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十一月二十日、水曜日。
通学路を優心と歩いていると、少女が公園の角で蹲ったまま気を失っているのを見つけた。
ふたりは何か事件の香りを察してすぐにその少女らに駆け寄った。
「うん、熱があるな、意識も朦朧としている。死ぬ寸前らしいな救急車を呼んだほうが良さそうだ。加賀美優心くん、頼めるかい」
「もうやってる」
救急車はすぐにかけつけて、病院に運ばれていったが、あと少しでも遅れていればおっ死んでいたという。
「君たちお手柄だ!」
「そんな事はないっす」
「ふむ、今日は遅刻確定だな。加賀美優心くん、今日はこのまま学校サボってしまおうか。あの少女のことも心配だ」
「よし来た」
少女はこれまで虐待されてきたようだ。
が、病院到着ののちに行われた身体検査から二時間ほどで身体中にあったアザは消えかさぶたは剥がれ、まるで何もなかったように綺麗なものになっていたという。
「お前に似てるな」
「ふむ……これは、呼ぶ必要があるな」
愛星友対策本部より、野村智和がやってきた。
「なるほど、君と同じで神性を持っているかもしれない少女か。これは気になるな。神戯閃光児はなんと言っているんだい?」
「それが……」
神戯閃光児の言うのは「わからない」というものたけだった。
『ただ、つい最近生まれた神であることは間違いないのだけれど、ただ、こんなに執着を持った神は、この身体になって生まれて初めて見た。この女の子のなかにいる神は、何か特殊だ』
「──……と、言っています」
「特殊な神、か……愛星友絡みではなさそうだが」
「だとしても、私は彼女の身に纏う何かを払いたいと思う。この心には従うべきだ、と学習している」
「そよ学習グッドだね。よしじゃあ我々も特別に力を貸してやろうではないかということでこの少女についていろいろと調べてくるので、君たちは学校をサボるつもりだろうが、ちゃんと行きなさい。遅刻しても。今の時間なら三時限目くらいなら間に合うんじゃない?」
「俺たちはもうこのままサボるつもりです」
「ダメだろ。なんだかなぁ、加賀美くん真面目だと思ってた」
「陰キャラは基本的に不真面目っすよ。真面目だったら陰キャラなってないんで。な、生真面目」
ふんぞりかえる陰キャ。
「私のことか。久しぶりに言われたな。しかしそうだな、男というのは多少不真面目な方が釣り合いが取れるというものだ、と私は思う」
「多少強引にでも連れてってやろうかなこのガキども」
「いやもう、休む連絡はしてもうたので」
「学校を休むぞという時だけ行動が早いなあ、我々は」
ふんぞりかえる陰キャ第二号。
「もうあんまり学校行きたくない」
「君の場合はそうだろう。あんな事をしたものだから」
「まだ弄ってくる」
「弄るだろ、そりゃ。きっと君が初めてだろうな、あんな事をしたのは。学校の歴史にのこったぞ、君」
本来は退学物だろうに。
「言っておくが、無関係の女子に刃先を向けたのは許さないからな」
「わかってる」
そうしていると、少女の呼吸が変わる。
どうやら目が覚めたらしい。
「どうやら目が覚めたらしいな。お嬢さん」
「あとは警察の仕事でしょう。我々は席を外しますよ」




