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上野の宮(その3)
上野の皇子の問いに対して、比叡山の総持院の十禅師という高徳の僧が言うには、
「得難い女性を得ようとするならば、比叡山の中堂に常燈明を奉りなさい。
また、奈良、長谷の観音、人の願いをかなえるという竜門、坂本、壷坂、東大寺などは言うまでもなく、すべて仏という者は土を丸めてあるだけのものでも、燈明を灯すべきです。神であるというなら、たとえ天竺であっても御幣を納めるべきです。百万の神、七万三千の仏に燈明と灯し、御幣を納めれば、仏神がそれぞれ力を貸してくださるでしょう。
そうすれば、天女と言えども天から下っていらっしゃいます。いわんや、この世の人ならば、国王であっても、願いを聞いてくださるでしょう。また、山々、寺々で食べるものも、持ち物もなく修行している人を供養しなさい。」と言われたそうです。
上野の皇子が、
「それはたいそう尊いことです。御燈明は、どれくらい献納しましょうか。」と聞くと、高僧は、
「一寺に一合納めるにしても、比叡山の四十九の院にひと月で一石四斗七升です。大小の寺の区別なく、同じようにそれぞれ奉納してください。尋常ではないと思われるでしょうが、仏に納めることは、無駄ではありません。来世、未来に渡る功徳です。」と答えられました。皇子はとても喜んで立ち、座り、七度拝まれました。




