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「えっ、つまんないな」
白スーツの男が煙草を握り潰して唇を尖らせた。
「どうなさいました」
隣りにいた長髪の白い和装の少年が顔をあげる。
「ほら、寒河江ハヂメだ。ヤツが出てきたんだ。だからつまんないなって。私がせっかく肉彦くんと楽しもうとして設置した異理箱をさ、勝手に破壊してしまったよ。あれを作るのも楽じゃないじゃない」
「はい。大変苦労されていました」
「だよね。だけど、あの男本当につまんないことをするよ」
「アプローチを変えてみてはいかがでしょうか」
「アプローチ?」
「異理箱は最後の一押し。たくさん、色々な怪異を使うんです。我々の倉庫にはまだ色々いますし、現地調達もできるかと」
「うーん、やっぱりそれが確実かあ」
白スーツの男は新しい煙草を一本出し、ジャケットを風防にしてライターをつけた。
「気長にコツコツが一番です」
「それもそうだね」
「はい」
しかし、異態肉彦。
現在では尾島青空という身分でいるらしいけれど、奴は異態隕獄に似て、たいへんよろしくない。
ああいう人間もどきが人間の社会で生きているのはよろしくない。
風紀が乱れる。
「先生。異態肉彦はつまらない男です。遊び相手になってやるのもいいでしょうが、早めに殺すのも社会の為……人の為……ということを、よくおぼえておいてください」
「うん。そうだね。僕も同じ事を思っていたよ」
「それは良かった」
では、次にうつりましょう──と。
ふたりは鈴の音と共に消える。




