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上野の宮(その5)

 京童が上野(かんづけ)の宮に申し上げるには、

「これは簡単なことです。おのれの一党は、右京左京に合わせて六百人、また博打達もそれくらいいます。その者たちが寄り集まって戦えば、まあ、危ういことなどないでしょう。」と。

 博打たちは、

「なんと、とんでもないことをいう人たちだ。四面四町の広い屋敷を持つ左大将殿の屋敷は、一面ごとに御門を立て、うろこのように作り重ねた屋敷があって、庭の木のように上達部や皇子たちが住んでいらっしゃる。そんなところは、どんな強い天下に敵のない軍隊でも、打ち勝つことはできない。

 そこで、このようにしてはどうか。東山にある道隆寺で法会をするという噂を立て、坊条ごとに政所(事務所)を作り、集まって下稽古をにぎやかにやって、このような素晴らしい見物はないと言いふらそう。左大将は、物見を好むと聞く。あて宮様が見物に出ていらっしゃったところを、集まって奪い取ろう。」といったそうです。


 上野の宮は、

「それは興味深いを言う人たちだ。そうしよう。京童のすることは、この道隆寺の法会に優るものはないとおっしゃって、うわさを広げることです。これは、下稽古の料に。」と言って、銭、米を車に乗せて積みだして引き出したということです。


(やれやれ、人の言うことを全部疑いもなく信じる宮です。財産は山のようにお持ちのようで。こんな案を出させるのに、京童や博打打まで呼んでいたのですね。)

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