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光輝は押し入れのなかの段ボール箱の奥底から自由帳を取り出して、ページをめくった。
炎の力を使うメラットマン……
水の力を使うバシャットマン……
木の力を使うニョキットマン……
土の力を使うゴロットマン……
風の力を使うビュートマン……
光の力を使うビカットマン……
闇の力を使うドロットマン……
「いろいろ考えてたんだね」
「へへ、まぁ、ヒーロー……考えるの趣味でしたから」
「へぇ〜〜闇の力かあ〜〜……珍しいね。闇って、なんだか悪役みたいだ。じっさい、『悪の力を使う』って書いてある」
「悪の力か」
胸にチクリと刺さるものがある。
「いいじゃないですか! ね! 悪の力でも、いいんです! 悪の力でも人を愛してもいいんです。悪の力でも、人に愛されていいんです」
光輝はただニコニコと言うばかりだった。
「俺、『その人がどういう力を持ってるのか』とか『その人がどういう存在なのか』とか、そういうものより、その人がどうしたいのかってのを大事にしたいなって思ってるんです。昔、俺のことを助けてくれた人もそうでした。だから、闇がヒーローでも良いんです!」
光輝は言い終わると、満面の笑みで親指を立てた。
その笑顔を忘れられることができなかった。
シンスケは空明を家に届けると、「私は何をしているんだ」と一人で勝手に落ち込んだ。
ところかわって。
矢巾町にある幼稚園に怪異が現れた。
それはどうやら、その幼稚園に通っている「贄」になりうる素質を持つ子どもをさらうためらしいが、その「贄」というのは、異態肉彦へのものではなく、愛星友の総帥という者へのものらしい。
園児は「たすけて」を言う暇もなく、それにアッという間に捕まってしまい、幼稚園から姿を消した。
しかし。
シンスケは園児が攫われる際の「ぎゃっ」という溢れた声を聞き逃さなかった。盛岡市内のアパート前からすぐに矢巾町──否、雫石町堀合神社までオートバイクを走らせた。
ちょうど到着した頃、目の前には黒いバンがあり、シンスケは変身する時間も惜しみ、黒いバンに蹴りを叩きつけた。
車体は思い切り潰れながら浮き上がり、車窓が少し割れたのをみると、シンスケは変身し、そこから車内に入り込む。
「大丈夫か?」
「う、うう」
「助けてやるからな」
「くそお、くそおおおおおお!!」
禿頭信者が青い顔をしながら、札を三枚取り出す。
ビカットマンはそれを遠隔で燃やしながら禿頭信者の頭を掴むとハンドルに叩きつけ、気絶させた。
「これでよし」
ドアを蹴飛ばし、園児を抱え上げて外に飛び出す。
「一件落着」




