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赤…………火。
青…………木。
黄…………土。
黒と白も存在しているのだろうか、と思う。
であれば、おそらく黒は水で、白は金か。
このふたつの「おそらくのこっているタイプチェンジ」を、どうやって引き出すか……というのを考えてみる。
じつは、複数回にわたり引き出そうとしてみたが、何か特別な力が働いているのか、あるいはそもそもないのか……黒と白になることができなかった。
なので現状、赤と青と黄だけで戦っていくことになる。
そういえば神戯閃光児は真っ白の怪異である。
田の中でくねくねと揺らいでいたのを今も思い出す。
それを思い出せば、白のビカットマンにはなれそうだが……今のところ、どう頑張ってもできそうにないのだから仕方がない。
十一月六日、水曜日。
放課後、教室でぼーっとして考え込んでいる彼のもとに、空明がやってきた。
「尾島先輩、いたいた。いっしょに帰りませんか」
「ん。それも良いね。しばし待ちなさい」
「はい」
彼は机の中に入れていた参考書だったり教科書だったりをカバンの中に入れていく。
ペンケースを掴みながら、彼は空明に訊ねた。
「そういえば、君も私と同じ異態隕獄の息子らしいな」
「……えっ?」
「隠さなくても良い。そこは薄々察していた。君はつらくないか」
「えっ? つらい……?」
「実の父が、もう死んでいる……というのは、どういう気分だ」
「……そうですね。最初は……やっぱりちょっと驚いたけれど、でも、すぐにどうでもよくなりました」
「どうでもよくなった? なぜ……?」
「考えてもしょうがないじゃないですか。そもそも僕、父さんと血繋がっていないの知ってましたし。『あー、実の親父ってそういう人なのか』っていう発見のほうが大きいです」
「考えてもしょうがない……というのは、確かにその通りだが」
「僕は僕なんです。異態隕獄という人は、組織的な悪と闘う決意をした志の高い人だけれど、それはそれとして僕はなんてことはないただの高校生なんです。それって、先輩もでしょう」
「私は君とは違うな」
「そうですか?」
「ああ。違う。私は……」
「確かに、僕と先輩は違うかも。先輩が異態肉彦だったとしても、自分がそれであることに苦悩している人だし……先輩が尾島青空である今だって、組織的な悪に立ち向かう人だ」
立ち上がろうとしていたところで、その言葉を聞いたので、中途半端な中腰で動きが止まった。
「なんだか、かっこいいですもん!」
「かっこいい……? 私が、かい?」
「はい!」
「……そうか。……そうか。……君は……」
「え?」
「いや……なんでもない。行こう」
廊下を歩いていると、朝飛と出くわす。
「おや、似たツラが二つ揃って」
「なんて言い種だ」
「今から帰るんですよ」
「お前ら家近かったっけ」
「いや全然」
「僕そもそも北上に住んでませんし」
「なんだそりゃ」
「そういえば加賀美先輩はどうしたんですか?」
「彼ならもう帰ったよ」
「あいつマイペースだよなあ」
帰路へ。
三人は並びながら、てくてくと薄暗い中を歩いていた。
そこに、男が現れる。
男はぼろぼろになりながら……ハァ、ハァ……と息をして、彼を睨見つけている。
瞳が徐々に赤く染まっていく。
そして、「死ね」と言い、懐から拳銃を取り出した。




