゃない。鍛冶が出来るなら手伝って欲しいだけだ。」
「...俺が出来る鍛冶は偏っているんだがな。」
「それでも構わん。仕事が重なって回らんのだ。」
「...分かった、出来る範囲なら手伝おう。」
「ええっ!刃研ぎは!?」
テリオが加わってほっとしていたサークヤは、一転絶望に打ちひしがれるのだった。




