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ビカットマン  作者: 蟹谷梅次
8 木箱・2
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「えっ、つまんないな」


 白スーツの男が煙草を握り潰して唇を尖らせた。


「どうなさいました」


 隣りにいた長髪の白い和装の少年が顔をあげる。


「ほら、寒河江ハヂメだ。ヤツが出てきたんだ。だからつまんないなって。私がせっかく肉彦くんと楽しもうとして設置した異理箱をさ、勝手に破壊してしまったよ。あれを作るのも楽じゃないじゃない」

「はい。大変苦労されていました」

「だよね。だけど、あの男本当につまんないことをするよ」

「アプローチを変えてみてはいかがでしょうか」

「アプローチ?」

「異理箱は最後の一押し。たくさん、色々な怪異を使うんです。我々の倉庫にはまだ色々いますし、現地調達もできるかと」

「うーん、やっぱりそれが確実かあ」


 白スーツの男は新しい煙草を一本出し、ジャケットを風防にしてライターをつけた。


「気長にコツコツが一番です」

「それもそうだね」

「はい」


 しかし、異態肉彦。


 現在では尾島青空という身分でいるらしいけれど、奴は異態隕獄に似て、たいへんよろしくない。


 ああいう人間もどきが人間の社会で生きているのはよろしくない。


 風紀が乱れる。


「先生。異態肉彦はつまらない男です。遊び相手になってやるのもいいでしょうが、早めに殺すのも社会の為……人の為……ということを、よくおぼえておいてください」

「うん。そうだね。僕も同じ事を思っていたよ」

「それは良かった」


 では、次にうつりましょう──と。


 ふたりは鈴の音と共に消える。

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