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心で望むものが、どういった物なのかは自分にもわからない。
ただ、そこにあるものだけが真実とは限らない。
私のようなものを好きになるはずがない。
私のような情けないだけの、ただの化け物など。
それは理解しているつもりだけれど、胸のなかに生まれた卑怯なものが、どういう事を言っているのかを聞くたびに、頭が割れる。
…………。
シンスケは変わらないことを選んだ。
自己肯定感だとか、ネガティブな感情だとか、そういうものでは決してないような、もっと卑屈な考え方である。
加賀美優心だったらいいな、と思う。
優心はとても優しい青年で、ずっと朝飛のそばにいたから。
シンスケからしてみれぱ、優心と朝飛はそっくりそのまま夫婦でいても、親友同士でいても似合うふたりだった。
だから、自分を抜きにしたストーリーの主人公でいてほしい。
「あいつ彼女おるらしいわ」
「えっ」
シンジが言った。
どうやら、調べていたらしい。
「加賀美優心ね。あいつ彼女いるらしい。こっそり見に行ったけどイチャイチャがすぎるわ。おれもぶっちゃけあんまり長時間見てられなかったね。あんなラブラブなカップルあんまりいないから」
「…………そんな……」
「なにショック受けてんだよ」
シンジは「バカがまた変なことを考えているんだろうなあ」ということを理解しつつ、俯いて、とうとう蹲るシンスケを見おろしていた。
「バカだもんなあ、こいつ」
だとかなんとか、考えながら。
「なあ、シンスケ」
「なんだい」
「お前、もしかしてビカットマンやめたかったりするか?」
「えっ」
「普通の人間に戻って、普通の人間として生きて、ただ普通のおじいちゃんになって、歳取って死にたいとかそういう事考えてたりするか?」
「…………」
心の、心の、奥の奥の、ほんとうの奥底に、さらにその奥で。
確かにふと、思ったことがある。
「私は……」
「了解」
シンジはシンスケの頭をぐしゃっと撫でてから笑った。
「じゃ、お前がちゃんとやるべきことを終わらせてからだな。愛星友ぶっ潰して、異態家とも決着をつけたらだ。その後は俺がビカットマンになってやる。考えてみたらお前、ずっとそれだもんな」
「前は嫌がってたのに」
「人の心は変わんのよ」
シンジは笑っていった。
「シンスケ、頑張ろうな」
みんなは、変わっていけるのに。




