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私の弟はとてもつよいと思う。
けれど、それ以上に迷う人だとも思う。
だから、そばにいてあげられる人は、あの子よりも心の強い人がいい。きっと「待ってる」とさえ言ってあげればいいんだ。
でも、それを言える人は少ないと思う。
私は、ただ……そのひと言を言うのも無理だ。
あの子がこの世で涙を流すことをすら、待ってやれなかった私のような人間に、そんな言葉を使う資格はなかった。
思い出したくない過去はある。
いろいろな悪意に触れた。
きっとあの子もそうなのだろうと思う。
けれど、あの子は誰よりも優しさを忘れなかった。
それでいいと思う。でも、それじゃ耐えられないときが来たら、思う存分悪人になってもいいよ、と思う。
君が持つ花束ひとつ、守ってあげたいと思うから。
お母さんが死んだ時、どう思ったのかな。
お父さんが死んだ時、妹さんが死んだ時。
家族が1人もいなくなって、悲しかったよね。
隣りにいてあげられなくてごめんね。
私、あなたのそばに駆け寄って、抱きしめてあげたかったけど、私が君のお姉さんだってバレるのが怖かった。
だから、いけなかった。
君の事より、自分のことを可愛がる酷いお姉ちゃんでごめん。
でも立ち直ったよね。……あるいは、立ち直ってないけど、たまたまた出てしまったのかな。
でもそれは、たぶん新沼くんだとか、加賀美くんのおかげだよね。
私、加賀美くんのことちょっと嫌いだったんだよ。だって、君のこと傷つけたから。君の嫌がることをできてしまう人だから。
でも君は加賀美くんのいいところを心の底から信じたね。だからあの子も君を信じたんだと思う。
優しい人になったね。
お母さんが望んでいたような、強くて優しい人になった。
君の瞳が眩しいよ。




