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結界の構築に必要なものは、強い霊力から成る流れる水とその水が生み出した磁力、そして明かり……炎、大地……土、そして怪異を縛り付けるための……大木。
しかし、たったそれだけのものを用意するには、このキャンプ場はあまりにも木々が小さすぎた。
「そのためのビカットマンか……」
「え?」
新沼家およびその連れを帰したあと、シンスケはようやくサングラスを外して呟いた。
「私が変身すると……火、木、土、水の四つの力と基本的な光の力が使えるようになるんだ。ビカットマンは、もともと猪地光輝という少年がみんなを助ける正義のヒーローとして考えたもので、その力のもとになったのは、神戯閃光児という神様に近い怪異……そして、異態肉彦という神様……」
「だから?」
「……だからなんだという話でもないか……」
「なんなんだよ」
「いや、なんだか都合が良すぎる気がしたんだ」
神戯閃光児も彼の中で「僕も同じことを思ったことがあるよ」と、シンスケの言葉に同意を示した。
「たまに思うんだ。時系列がおかしいな、って」
「時系列? 別におかしくないだろ?」
「私がビカットマンになったのも……全部おかしい話だけど、こうなることがわかっていたから、それに備えて……みたいな……」
「でもお前がビカットマンになったのって全くの偶然なんだろ。俺とお前が出会ったのもさ」
「普通は……聞こえねぇだろ……あんなに距離離れてて、『助けて』なんて……普通は聞こえるわけねぇだろうさ……」
「え?」
何か嫌な予感がして。だけれど、そんなものは今考えることではないから、途中で思考を放棄した。
「それじゃあ、そろそろやるか」
「封印?」
「封印。……あっ、そうだ。愛星友、始まったからさ。お前には言っておかなきゃな。……でも、あとで言うよ。暇なときでも俺の部屋に来てくれ」
「きゃ、抱かれちゃう」
「野郎なんて誰が抱くかよ」
「ハハハハ、ちがいない」
変身。
怪異が飛び出してきた途端、結界術で封印地を形成すると、その封印地のなかに、大木とそれをぐるっと取り囲むような川を形成し、四本の火球を浮かばせ、隔絶された一つの空間を形成すると、ギュギュ……ギュギュ……と、取り囲み、結界が閉じる。
まるで赤い風車のようになると、赤のビカットマンに姿を変えた。封印というのは、全身が弱点のようなものである。そのため、その結界──現世とは隔絶された別世界──ごと破壊できれば、その結界に入るダメージは全て結界内の怪異に通る。
「蹴撃」
赤い一閃が走ると、赤い風車は爆発した。
「そういえば、あれが新沼朝飛と加賀美優心?」
「そうだが」
「へぇ〜〜〜〜高校時代の友達」
「どうだかね」
「多分もうバレてたぞ」
「不吉なことを言うなよ」
「ハハハハ」
「笑い事じゃねぇんだよな……」




