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ビカットマン  作者: 蟹谷梅児
22 序章
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「せっかくの白い服がどろんこになったんだが」

「あーったりまえじゃん、バカじゃねぇの!?」


 とは、シンスケと優心。


「君のせいで山ひとつなくなったのはどう処理すればいいんだ? 山がいきなりひとつなくなるのはさすがにもうどうしようもない。地下で爆発とかしてましたって説明するか?」

「地中に埋まっていた腐葉土から発生したガスが何らかの影響で爆発しました。最も詳しい原因は現在調査中です、で二ヶ月もつからそれでいいだろ」


 とは、志郎とシンスケ。


「そういえば、志津子ちゃん。なんか言いたいことあるんじゃなかったっけ?」

「あっ。はい! 夏休みだからみんなでどっか遊びに行きたいです!」

「いいじゃん。いこいこ」

「福島とか行く? でっかいプールあったべあそこ」

「ミスターくん近く予定あるのん?」

「十六から十九までなら空いてる」

「じゃあそこ行こうぜ」

「俺って今どっちでいけば良いんだ」

「肉体的には女の子なんだし女の子の格好でいいんじゃない」

「やってたまるか……!! もっと段階踏ませろバカタレ……!」


 とは、全員。


「猪地光輝くんも誘いたい。彼は私の恩人なんだよ」

「いいね。あの子たぶん友達いないしついてきそう」

「私の恩人バカにすんなよマジではっ倒すぞ」

「つーかそれ本人来てから聞こうぜ」


 とは、シンスケと智和。


「っていうか大学は大丈夫なの?」

「まぁ最悪サボってもね」

「大丈夫なのかって聞いてんのに……」

「九月の終わり頃まで休みだよ」

「俺の夏休み五日くらいしかないのに」

「祓い屋に五日も休みがあることを感謝なさいよ」

「祓い屋ってもしかしてブラックなの? このミスターバースデープレゼントマン頻繁に休んでなかった?」

「まぁ愛星友対策本部に派遣されてたからね。潰れてもらっちゃ困るということで頻繁にガス抜きが用意されてたよね」

「しかし、愛星友なき今、通常の祓い屋と同じ環境で働いてもらうことになります。我々は年に一度あるかないかの休日を愛して生きていくのです」

「訴えたら勝てそう」

「祓い屋ってそんなに仕事あんの?」

「毎日人が死んだり生まれたりしてる変な世界に生まれといてその質問は愚問だね、加賀美くん」

「なーる」


 とは、全員。


「冷麺お持ちしました」


 とは店員。


「あれ……スイカ乗ってなくない?」

「お前が便所言ってるうちに外させたけど?」

「なんで功労者の冷麺からスイカ取ってんだ!」

「人のチンコ勝手に取っといてウダウダ吐かすなバカ」

「それとこれとはお話が違う!! 店員さんすいません!」

「迷惑かけるなバカ。味変わんねぇだろ」

「全然変わる全然変わる。あったほうあいだろ」

「チンコもあったほうよかっただろ」

「それは……! 人による!!」


 とは朝飛とシンスケ。


「そういや帰りの運転ってミスターだよな?」

「だと思うけど。酒飲む?」

「めっちゃ飲む」


 とはシンジと優心。


「あっ。私のピーマン取んなよ」

「兄なんだから譲ってくださいよ」

「じゃあ肉よこせよ弟」

「兄なんだから!!」

「なんだこいつ!!」


 とはシンスケと空明。


「ご飯おかわりいきたいです」

「おっ。いい食いっぷり。負けてらんないね、私も行こうかな。ミスターくんおかわりいい? ご飯の」

「私まだなんかスイカがない冷麺あるからいいっす」


 とは、志津子と朝飛の姉とシンスケ。


 大抵の場合、飯は大勢で食ったほうがうまい。


「皆さん遅れました〜」

「あっ猪地くん。私の隣空いてるよ」

「空いてねぇよ。俺の席だバカ」

「仲良いですね」

「聞いてよ、こいつ私の冷麺からスイカ取ったんだよ」

「別に良くないですか?」

「恩人に裏切られてんじゃねぇか」


 飯の時間は楽しい。身体中痛むし、拳も痛む。しかし、いくら痛もうと苦痛は幸福には勝てない。


「もういいや。サンドしようぜ。夏祭りトリオって感じで」

「光輝くん、僕の隣空いてるよ。へんなのに巻き込まれる前に」

「最近お前の弟生意気じゃね?」

「こいつだけ徒歩だなこりゃ」

「カス」

「なんだとこの野郎」


 わはは、わはは……と笑いあう。決して。

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