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「えっ? 葛張キャンプ場で、怪異が? どうだい、愛星友のれんじゅうの仕業か? どうか?」
「いや、愛星友の動きを追っている担当からは何の報告もなかったので、たぶん野良だろうけれど、いままであそこで怪異が出たっていう報告はなかった。いけるか、滝くん辺見くん」
「任せなさい」
ふたりは警察車両の通信機を切ると、北上に向かっていった。一時間ほどかかるので、シンスケは「私は先に行っているので、君はあとから来るといい」と言う。
「寒いのやだからドア空けんなよ」
「君はなあ、その寒がり直さないといけんよ」
「うるせぇバーカ」
シンジは舌をんべっと出しながらサングラスをかけた。シンスケはそれを確認すると、車窓を一センチほど空け、身体を光に転換しながら、その窓の隙間から外に出て、北上に走っていった。
「光になるやつ怖くねぇのかな……」
シンジは窓を閉めながら呟いた。
ビカットマンの強化皮膚は黒かった。複眼も黒く、生体装甲もほとんどが黒く、ところどころ赤いところがあるような状況で、おそらく神戯閃光児と異態肉彦の性質の濃度が変化してしまったのだろう。
そんな事も構わず、神戯閃光児は「はやく助けに行ってあげよう!」と言うので、ビカットマンは「ああ」とつぶやいた。
そしてキャンプ場に到着すると、身を翻し、脚部に炎を蓄積させ、ドロップキックを食らわせた。
衝撃で地面を転がる。すぐに起き上がり、周囲を見渡すと、そのキャンプ場には、シーズンではないということもあり、利用客は一組ほどしかない。
怪異は、「ヒョコロ〜〜〜〜」と笑いながら首をガクガクと震わせていたので、やはり不気味。
「どうしたもんかな。お前、あれを知るか?」
『どうだろう、聞いたことも見たこともないけれど』
「そうか、まぁ倒せばわかるか」
『だね。やっちゃおう!』
ビカットマンはその怪異に対して、まずは炎系の攻撃をしたわけだが、どうも効きが悪い。どうやら炎に対しての耐性がつよいらしく、であればと、黄のビカットマンになり、土をトゲのようにして突き刺すなどをしてみたが、それもあまり芳しくない。
「ふむ……?」
残るは青の木と黒の水。青のビカットマンになるのはまだいいとして、完全黒のビカットマンになるのは、変身者であるシンスケの身体に負荷が大きくかかってしまうので、あまり宜しくない。
いまだに白の力には目覚めないし。
どうしようか、と思いながら青のビカットマンになると、木々を操りその怪異を縛り付け、光を蓄積させたキックを食らわせる。
「やはり効かんか……!」
やはり効かなかったので、もう黒一色になるしかない。しかし、うーん、と焦っていると、あらぬ方向から滝のような水。しかもその水はなにかと輝いている。
「なんだ?」と見上げてみれば、青い戦士がそこにいた。尾田空明の変身態である。
「誰だかわからないけれど、我々の味方だと判別し、加勢します」
「尾田空明か……変身できたんだな……」
『彼も君の弟だものね』
「そうだな。……君! 私も水の力を使えるが、私情によりあまり使いたくない! できれば君のその水の力で、トドメを刺してほしい! 私がこの場にとどめておくので君に頼みたい」
「了解しました!」
水の「流れ」という力が尾田空明変身態の脚部に溜まっていく。ビカットマンは木々で怪異をそこにとどめておくと、直ぐに大きな水の爆発音が聞こえてきて、しぶきがあたり一面に飛び散った。
「手応えがない……逃げられました!」
「だろうね」




