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兵部卿の宮(その2)

 また、兵部卿の宮より文が届きました。

「ひどく固い御心でいらっしゃることですね。わたしは、嵯峨院の皇子で、あなたの叔父にあたるのですよ。わたしの姉妹にあたるあなたの母上の女一宮に、恨み言を言わなくてはならないと思っています。


 わが袖は 宿とる虫も なかりしを あやしく蝶の 通わざるらん」

(私の袖は、宿をとる虫さえいないのです。あなただけをこんなに思っているのに、どうして蝶のように美しいあなたは、飛んできて語らってくださらないのですか。)と書いてありました。


 まあ、母君にかこつけて、強引に誘って来られるとは。情緒も何もあったものではないこと。

 わたくしは、返り事をいたしませんでした。


 どうも、この宮は、令和の言葉で申しますと、『上から目線』です。

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