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ビカットマン  作者: 蟹谷梅次
12 苛烈・2
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 そういえば今日あいつ来てねぇな、と。


 ふと思った。


 どうやら休むらしい。


 優心のクラスに行ってみると、どうやら彼も休んでいる。


 フムと考え込んでみる。


 風邪なのだろうか、風邪なのだろうか、


『まぁ、同じ家に住んでるわけだから、同じタイミングで風邪を引いていてもおかしくはないわけだけれど』


 しかし……。


 普通の人間である優心はまだしも、神性を持ちどんな怪我でもたちまち治してみせた彼が風邪ごときで休むのだろうか。


 そもそもかかりそうには思えない。


 わからん。


 ここ最近はずっと一緒にいたのであまり気にならなかったが、あのふたりは同じ家に暮らしているのだから、もしかしてめちゃくちゃ仲良くなっているのだろうか。


 同じタイミングで休むほどには。


 しかし、こちらに何の連絡もないので、すこし胸のあたりがざわざわしてくる。


 こういう気性が朝飛を友人のいない人間に陥れている。


 連絡のひとつもないだけですぐにざわついて勝手に考え込んでしまうような面倒くさいのは嫌われてしまう。


「あいつらどっちもボーッとした奴らだから……」


 自分から電話をかける勇気もない。


 しかし、なんだろう。


 この胸のざわざわとした、嫌な感覚は。


 心臓が筋肉痛でも起こしたような、嫌な騒がしさ。


 考えてみる。


 彼が普段やっているような、感情を分析し、理屈として理解するようなことを、真似してみる。


 まず尾島青空とはどういう男だったか。


 ・人の情緒が分からない

 ・なんかこわい

 ・優しい気がする


 思えば、自分は彼のことあまり知らないのではないかと思った。


 あまり良くない幻想を抱いている可能性もあるが、おおむね善人だという認識でいいだろう。


 どんな食べ物が好きなのかというのは、なんとなく本人がおかしくなっているときにポロっと言っていたのを聞いたことがある気がする。鶏のあんかけだったか。


 好きなものは、花とか。


 嫌いなものってなんだろう。


 喧嘩とか怪異とかだろうか。


「分かんねぇな……」


 彼自身、自分のよろしくないところは隠したがる傾向にあるし、朝飛の知りたい彼はおそらく「よろしくないところ」だし。


 結果として彼の事を何もわからないという事になってしまう。


 自分は彼に対してどんな感情を抱いているのだろうか、とか……そういうことを考えてしまうと、さらにわからなくなってしまう。


「…………」


 別に競争じゃないのだから。

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