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ビカットマン  作者: 蟹谷梅次
5 悪辣・2
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「……──自分の身体が、自分の意思でなく動くというのは、とても不思議な感覚だった。ふん、悪くない」


 彼は凝った肩をごきこきと解しながらそう言った。


「お前、俺に力を与えてしまって良かったのか」


 そこに、優心が問いかける。


「なにがいけない?」

「なにがって……懸念点はいろいろあるだろ。俺は無関係の、その場に居合わせただけのお前のクラスメイトに刃物を向けた男だぞ」

「今は大丈夫だろう」


 なんの自信があってかきっぱりと断言してみせた彼の言葉に、優心は何も言い返さなかった。


 自分にそんなに信頼する程の価値はない、と思った。


 朝飛は、それをやや細目になりつつ見守りつつ物音が近づいてくるのを感じ取った。


「それはそうと、さっさと佐々木ちゃんのとこ戻ろうぜ。何か来る」

「それもそうだが、ここは何処だい」

「人目につかない藪の中」

「なるほど。人目につかない藪の中。さっさと戻ったほうがよさそうだが……そうもいかないのかもしれない。今は戦おうとするなよ、俺がやる」


 囲まれている。


 気がつけば、木々の間から男たちが顔を出していた。


「な、なんだこいつら」

「こんなに頭の悪そうな顔をしているのは、愛星友のれんじゅうだろう。そうだ、君たち空に逃げなさい。俺の近くにいると、たちまちの内に多少なりとも目が潰れてしまうぞ」


 男たちは札を取り出し、召喚霊術を行う。


 猿のような怪異が大量に現れる。


 ごく一般的な、才能がなければ能力もないチンカスの生得怪異はこういった猿の場合が多い。


「愛並媚、頼めるか?」


 大きな鳥が「キィ」と鳴く。


 ふたりを乗せた愛並媚が空へ昇って行く。


 それを時折見上げて確認しながら、襲いかかってくる猿の顔面を蹴り飛ばしていく。


 じゅうぶんな高さまで行くと、「よし」と呟き、全身を光に転換させ始め……そして、光輝の思い描くビカットマンになる。


 戦う機会というのはそうそうないが、此処まで来ればきっと愛星友のれんじゅうもビカットマンの事を認知し、何とかしようとし始める。


 そうなると、戦いがはじまる。


 戦いが始まれば……変身する機会も多くなる。


「…………」


 白い体色が赤くなっていく。


「数が多すぎる」


『木々もある。赤いビカットマンの火の力は使えない』


「じゃあ……」


 青だ、と。


 青といえば水だから強いて言うなら水ならまだいいほうだろう、という簡単な考えで体内で炎に転換されていた光のエネルギーを再構築。


 青くなった。


「水がぶち撒けられるが、君たちは水平気か!?」

「いやもう全然大丈夫!!」

「やっちまえ。そんなクズども」


 猿どもがかかってくると、一瞬まばゆい閃光の後に、木々がうねり始め、猿どもを貫きころしてしまった。


『水じゃないの!?』


「五行なんとかだろ!? ほら!! あったろそういうの!」

「さっすがインターネットオタク」

「誰がオタクだオラ」

「古龍種か? ……加賀美、五行なんとかというのは、陰陽五行説のことか。であれば、なぜ青が水じゃない」

「知るかよ! 青ってなんか信号機みたいに緑を表すこともあるだろ。緑ってほら、木とかだろ」

「なるほど。理解した」


『だいぶ説明が適当だったが、あれは正解なのかい?』


「私がわかるか。君の時代のお話だろう」


『ずっと座敷の牢に閉じ込められていたから分からない』


「ならば仕方が無い」


 やれることをやれる限り全力で。


「やってやろう」


『そうしよう』

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