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ビカットマン  作者: 蟹谷梅次
14 復活
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 孤独だった。


 孤独になった。


 自分のせいで孤独になった。


 彼らの言うとおりだ、自分はあんなに大切だと言っていた家族を見殺しにして、逃げ出した。


 それは、とても卑怯なことだと理解できる。


 涙が止まらない。


 泣くべきでないことくらい理解できているのに、それでも、もう自分に寄り添ってくれる人が誰もいないとわかるのは、つらかった。


「助けて」と、言ってもらえたのに。


 自分は何もせず、ただ突っ立っているだけだった。


 嘔吐。


 嘔吐。


 死にたいのに、死ねない。


 自分の身体は異常なまでに頑丈で、死のうとしても、すぐに傷は治るし、首をくくってもただ数日死ぬほど苦しいだけで死ねなかった。


 助けてほしい。


 もう限界だから、誰でもいいから助けてほしい。


 朝飛、優心、頼むからどうか頼むからもう一度だけ手を取ってほしい。


 助けてもらったら、もうかかわらないから。


「誰か……」


 助けて、とつぶやこうとしたその瞬間だった。


 遠くで「たすけて」と聞こえた。


 彼の身体は動いた。


 いまさら何をしようというのか、とガタガタになった心が叫ぶけれど、彼は「たすけて」という声が聞こえてくるたびに、「いかなくては」という気持ちになった。


 あの雨の向こうに。


 ──〝助けを求められたならば、何も言わずに救うもの〟


 彼は走り出していた。


 感覚に身を任せて、転びもせずに走り続けて、バラバラに壊れている祠を踏みつけ、細枝で出来たような柵を蹴飛ばした。


 そこには不気味な男たちが数十人といて、光る球体を持つ少年を寄って集っていじめていた。


 少年は、まるでそれを守るように球体を抱きしめて、地面に蹲っている。その姿を見て、どうしようもなく守りたいと思う。


 だから、拳を握る。


 だから、拳を振るった。


 自分の拳が男の顔面を殴り抜く時、罪悪感だとか、嫌悪感というものがわき上がって、顔が怒りや悲しみに歪む。


 いまはもう心を分解することもできなくて、ストレートに感情が顔に出てしまう……誤魔化せない。


 今はそれを気にしているときではない。


 殴り抜き、最短で少年を助けに行く。


 自分にできるそれが、自分のやるべきことだと理解する。


 どんなに、辛く、苦しく、惨めで、どんよりと、していても。

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