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ビカットマン  作者: 蟹谷梅児
23 伴我
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 フランスに行くって聞いたとき驚いた。


 だって、そんなに離れてたら君のことがわからなくなるから。


 祓い屋になるんだもんね。


 ちゃんと尋常維持局に所属する祓い屋に。飛騨峰さんを見てそう思ったのかな。


 林田くんもついていくって言うから、あまり悪いようにはならないってわかるけれど、でも。


 少しさみしいって思った。


 何年フランスにいるんだろう。


 君は、新沼くんと加賀美くんに何も言わないで日本を出ていく。それってあまりいいことじゃないよ。


 数年岩手を離れれば縁が切れるだろうとか変なことを考えるもの、あまりよろしくない。


 まだ君は人のことがわかってない。


 君が日本を出ていってから数年待った。たくさん待った。君がどうやって生きているのかとか、毎日考えながら生きてきた。


 君が日本に帰ってきたとき、すぐにわかった。


 君のことがすぐにわかった。だって私はお姉たゃんだから。


 君はもう尾島青空の名前も捨てて、滝シンスケとして生きることにしてた。林田くんも辺見シンジになった。


 それが祓い屋なのはわかるけど、君は過去を捨てたかったのかなって思っちゃった。


 仕方ないことだけど。


 私は、君らしい君でいてほしかった。


 君は滝シンスケのまま、あの二人とかかわらないままずっと滝シンスケとして孤独に生きていこうと思っているのかって。


 怒りそうになっちゃった。


 だって君は、たくさんの優しい人たちに囲まれて生きていくべき優しい人だから。


 君が孤独になるのは、許されないことだから。


 君はもっと、たくさんの人に囲まれて生きて欲しい。笑って、泣いて、怒って、悲しんで、驚いて、安堵して、それらすべてを、もっと……もっと……たくさんの人に囲まれて……。


 …………。


 君の選んだ道に、何かを言える人になりたかった。

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