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花巻市内、某所、十字路そばの焼肉屋。
「あの姿は一体何!?」
「光の神と融合した姿です」
「光の神!?」
「正確には光の力を持つ神を食った子供の幽霊です」
「あの大きい蜘蛛は!?」
「おそらく愛星友というカルトの差し金です」
「愛星友って!?」
「あまり関わり合いにならないほうが良いかと思われます」
「君はなぜ奴らと戦っているの?」
「人類の自由の為と、贖罪のためです」
「贖罪?」
「私はれんじゅうが信仰する神です」
「え?」
…………。
「テレビでも何度かやっていたから聞き覚えがあるでしょうが、私の本当の名前は、異態肉彦といいます。れんじゅうが、現人神と祀りたがっている神です」
「事情があるんだよ!」
優心が間に入り、それに続いて朝飛も割って入る。
「こいつの親父が異態家っていう、カルトのケツ持ってる祓い屋の生まれなんだけど、その親父自体はそういうのが嫌になって、異態家を抜けたんだ。そしたら愛星友に目をつけられて……」
「愛星友と戦っているうちに死んだんだけど、それがこいつが生まれる一年後くらいなのかな、そのあたりで。こいつ自体愛星友とは関わりなんかないし、こいつ自体、自分が異態肉彦だって知ったのつい最近だし……」
「しかし、私が異態肉彦である事実は変わらない」
「お前は黙ってなさい」
皿に肉を置かれた。
「その為に戦ってるの?」
「はい」
「ひとりで?」
「二人がいます」
「あと一人」
「え?」
「あと一人いる」
「らしいです」
「ふたりも、君みたいにああいうことをしているの?」
「いや……それは、私だけの役割です。怪異だとか、人間だとかを殴る蹴るのは……」
「どうして?」
意地悪な質問だと思い、朝飛はムッとして口を挟もうとしたが、それより先に彼が口を開いた。
「私だけでいいんです。こんな感覚を知るのは」
「こんな、感覚?」
彼は、微笑むばかりだった。




