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ビカットマン  作者: 蟹谷梅児
17 臨戦
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 結界の構築に必要なものは、強い霊力から成る流れる水とその水が生み出した磁力、そして明かり……炎、大地……土、そして怪異を縛り付けるための……大木。


 しかし、たったそれだけのものを用意するには、このキャンプ場はあまりにも木々が小さすぎた。


「そのためのビカットマンか……」

「え?」


 新沼家およびその連れを帰したあと、シンスケはようやくサングラスを外して呟いた。


「私が変身すると……火、木、土、水の四つの力と基本的な光の力が使えるようになるんだ。ビカットマンは、もともと猪地光輝という少年がみんなを助ける正義のヒーローとして考えたもので、その力のもとになったのは、神戯閃光児という神様に近い怪異……そして、異態肉彦という神様……」

「だから?」

「……だからなんだという話でもないか……」

「なんなんだよ」

「いや、なんだか都合が良すぎる気がしたんだ」


 神戯閃光児も彼の中で「僕も同じことを思ったことがあるよ」と、シンスケの言葉に同意を示した。


「たまに思うんだ。時系列がおかしいな、って」

「時系列? 別におかしくないだろ?」

「私がビカットマンになったのも……全部おかしい話だけど、こうなることがわかっていたから、それに備えて……みたいな……」

「でもお前がビカットマンになったのって全くの偶然なんだろ。俺とお前が出会ったのもさ」

「普通は……聞こえねぇだろ……あんなに距離離れてて、『助けて』なんて……普通は聞こえるわけねぇだろうさ……」

「え?」


 何か嫌な予感がして。だけれど、そんなものは今考えることではないから、途中で思考を放棄した。


「それじゃあ、そろそろやるか」

「封印?」

「封印。……あっ、そうだ。愛星友、始まったからさ。お前には言っておかなきゃな。……でも、あとで言うよ。暇なときでも俺の部屋に来てくれ」

「きゃ、抱かれちゃう」

「野郎なんて誰が抱くかよ」

「ハハハハ、ちがいない」


 変身。


 怪異が飛び出してきた途端、結界術で封印地を形成すると、その封印地のなかに、大木とそれをぐるっと取り囲むような川を形成し、四本の火球を浮かばせ、隔絶された一つの空間を形成すると、ギュギュ……ギュギュ……と、取り囲み、結界が閉じる。


 まるで赤い風車(かざぐるま)のようになると、赤のビカットマンに姿を変えた。封印というのは、全身が弱点のようなものである。そのため、その結界──現世とは隔絶された別世界──ごと破壊できれば、その結界に入るダメージは全て結界内の怪異に通る。


「蹴撃」


 赤い一閃が走ると、赤い風車は爆発した。





「そういえば、あれが新沼朝飛と加賀美優心?」

「そうだが」

「へぇ〜〜〜〜高校時代の友達」

「どうだかね」

「多分もうバレてたぞ」

「不吉なことを言うなよ」

「ハハハハ」

「笑い事じゃねぇんだよな……」

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