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ビカットマン  作者: 蟹谷梅次
5 悪辣・2
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 怪異の強さというのは、「年代」あるいは「知名度」による。


 知名度がなくても大昔のものであれば相応に強い。


 近代的であろうと知名度があれば相応に強い。


 トイレの花子さんはそれなりに年季も入っており、なおかつ知名度もある。都市伝説から生まれた怪異のたぐいはそれなり以上につよい。


 たとえば三島由紀夫なんかが怪異になっていたらクソ強い。


 川端康成は天国でピザとか焼いて貧困家庭に笑顔を届けていそうで、怪異なんかにはならないだろうからお話にならないけれど、たとえば長門裕之や渡哲也なんかも将来的にはクソ強くなる。


 では、恐竜という存在はどうだろう。


 その名に恥じない恐ろしい竜になるだろう。


 何処かの誰かの、信仰対象になるほどに。


 アホが召喚した恐竜はモシリュウという。


 モシリュウは一九七八年に岩手県下閉伊郡岩泉町のモシ(茂師)で発見された恐竜化石である。(ウィキペディア調べ)


 全長二十二メートルの大型恐竜である。(ウィキペディア調べ)


 しかし、二メートルほどのサイズ感に収まっているのは、術者本人の霊力不足によるところが大きい。


 この霊力不足というのは、アホ本人の問題であり、おそらくビカットマンに変身できる──神戯閃光児との融合時においても、不足は補えていない。


 恐竜は怪異を押さえつけてしまうと、神戯閃光児はその隙に怪異を光で焼き殺してしまった。


「これでよし──ありがとうミスタージェラシック」

「気にするな。やれることをやる、というのが私の根性だ」

「うん。ありがとう。じゃあ腕開いて、入るから」

「わかった」


 怪異を倒したので、男は力を失った。


 眠りについた男は住居侵入と傷害の罪で逮捕された。


 その際、刑事がやってきた。


「尾島くんだね、夏ごろの誘拐未遂で大活躍の……」

「そうですが。貴方は?」

「手っ取り早く言うと……刑事。愛星友対策本部の刑事だ」

「もうそんな組織があるんですか。知りませんでした。お疲れさまです」


 名刺を渡される。


 それをまじまじと見つめた。


 野村(のむら)智和(ともかず)という名前らしい。 


「野村さんですか」

「君は」

「それは、私の名乗るべき名前ではない。……私の『ほんとうの名前』は……どうせすぐにわかります」

「君はいったい何を言っているんだ?」

「愛星友が信仰している、確か何かあったでしょう」

「ああ、たしか……」


 佐々木家から出て、交差点まで歩き出した。


「たしか、『イザマニクヒコ』という……」

「それだ。そのイザマニクヒコを、あなたは知りませんか?」

「わからないんだ。何となく人間の名前のような気がしなくもないが、君はわかるというのか?」

「…………あまり考えたくないんです……けど、なんとなく、自分のなかに整合しない記憶があるんです。認めたくないけれど……認めるしかないような……」


 少し離れたところからその様子を伺い、朝飛と優心は首を傾げた。


「警察が捕まえた信者を通して、その基地だとか、拠点だとかを突き止められませんか」

「たしか、それはもう突き止めてある。ただわざわざ行くのはまだあまり賢いとは言えないが……」

「学生は間抜けが基本です。私が行きます」

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